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エースFW木村ハット!三菱養和SCユースが5-4で静岡学園に撃ち勝つ!!:プレミアリーグEAST

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[9.15 高円宮杯プレミアリーグEAST第13節 三菱養和SCユース5-4静岡学園高 三菱養和会調布G]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2013 プレミアリーグEASTは15日、第13節の3試合を行い、東京都の三菱養和会 調布グラウンドでは7位の三菱養和SCユース(東京)と8位・静岡学園高(静岡)が激突。残留争いから抜け出したい両チームの一戦は、FW木村陸人のハットトリックの活躍によって三菱養和が5-4で撃ち勝った。

 計9発。互いに守備の脆さが出てしまい、試合は意外なスコアとなった。勝ったのは2点リードを一時追いつかれたホームチーム。勝ち切ったことの喜びと同時に内容について顔をしかめた勝者に対し、4試合連続1点差負けの静岡学園はピッチサイドで長時間のミーティングを行うなど、ともに反省点の多い試合となった。ただ、展開は劇的。後半40分、2点差を追いつかれて相手の猛攻に飲み込まれかけていた三菱養和が決勝点を奪う。相手のクリアミスを拾うと、交代出場のMF相馬勇紀が右サイドをワンツーで抜け出しラストパスを送る。これを木村がコントロールから右足でゴールへと叩き込んで決着をつけた。三菱養和の山本信夫監督は「試合は選手がよく頑張ってくれた。それに関しては100点。でも内容に関しては…。守備の失点の仕方の問題もありますし、奪ったボールをもうちょっと(保持して)攻撃できれば守備が楽になる」と首を振る内容だったが、それでも貴重な勝ち点3を獲得。降格圏・9位との勝ち点差を9へ広げ、プレミアリーグ残留へ大きく前進した。

 先制点を奪ったのはCB吉田健が出場停止の静岡学園だった。後半戦3試合で2ゴールと覚醒しつつある1年生FW加納澪を最前線に右がU-17日本代表MF須藤駿介、左には父がPL学園(大阪)野球部甲子園準優勝メンバーという1年生MF旗手怜央、トップ下にエースMF米田隼也を配置する布陣の静岡学園は前半4分、須藤の右クロスから加納が左足ダイレクトで鮮やかにゴールへ沈める。

 だが、U-18日本代表候補CB飯泉涼矢らが先発した三菱養和は3-1で勝った第4節同様セットプレーの強さを発揮する。9分に10番MF秋本和希が放った右足FKはGK大杉啓の好守に阻まれたものの、10分だ。秋本の左CKに飯泉が飛び込むと背後の静岡学園DFがオウンゴール。同点に追いついた三菱養和はその後も高さ・強さのアドバンテージを活かして空中戦や競り合いで優位に立つと、セカンドボールを制圧する。そして秋本中心にボールを支配して敵陣でプレー。静岡学園は相手の大型FW木村を警戒してか、DFラインが下がってしまい、中盤でプレスがかからずに攻守ともにいいところを出せなくなった。

 迎えた15分、三菱養和はMF下田悠哉のパスからMF秋田翼が左サイドを抜け出すと、そのピンポイントクロスを木村が左足ダイレクトで合わせて勝ち越し。畳み掛ける三菱養和はさらに18分にもMF椿健太郎の左クロスをファーサイドの木村が頭でゴールへ突き刺して3-1と突き放す。静岡学園は米田を除くとドリブルで仕掛けるシーンが少なく、縦パスもなかなか入れられない展開。それでも30分、左サイドからショートパスで三菱養和DFを振り回すと、最後は加納の絶妙なスルーパスで左サイドを突いた須藤が角度のない位置からゴールへねじ込んで1点差とした。

 ただ、静岡学園は守備面が安定せず耐え切ることができない。カウンターなどから相手ゴールを脅かしていた三菱養和は40分、カウンターから下田のスルーパスで右サイドを抜け出した秋田が右足シュートを流し込んで再び突き放す。その後もスペースを突く攻撃を見せる三菱養和は椿の左クロスを木村が決定的な形で合わせるなど、チャンスをつくり出した。

 2-4で折り返した静岡学園は後半、負傷によって長期離脱していた注目MF原田鉄平とMF小寺将意を相次いで投入。今季プレミアリーグ初出場となった原田が足技を見せるとボランチに移動した須藤と小寺がドリブルでボールを運ぶなど試合の主導権を奪った。23分には須藤のスルーパスから米田が決定的な右足シュート。またドリブルで仕掛けた須藤が左足を振りぬくなど攻勢を続ける。そして27分、CB望月來雅が右サイドへ絶妙なフィード。これでDFの背後を取った右SB手塚朋克主将が一気にサイドをえぐってラストパスを送ると、米田が右足でゴールへねじ込み1点差とした。

 押せ押せムードの静岡学園に対し、三菱養和も交代出場のMF赤松謙がパワフルなドリブルからミドルシュートを撃ちこむなど攻め返す。ただ手塚が右サイドを鋭く切れ込み、ドリブラーたちが仕掛けていく静岡学園が再びスコアを動かす。38分、旗手のスルーパスに反応した小寺が強引に持ち込み右足シュート。これが左ポストを叩いてからゴールラインを越えて4-4となった。

 ただ「守備がぬるい。最後の最後で競り負けている」と川口修監督が首を捻る静岡学園は4試合連続で終盤に決勝点を献上。42分に右クロスから米田が決定機を迎えたがシュートは枠を捉えなかった。これで静岡学園は最近4試合で11得点を挙げたものの15失点で4連敗。残留争いで気の抜けない状況が続いている。

 一方、しぶとく勝ち切った三菱養和はこれで暫定8位の静岡学園・同9位の鹿島ユースと勝ち点9差。昨年、一昨年は8位で最終節に残留を決めるという状況だったが、今年はアドバンテージを持って終盤戦を迎えることなった。この日の勝利で3位と勝ち点5差とまだまだ上位を狙うことができそうだ。山本監督は「もっと刺激をもってやってほしい。(主力だけでなく)チームみんなでやっていく」とチーム内の競争によって、終盤戦でより選手・チームが成長することを期待。また飯泉は「前まではいつも負けたらヤバイという状況だった。(勝った試合は何とか守り切る試合が多く)1点取られて、2点取られるともう勝てない試合になっていた。そこは少し改善できている。ただきょうは点を取れたのは良かったけれど、守備が崩れると勝てない。失点を少なくして、粘り強く勝ち点を拾っていきたい。今年は8位じゃない順位で終わりたい」と残り試合でも勝ち点を拾って、ひとつでも上位へ食い込むことを誓っていた。

[写真]後半40分、三菱養和SCユースは木村が決勝ゴール

(取材・文 吉田太郎)
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