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[プレミアリーグEAST]高木“優勝決定戦”でハット!東京Vがチャンピオンシップ進出決定!

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[10.7 高円宮杯プレミアリーグEAST第15節 東京Vユース4-3青森山田高 ヴェルディG]

 高円宮杯プレミアリーグEASTは7日、第15節1日目を行い、首位の東京ヴェルディユース(東京)がFW高木大輔のハットトリックの活躍などによって青森山田高(青森)に4-3で逆転勝ち。残り3試合で2位・コンサドーレ札幌U-18(北海道)との勝ち点10差をキープした東京Vは、初優勝を決めた。東京Vは12月16日に開催される予定のチャンピオンシップで日本一を懸けてプレミアリーグWEST優勝チームと対戦する。

 主将のCB吉野恭平が負傷、前半戦得点ランキングを独走しチームの快進撃に貢献したエースMF中島翔哉は、この日トップチームのJ2町田戦で先発に名を連ねた。また、強力ドリブラーのFW前田直輝も同じく町田戦でベンチ入り。後半戦ゴールを量産しているFW菅嶋弘希は出場停止だった。

 それでも勝てば優勝の決まる東京Vは3位・青森山田に2度リードを奪われながらも4-3で逆転勝利。主力の不在に関係なく逞しい戦いを見せた選手たちについて冨樫剛一監督は「きょう、(中島)翔哉がスタメンだったりとか、前田がサブに入ったりとか、春先に言っていたように、(トップチームの)昇格がかかっているゲームに何人ユースの選手が入れるか目標にしてきて、実際にそうなりつつある。その選手がいないからと言って、システムで勝とうとは思わなかったし、何かやり方を変えて勝とうとも思わなくて、普段やっているトレーニングの延長線でゲームがある。普段のプレーの強度が高ければ誰が出てもどこが相手でもという気持ちではいたんですけれども、実際にピッチに出てくれた人間がそれをやってくれたので、それは本当に『選手、凄いな』と思いました」とピッチで結果を出した選手たちを絶賛していた。

 対する青森山田も高校選手権で有力な優勝候補になると思われるほど、進化していた。CBの縣翔平(3年)をボランチとしてMF菅原啓祐(3年)とコンビを組ませ、ボランチのMF椎名政志(3年)をトップ下に配置する新布陣は守備が安定。またJユース勢を押しのけてチームを3位に位置させている高速カウンターがこの日も火を噴いた。前半6分、青森山田は自陣でボールを奪うと、一気に前線へとボールを運んでFW林雄紀(3年)の右クロスからMF新井幹人(3年)が先制ゴールを叩きこむ。

 ホームの東京Vは圧倒的にボールを支配し、青森山田に圧力をかけると、MF鯉沼将希(3年)が鋭いドリブルで切り込むなど反撃。だが青森山田は成長株の小松崎雄太(3年)と山田将之(3年)の両CBが相手のPA侵入を防ぎ、サイドでは右SB室屋成(3年)が1対1で見せる堅守、力強いドリブル突破と抜群のパフォーマンスで存在感を示していた。青森山田は22分にもカウンターから決定機をつくるなど、相手にボールを持たれていても主導権を渡さない。

 だが東京Vは悩みぬいていたストライカーがついに目覚める。前半39分、MF山口陽一朗(2年)の右FKを室屋のマークを外した高木が頭で同点ゴール。チームを最前線で引っ張る高木の8試合ぶりとなるゴールで試合を振り出しに戻した。対する青森山田は44分に左CK後の流れから懸が左サイドを縦に突いて中央へ折り返すと山田が合わせて2-1とリードして前半を折り返す。

 それでも東京Vは後半3分、相手の連携ミスを突いた高木の右足シュートで同点に追いつくと、4分には鯉沼のスルーパスから高木が三度ゴールを破って逆転した。「きょう、(先発で)本当のFWはボクしかいなかった。冨樫さんからも『点決めるならオマエしかいない』と言われていた」という高木がストライカーとしての意地を見せつけるハットトリックを“優勝決定戦”で成し遂げた。

 一方、青森山田は「もったいない。背後でああいう集中力欠いたプレーをしてしまうと、前からプレスかけても全部無駄になってしまう。CB2枚がもっと集中力持ってやらないといけない」と黒田剛監督も残念がっていたが、集中力を欠いた時間帯で喫した痛恨の失点で試合をひっくり返されてしまった。

 青森山田は8分、左サイドを抜け出した新井のクロスを椎名がダイレクトで合わせ、1点差のまま食らいついた36分には、素晴らしいスピードでオーバーラップした室屋の右クロスのこぼれ球を林が決定的な左足シュート。だが、東京Vは後半42分、交代出場のFW室町仁紀が自ら獲得したPKを右足で決めて2点差へリードを広げる。粘る青森山田も48分に室屋が同じく自ら獲得したPKを右足で決めたが、逃げ切った東京Vが自力での優勝を決めた。

 昨年はMF杉本竜士ら主力不在のJユースカップで予選敗退。穴を埋めるだけの力がなかった。だが、今季はトップチームに合流した中島や吉野といった柱となる選手がいなくても、チームメートは穴を十分に埋めるまで成長を遂げていた。“優勝決定戦”で改めてチーム、個の成長を示した東京V。この日、クラブはMF楠美圭史、DF安在和樹、GKポープ・ウィリアム(すべて3年)、中島、吉野、前田が来季からトップチームに昇格することが内定したと発表した。練習の強度が増す中、トレーニングに対する姿勢、準備についても向上したという東京Vで積み重ねた選手たち。3年生6人が夢をひとつ叶え、そしてチームは全国リーグを12勝3分と無敗のまま目標の頂点に立った。

[写真]前半39分、東京V・高木が同点ゴール

(取材・文 吉田太郎)

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