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[プリンスリーグ関西1部]大阪桐蔭が野洲との撃ち合い制して開幕5連勝!

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[5.3 プリンスリーグ関西1部第5節 大阪桐蔭高4-3野洲高 J-GREEN堺]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2013 プリンスリーグ関西1部は3日、第5節を行い、開幕4連勝の大阪桐蔭高(大阪)と野洲高(滋賀)との一戦はFW田中拓也(3年)の2ゴールなど4-3で大阪桐蔭が逆転勝ちした。

 昨年の選手権予選敗退がチームの原動力になっている。大阪桐蔭は昨年、優勝候補の一角として臨んだ全国高校総体で流通経済大柏(千葉)を下すなど4強進出。だが、期待された高校選手権の大阪府予選では決勝トーナメント1回戦で清明学院に1-2で敗れ、全国へ駒を進めることができなかった。清水エスパルス入りしたCB三浦弦太(現U-18日本代表候補)や湘南ベルマーレへ加入したMF白井康介(その後福島ユナイテッドFCへレンタル移籍)らを擁し、予選の大本命に挙げられながら敗退。それでも永野悦次郎監督は「昨年、選手権に出ていたら今年はもっと弱かったと思います。『ああならないように』とそれぞれが考えてチームの質が上がってきた。そういう意味では毎年、コンスタントに上り調子で来ているように感じます」と分析する。

 昨年までは3年生中心のメンバー構成だったが、この日はMF久保田和音ら2年生6人が先発。抜群の技巧で存在感を放つ久保田とCBからプリンスリーグで初めてボランチ起用されたMF佐野匠(3年)のダブルボランチを軸に10番FW木下隼(3年)と田中の2トップが迫力のある動きでゴールへ迫った。ただ立ち上がり主導権を握ったのはここまで開幕4連敗、1得点19失点の野洲だった。MF望月嶺臣(現名古屋)ら黄金世代と呼ばれた3年生が卒業した野洲だが、徹底したドリブルやワンツー、スルーパスで相手を崩す“セクシーフットボール”は今年も健在。まだミスでボールを失い、それを高い位置で取り返すことができずに背後を取られて失点を重ねるなど“熟成中”の印象だった野洲だが、この日は全勝チームを追い詰める。左SBの平石健祐(2年)が自陣PA付近で相手の股間を抜くドリブルを披露すれば、こちらも存在感が際立っていた10番MF中村真輝(3年)がドリブル、スルーパスから決定機をつくり出すなど足技を駆使していた野洲に大阪桐蔭は中盤をドリブル突破されると、自陣でファウルを犯してピンチを迎えた。

 野洲は前半3分、FW高森詠人(3年)のスルーパスからFW藤浦裕也(3年)がシュート。跳ね返りをフリーで狙った高森のシュートが枠を外れて絶好の得点機を逃したが、それでも前半12分に先制する。縦パスをGKが処理ミスしたところを逃さなかったFW古川和也(3年)が右サイドから右足シュートをゴールへ流し込んだ。

 序盤は押し込まれる時間帯もあった大阪桐蔭だが、徐々に流れをつかむと両SBがPAへ飛び込んでくるなど分厚い攻撃を展開。22分には田中の右足シュートがゴールを捉え、42分には抜けだした木下が決定機を迎えるなどチャンスをつくった。だが再び得点したのは野洲の方。後半、中盤でボールを動かせなくなっていた野洲は平石を中盤に上げた直後の後半19分、中村のスルーパスで抜けだした高森が右足で決めて2-0とした。

 互いがドリブル、ショートパスを多用する展開。その中で2点を先取された大阪桐蔭だったが、佐野が「ベンチから声もいっぱい聞こえたし、来ていないメンバーもいるけれど、『前日に頑張ってきて』とか言われていた。試合中にみんなで円陣組んでいる時も『そういう人がいるから頑張ろう』と話していた。それでみんなが頑張れた」と話したようにあきらめない。後半24分、右FKを田中が頭で合わせて1点差。流れを引き寄せると33分だ。後半11分から出場していた注目の2年生MF雑賀揚平のスルーパスから交代出場のMF高鶴力(3年)がGKとの1対1を制して同点に追いつく。33分には後半、圧倒的な攻撃力を示していた佐野のループパスから田中が決定的な右足シュート。これはGKの好セーブに阻まれたが36分、敵陣でボールを拾った久保田が鮮やかなステップでCBをかわし、右サイドへ流れながら右足シュートを叩きこみ、試合をひっくり返した。

 止まらない大阪桐蔭はさらに39分、シュートのこぼれ球を田中が押し込んで4-2。連続ゴールで一気に相手を突き放した。ただ野洲は逆転されてもドリブルとアイディアあるパスで攻めるスタイルを崩さない。ジワリジワリとボールを敵陣へと進めていくと、41分、左スローインからの崩しで大阪桐蔭守備陣を振り回し、最後は左中間から仕掛けた平石が左足シュートを決めて1点差。そして45分、中村のスルーパスからMF田畑翔伍(2年)が決定機を迎えたが、同点に追いつくことはできなかった。

 互いが攻撃力と選手層の厚さを見せ合った好ゲーム。その中で逆転勝ちを収めた大阪桐蔭の木下は「チームとして攻撃も守備もよくなかった。でもみんなで声を掛けあってよくなっていった」と語り、主将のCB瀧田裕馬(3年)は「最後まであきらめない気持ちが逆転につながった。今の時点でチームはまだまだ。でも先輩の歴史を越えることが目標。(永野監督からは)『自分たちの役割を越えろ』と言われている。自分はしっかりと身体を張ってリーダーシップを発揮して行きたい」と力を込めた。周囲からは昨年、春夏全国制覇を果たした野球部や今春の全国選抜大会で優勝したラグビー部などに負けない活躍を期待されている。「もっと変わらないといけないと思っている」と永野監督。試合の入りなど課題を残すが、全国クラスのタレントを擁し、今年はしぶとく勝ち切る強さも備えている。階段を登り続けてきた大阪桐蔭が今年、プレミアリーグ参入と全国制覇に挑戦する。

[写真]大阪桐蔭は田中の2発などで逆転勝ち

(取材・文 吉田太郎)

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