[1.29 茨城県高校新人戦準決勝 第一学院0-1鹿島学園 卜伝の郷運動公園]

　29日に行われた平成25年度茨城県高校サッカー新人大会準決勝、第一学院対鹿島学園戦は延長前半4分に1年生FW武花和真が決めた決勝点によって鹿島学園が1-0で勝った。

　前半のシュート数は第一学院が7-1と圧倒。今大会限りで退任し、J3藤枝MYFCのヘッドコーチに就任する大石篤人監督が「前半は本当に完璧だった。先に決めることができていれば」と振り返ったように前半は出足の悪かった鹿島学園を第一学院が押し込んだ。本来3ボランチの一角に入るMF原田大雅(2年)が累積警告で出場停止だったものの、MF畠山翔太やMF西村達也(ともに2年)が厳しいプレッシャーとセカンドボールの回収で健闘。そしてオープン攻撃からMF杉山ビラル正将(2年)や左SB高沢成(1年)がドリブルで仕掛けるなどゴールへ迫った。ただ、前半終了間際にFKのこぼれ球に反応した畠山の決定的なヘディングシュートはポストを叩き、この跳ね返りから高沢が放った左足シュートも枠を外れてしまうなど先制のチャンスを活かすことができない。

　対する鹿島学園は怪我のMF森谷実主将(2年)ら主力数人を欠くなど苦しいメンバー構成。特に前半は押し込まれ、GK金子優希(2年)の好セーブやCB小野佑一郎(2年)ら守備陣がPAで見せた粘り強い守りに救われる形となった。ただ後半はMF日向寺見文とMF棚辺翔(ともに2年)の小柄なダブルボランチを軸に素早くボールが動き、トップ下のエースFW清成俊太(2年)のアイディアある動き、パスを交えて押し返す。15分には左CKのこぼれ球を拾った日向寺の狙いすました右足シュートがゴールを捉え、27分には清成のスルーパスからMF年代快人(1年)が決定的な右足シュート。MF金子修羅(1年)の強烈な左足シュートがゴールを襲うシーンもあった。

　第一学院は後半もFW木原英勲(2年)が決定的な左足シュートを放つなど、鹿島学園をシュート数で上回った。だが終了間際にMF宮原岳(2年)が放った技ありの右足シュートがゴールのわずかに上方へ外れるなどどうしても1点を奪うことができない。そして迎えた延長前半4分、鹿島学園は清成のスルーパスで抜けだした武花が右足シュートを決めて待望の先制点。運動量がガクンと落ちた第一学院は延長戦でシュートを放つことができず、決勝進出を逃した。

　苦しい展開も立てなおして白星を掴んだ鹿島学園の鈴木雅人監督は「今回は結果OKでした。ただもう1試合やれること、経験できることを嬉しく感じています」。100分間を戦った準決勝からわずか1時間30分後にほぼ同じ先発メンバーで決勝を戦うことになったが、それでも1試合多く戦えることを感謝。今年は2月下旬から恒例のスペイン遠征で「スタイルも違うし、ボールを取れないし、上手い」(鈴木監督)というスペインの同世代の選手たち戦う。茨城県下で最も注目される存在は公式戦や海外遠征の貴重な経験を1年間の個々の成長、タイトル奪取につなげていく。

[写真]鹿島学園は武花の決勝点によって決勝進出

(取材・文　吉田太郎)