beacon

「古豪の力を見せつけることができた」水戸商が私立勢連破し、7年ぶりに茨城新人戦制覇!

このエントリーをはてなブックマークに追加

[1.29 茨城県高校新人戦決勝 水戸商1-0鹿島学園 卜伝の郷運動公園]

 平成25年度茨城県高校サッカー新人大会は29日午後に決勝を行い、FW菊池優汰(2年)の決勝ゴールによって鹿島学園を1-0で下した水戸商が7年ぶり21回目の優勝を果たした。

 大会3連覇を狙った鹿島学園を4強で唯一の公立校だった水戸商が破った。かつて全国総体優勝も成し遂げている強豪だが、練習環境は決して恵まれておらず、普段の練習で使用できるのは学校グラウンドの半分のみという。選手の中学時代の実績も他の私立校には劣るだけに佐藤誠一郎監督は「勝つことが自信になってくる」と話す。その中で戦った今大会は接戦続きだったが、選手たちにとっては自信につながる大きな優勝となった。
 
 前半ボールを支配したのは鹿島学園だった。MF日向寺見文とMF棚辺翔(ともに2年)のダブルボランチを中心に少ないタッチ数のパスワークで水戸商DFを振り回す。ただ水戸商はPA手前でボールを奪うと、サイドチェンジや切り替えの速い攻撃で対抗。右サイドでスプリントを繰り返すSB金澤喬則(2年)やエースFW尾亦力哉(2年)のスピードを活かして鹿島学園ゴールを目指した。そして10分には敵陣左サイドでインターセプトし、MF宮嶋明仁主将(2年)がGKと1対1になる決定機。だが、鹿島学園GK金子優希(2年)にセーブされてスコアを動かすことができない。

 鹿島学園は26分、FW武花和真(1年)を起点としたショートカウンターから日向寺、FW金子修羅(1年)とつなぎ、最後はオーバーラップしてきた右SB芝原和(2年)が決定的な右足シュート。だが、水戸商はGK永山道紀(2年)がコースを消して得点を許さない。逆に水戸商は28分に尾亦が強烈な左足ミドルをポストに当てて会場をどよめかせると、35分には矢幡の右足FKのこぼれ球に宮嶋が反応。ただシュートは再びポストを叩いた。鹿島学園も前半アディショナルタイムにエースMF清成俊太(2年)のスルーパスから武花がGKと1対1となったが、これは永山の鋭い出足の前にストップされてしまう。

 テンポよくつないでランニングするサッカーを目指す水戸商と、サイズはないものの、ダイレクトプレーでDFを振り切る鹿島学園。互いに奪われた後のプレッシャー速く、両DF陣の好守もあって拮抗した展開となった。その中で後半4分には水戸商MF綿引郁仁(2年)の右足ミドルがゴールを捉え、18分には左中間を打開した鹿島学園MF清成の決定的な一撃がポストを叩く。そして迎えた後半25分、ついにスコアが動いた。水戸商は左中間でパスを受けた尾亦がアウトサイドでのトラップでDF2人を突破。一気に縦へ切れ込んだ尾亦の出したラストパスを菊池がワンタッチでゴールヘ沈めて決勝点を奪った。

 水戸商の2トップは今大会ここまでの4試合で無得点。再三チャンスをつくり、守備でも健闘していたが、得点がなかった。それだけに佐藤監督は「最後の最後でやっと出て、勝負を決めた点数だったので良かった」。この後、鹿島学園はフィジカル能力の高いFW金沢良太(2年)らを投入し、CB三浦光喜(2年)のロングスローなどから強引に1点を奪おうとする。そして金沢がヘディングシュートを放つシーンなどつくったが、無得点。水戸商は準決勝に続いてゴール前で奮戦した林汰呂と鈴木蓮(ともに2年)の両CBが足を攣らせて交代するアクシデントがあったものの、最後まで集中を切らさずに守り切って頂点に立った。

 準決勝で先制点を決めた水戸商MF奥山誠(2年)は「古豪の力を見せつけることができた」と喜び、尾亦は「自分たちは5冠という目標を持っているので、一つひとつ潰していければいい。そして最後、選手権では上の方を狙えるように仕上げていきたい」と誓った。「課題はたくさんある」(佐藤監督)ことをしっかりと見つめなおして、新人戦王者は春のシーズン本格スタートへ備える。

(取材・文 吉田太郎)

TOP