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[パティークカップ]選手権神奈川16強進出の向上、瀬戸V弾で鹿島学園破る

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[9.28 パティークカップ 向上1-0鹿島学園 流経大フットボールフィールド]

 JFAアカデミー福島や流通経済大柏などU-18年代の強豪12チームが参加するadidasパティークカップが28日、茨城県龍ケ崎市の流通経済大フットボールフィールドなどで開幕。今年の全国高校選手権神奈川予選で16強進出を決めている向上と、同茨城県予選3連覇を目指す鹿島学園との一戦は、DF瀬戸康平の決勝ゴールによって向上が1-0で勝利した。

「負けないサッカー」ではなく「勝つサッカー」にこだわる向上が、関東を代表する強豪を下した。この日の鹿島学園は後半に主力組が出場するメンバー構成で前半はサブ組中心の布陣。その中、セットプレーなどからチャンスをつくっていた向上は前半14分、MF西村拓真の放ったクロスバー直撃のミドルシュートのこぼれ球から、最後は瀬戸が先制弾をゴールネットへ突き刺す。

 正確なポゼッションからサイドアタッカーが長い距離をスプリントして背後を取ろうとする鹿島学園は、MF菊地達成とSB鬼丸敬のコンビで右サイドを崩す場面もあったが、向上は対応良く相手のクロスを阻んで得点を許さない。逆に25分にはアンカー役のMF加藤友佑の攻撃参加からFW田中翔馬がポスト直撃の左足シュート。更に29分にはMF榎本克弥がMF渡辺恒とのワンツーでPAへ侵入して決定的な右足シュートを放った。

 前半を0-1で終えた鹿島学園は後半、9人をチェンジ。フィールドプレーヤーさながらのボールコントロールを見せるGK田邊快人を起点に攻撃をスタートさせると、FW古橋広樹、FWムン・ヒョンリの個人技を交えて切り崩そうとしていたほか、局面では2人、3人がバリエーションのある動きでボールに関わり、向上に揺さぶりをかける。だが向上は、田中が「相手はボールのないところでのレベルが高かった。(だが)中盤がよく踏ん張ってくれた」と評した加藤ら中盤が相手のパスミスを誘い、クロスまで持ち込まれても星野圭祐と並木大樹の両CBがラストパスを跳ね返す。鹿島学園は37分に相手のクリアミスを拾ったSB海老原央樹がPAからフリーで右足を振りぬいたものの、シュートはGK小澤佳祐の正面を突いて得点ならず。粘り強い守りで1点を死守した向上が1-0で勝利した。

 向上は今夏の高校総体神奈川県予選準々決勝で優勝した桐光学園に1-3で逆転負け。ただ、かつて3度の全国高校総体、1度の高校選手権出場を果たしている実力派は近年、常に全国を狙える実力を保持している。「マイナスな言葉は言わない」と決めている向上の選手たちは毎日、ノートにその日自分がやるべき3つのことを書いて提出。日常的なことから練習のことまで目標は様々だが、それを毎日やり切ることで意識が変わり、それぞれの練習に取り組む表情も変わってきている。

 精神面に加えて、フィジカル面強化のために7月末には神奈川県の大山で走り合宿を敢行。2泊3日でなんと150kmを走り切ったという。日常や、合宿で目標をやり切ってきたことの自信、後ろを向かない姿勢がプレー、結果にも表れてきた。小林賢一郎監督が「頑張るべきところで頑張れるチームになってきた」と評価するチームは、この日も1点ビハインドを跳ね返そうと必死の攻撃を見せる強豪を最後まで無得点で封じきった。現在は厳しい指揮官も「(逆転負けした桐光学園戦も)今のチームならば守りきれると思う」と口にするほど、成長を遂げている。

 選手権神奈川県大会は10月21日に再開する。向上は18年ぶりとなる神奈川の頂点、そして全国上位を目指す。星野は「(きょうは)選手権全国へ向けて、意識しながらやった。ボクたちは一生懸命やらないと勝てる相手はない。今までやってきたことをやるだけ」。前向きな姿勢で「負けないサッカー」ではなく、「勝つサッカー」をすることにこだわってチームを強化していく。パティークカップは残り2日。今後も続く強豪との対戦で選手権予選を勝ち抜くためのより大きな自信を手にする。

(取材・文 吉田太郎)

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