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[プレミアリーグEAST]「負けられない」2位・札幌U-18、下田2発&堀米バースデー弾で浦和ユースに逆転勝ち!

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[9.9 高円宮杯プレミアリーグEAST 浦和ユース1-3札幌U-18 レッズランド]

 高校世代の全国リーグ、高円宮杯U-18サッカーリーグ2012 プレミアリーグEASTは9日、第12節を行い、埼玉県さいたま市のレッズランド天然芝サッカー場では8位・浦和レッズユース(埼玉)と2位・コンサドーレ札幌U-18(北海道)が対戦。前半24分に浦和MF長谷優(3年)が先制ゴールを決めたが、札幌は後半1分と6分にFW下田康太(3年)が連続ゴールを決めると、29分にもこの日が18歳の誕生日だったMF堀米悠斗主将(3年)がPKを決めて3-1で逆転勝ちした。

 連覇へ向けて負けられない戦いの続く札幌がアウェーで逆転勝ちした。エースFW中村駿介が出場停止の浦和に対して、札幌は左ひざの負傷による長期離脱から復帰し、後半戦から戦列に戻った11年U-18日本代表MF深井一希(3年)と堀米のダブルボランチ。右のMF中原彰吾(3年)、左のMF神田夢実(3年)と昨年のVメンバーが並ぶ中盤中心に主導権を握ろうとした。

 ただ、前半は浦和が試合を支配。最終ラインからボールを動かして相手に穴を作ろうとする札幌の攻撃に対して、組織的な守備が効果を発揮する。ファ-ストDFのプレッシャーが非常に速く、各選手が上手くスライドしながらスペースを消して札幌を前進させない。サポートが少なく、苦しい形でのパスを出さざるを得なくなった札幌のボールをインターセプトすると、すぐさまサイドへ展開してカウンター攻撃。機動力を活かしてスペースへと飛び出してくるFW関根貴大(2年)とFW進昂平(2年)中心に次々と決定機をつくり出した。

 まずは前半1分、右サイドを切れ込んだ関根の折り返しから中央の長谷が決定的な左足シュート。さらに6分にも左中間からPAへ侵入した進のラストパスから関根が右足を振りぬく。札幌は下田や神田がミドルシュートを狙うが、流れは変わらない。浦和は18分にも中盤でこぼれ球を拾った11年U-17W杯日本代表SB新井純平主将(3年)のパスからAFC U-16選手権日本代表のMF小川紘生が左足シュート。そして20分にも鋭い反転から左サイドを突破した小川のクロスを進が決定的な形で頭で合わせる。

 主導権を握ったまま試合を進めた浦和は前半24分、スコアを動かす。敵陣中央で相手のミスパスをインターセプトすると、関根が右前方へ出したスルーパスを長谷が右足でゴール左隅へ流し込んだ。ただこの後、浦和は追加点を奪うことができない。26分にも長谷が決定機を迎えたが、札幌は負傷の先輩GK2人に代わってゴールを守る1年生GK種村優志がビッグセーブ。判断ミスもあったが、好守でピンチを防ぐ種村中心に相手を1点に抑えると、後半開始直後の2発で形勢を逆転させた。

 札幌は後半1分、左サイドを個人技で破ったSB濱下賢(3年)のシュートのこぼれ球を下田が押し込んで同点。さらに6分には右サイドを抜けだした中原が背走するディフェンスラインとGKとの間に完璧なクロスを放り込むと、走りこんだ180cmFW下田が「頭でのゴールは小学生以来。当てるだけでした」というヘディングシュートで勝ち越しゴールを決めた。

 これで完全に乗った札幌は四方田修平監督が「どことやっても90分間のどこかで必ず攻守に主導権を握ることができる。後半はリズムをつくってタメをつくったり、リズム良くボールを動かすことができていた」という中盤のカルテットが躍動。深井の存在感が攻守両面で増すと、運動量豊富な堀米とのダブルボランチが中盤を支配していく。そして個人技で相手DFを破る中原、高いキープ力からチャンスメークする神田が試合の流れを変えた。下田が個の能力の高さを示すキープと左右両足から放ったミドル弾はそれぞれ枠を捉えなかったが30分、交代出場のFW松尾雄斗が縦パスで抜けだしてPKを獲得。このPKを堀米が左足でゴールへ沈めて3-1とした。

 浦和は34分に中央から札幌守備陣を攻略して最後はFW大野将平(3年)が決定的な左足シュート。だが、これも種村に阻まれて追撃することができなかった。一方、交代出場の選手も上手く試合に入っていた札幌は最後までチャンスをつくり続けて難敵を撃破。指揮官は「アウェーで逆転で勝ちきる試合は少ない。よくやってくれたと思います」と目を細め、堀米は「もう1試合も負けられないと思っているし、引き分けも許されない。今回はサポーターが多く来てくれている中でいい試合ができた。自分もバースデーゴールを決められて、こんな気持ちいい試合はない」と喜んだ。試合後はゴールを決めたキャプテンをウォーターシャワーで祝い、チームは帰路についた。

 札幌は昨年の優勝メンバーから大量5選手がトップチームへ昇格。攻守に穴が見られなかった昨年に比べ、メンバーが完全に入れ替わったディフェンスラインが課題となっていた。ただ1対1の対応の強化などを経て徐々にチームは安定。強豪集う全国リーグで今年も2位につけている。ただ無敗で進撃を続ける首位・東京Vユースとの勝ち点差はすでに10。簡単には詰まらない差となってしまったが、それでもまだ直接対決を残しているだけに、望みを持ち続けて首位に食らいついていく。深井は「全勝してヴェルディとの差を縮めていきたい」。昨年、埼玉スタジアムで広島ユースに敗れたチャンピオンシップの悔しさを選手たちは忘れていない。今年もあの場所に立ち、借りを返すことも選手たちの目標。その目標を叶えるためにも、勝ち続けて東京Vに少しでもプレッシャーをかける。

[写真]後半29分、札幌U-18の堀米がバースデーゴールとなるPKを決める
(取材・文 吉田太郎)
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