[8.15 ミズノカップU-18IN熊本2012グループB 近大和歌山1-2熊本国府 大津町運動公園多目的G]

　全国の強豪18校が優勝を争う「ミズノカップ U-18 IN 熊本 2012」は大会2日目の15日、2NDラウンドを行った。ともに2NDラウンド1勝同士で勝者がグループC1位となる近大和歌山(和歌山)対地元・熊本国府(熊本)戦は、MF秋吉浩輔(3年)の決勝ゴールによって熊本国府が2-1で勝利。16日の1位グループ進出を決めた熊本国府は初優勝を懸けて静岡学園(静岡)、津工(三重)とのリーグ戦に臨む。

　1位グループ進出のためには勝つしかない熊本国府が、スーパーゴールでグループC1位を勝ち取った。1-1で迎えた後半14分、熊本国府は中央のMF富崎大貴(3年)からのパスを受けた秋吉が高速ドリブルで試合を決める。左サイドからDF2人を抜群のスピードと巧みなコース取りのドリブルで一気に振り切ると、最後は逆サイドのゴールネットへ右足シュートを流し込んで決勝点を奪った。

「1対1なら取られる気がしない」と豪語する高速ドリブラーの一撃で勝ち越した熊本国府に対し、近大和歌山は187cmの長身FW中村涼太郎(3年)の高さを活かして反撃。だが熊本国府はCB出雲翔太(3年)やキャプテンマークを巻いたGK木村舟(3年)らの好守もあり、1点リードを守りきった。09年、11年大会の決勝進出に続く上位進出。元アビスパ福岡DFの佐藤光治監督は「地元だから弱くても出られる、というの嫌ですから」と語っていたが、同校サッカー部や一般生徒のボランティア、父母が運営の補助をしているミズノカップ熊本大会で選手たちは全力プレーと結果を出すことでサポートに応えている。

　そしてこの日は4-2で勝利した三好(愛知)戦に続く白星で優勝に一歩前進した。特に得失点差の関係で引き分けではグループ2位となってしまう近大和歌山戦では、前半2分に縦パスからの混戦であきらめなかったFW大槻健太(2年)が右足で先制ゴール。15分に連係ミスから近大和歌山の1年生FW東山亮介に同点ゴールを決められたものの、左の秋吉を筆頭に右の富崎とSB松下慎佑(3年)らがスピード溢れるサイド攻撃を展開し、次々と決定機をつくり出していった。

　32分に秋吉が自ら獲得したPKを近大和歌山のPKストッパー、GK衣笠暢将(3年)にストップされたほか、衣笠の好守に再三のビッグチャンスを阻まれた。ただ焦らなかったチームはミスでリズムに乗れなかった近大和歌山を上回り、2-1で勝利。グループ1位をもぎ取った。

　熊本国府は地元開催のミズノカップへ向けて合宿を行うなど万全の準備を施して大会に臨んでいる。開幕3日前まで行う5日間の「走り込み、食べ込み」合宿では初日に同校から合宿所まで27kmの距離を走って移動するなど過酷なトレーニングとなっているが、合宿を乗り越えてきた選手たちの走力は試合終了まで衰えなかった。「今年は熊本を獲ってもおかしくないチーム」と指揮官も期待を寄せるチームは、素晴らしいパフォーマンスで1位リーグ進出を決めたが、初優勝でさらなる自信を手にすることができるか。10番MF荒木公輝(3年)は「全国のチームに対して自分たちは挑戦者の気持ちでやっている。サポートもあるし、『勝とう』という気持ちは強い。チームの目標は全国制覇。今大会も優勝したい」。選手権へ向けてタイトル奪取で弾みをつける。

(取材・文　吉田太郎)

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