beacon

[MOM912]藤枝東GK長沢祐弥(2年)_大一番で力を発揮した“ビッグベイビー”

このエントリーをはてなブックマークに追加

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.14 高円宮杯プレミアリーグ参入戦1回戦 前橋育英1-1(PK1-4)藤枝東 Eスタ]

「大きい赤ちゃんって呼ばれています。デカい身体をしていますけど、精神面では小6くらい。ぽちゃぽちゃして、背だけが大きくなっちゃったみたいな選手ですね(笑)」、「天然で、癒しキャラ。ゆるキャラみたいなもんですね」。

 集中力を切らさない堅い守りで、何度もピンチを防いだ勝利の立役者のはずが、吉野友三監督が口を開く度出てくるGK長沢祐弥(2年)の評は、どれも笑い話ばかり。同時に「年間を通して、色んな失敗もあったけど、立ち上がりからビッグセーブ連発してくれた。ここまで凄かったのは今まで見たことない。一番大事で難しい試合で最高のパフォーマンスを見せてくれた」と賞賛も繰り返されたように、愛されキャラの守護神が大一番で存在感を発揮した。

「いつもと比べて凄く集中出来ていた。声がずっと続いていたのが良かった。相手は上手いんで、1対1になったら止めらない。声を出してDFを動かして対応しようと思っていた」と話したように、試合開始直後からコーチングを絶やさずにDF大村海太ら3バックと連動しながら、果敢に攻め込む前橋育英の攻撃陣をシャットアウト。MF上田慧亮のスルーパスからFW小口大司に1対1の作られた前半30分のシーンのように、DFラインを破られても、冷静に相手の出方を見極め、堅守を支えた。

「ここで勝てば来年、自分たちがレベルの高いリーグでサッカーが出来るんで、しっかりやらなきゃと思っていた」という言葉通り、後半に入ってからも27分にMF佐藤祐太の連携からの飛び出しを防ぐなどビッグセーブを連発。延長戦でも神がかり的なセーブは続き、延長前半2分に与えたCKからの決定機も右手を伸ばしてしっかりとセーブ。指揮官が「完全にやられたと思った」と振り返ったビッグセーブでピンチを凌ぐと、苦手と話すPK戦では抜群の読みを発揮し、2本ストップし、藤枝東を勝利に導いた。

 昨年はU-16代表に選ばれ、AFC U-16選手権にも出場したが、今年行われたU-17W杯のメンバー登録からは漏れた。だが、吉野監督も「まだ成長の途中。背がずっと伸びちゃって、筋力的に弱くて、入った時も自分の身体が上手くコントロール出来ないし、足も遅くて俊敏性に問題性があるかなと思っていた。ただ、地道に筋トレしたり練習して段々、身体が動くようになってきた。もっと自分の身体をコントロール出来ればもっとおもしろい選手になると思うし、また代表の舞台に立ってほしい」とエールを送ったように今日発揮した能力の高さは間違いなくホンモノ。“ビッグベイビー”の成長と活躍はまだまだ続く。

(取材・文 森田将義)
▼関連リンク
2013プレミアリーグ

TOP