beacon

[イギョラ杯]「新しいチャレンジ」の矢板中央、東京朝鮮をPK戦で振り切る

このエントリーをはてなブックマークに追加

[3.19 イギョラカップA組 東京朝鮮高2-2(PK3-5)矢板中央高 味フィ西]

 第24回2014国際親善ユースサッカー「イギョラカップ」が19日に開幕。予選リーグが行われ、味の素フィールド西が丘で開催されたA組の東京朝鮮高(東京)対矢板中央高(栃木)戦は2-2で突入したPK戦の末に5-3で矢板中央が勝った。

 高橋健二監督が「今年はパワーがない分、組織的な攻撃をしていきたいと考えている。矢板中央と言えば、パワーを活かしたロングボール主体の攻撃だったけれど、(今年の選手の特長も考えて)今取り組んできているのはポゼッション。新しいチャレンジです」と説明する。矢板中央は今冬の全国高校選手権では1回戦で四日市中央工高(三重)に2-3で競り負けて初戦敗退。全国で課題を感じた1、2年生たちは左SB水書祐季も「去年とかは前にフィードしてセカンド拾って崩しみたいな感じだったんですけど、去年の四中工戦とか全国でフィードして高さで勝てなかったりしたときに拾われて崩されたりした。そういう部分では蹴るだけでなく、つないで崩せるようになっていきたいです」と意気込んだように、新しい目標を掲げてスタートを切っている。

 この日はベンチの高橋監督から「守備を甘くしちゃダメだよ」「守備が甘いから相手の攻撃が長いんだよ」と再三声が飛んでいたように、東京朝鮮の力強い突破、抜け出しに苦しみ、パスの出し手にプレッシャーをかけきれなかった部分もあった。選手権でゴールを決めたFW森本ヒマンやCB川上優樹といった主力候補を欠いていたこともあり、攻守両面で慌ててしまうシーンも。それでも前半、ボールをつなぐ意志を見せながら攻める矢板中央は2点を先取する。

 12分、右クロスが逆サイドへ流れたところを拾ったMF藤田祐が鮮やかな切り返しでDFを抜き去りラストパス。GKが弾いたボールを右SB古家秀大が左足で押し込んで先制点を奪った。さらに17分には水書の右CKを中央のFW大畑亜輝が頭で合わせて2-0とリードを広げる。

 「リーダーシップを取れる選手が出てきてほしい」(高橋監督)という中で、選手権経験者でもあるMF今泉航希が中盤で身体を張ったプレーを見せれば、水書やCB秋山友宏を起点にショートパスとロングボールを交えて揺さぶりをかけていく。ただ、相手のプレッシャーの速さの前にボールを引っ掛けてしまうシーンが増えると、前線で抜群のキープ力を発揮するFWハン・ヨンテや推進力のあるドリブルで一気にスペースを駆け上がるMFリャン・ソッチュら東京朝鮮の攻撃に押し返されてしまう。

 左利きの司令塔MFコ・スンドクを起点にハン・ヨンテやリャン・ソッチュ、MFシン・テスが次々とドリブルで仕掛けてくる東京朝鮮は前半34分、交代出場のFWリャン・ヒョンジュが抜け出してGKと1対1になると、後半10分にもDFの背後を取ったハン・ヨンテが決定的な左足シュート。そして11分、左サイドを突破したハン・ヨンテの折り返しをリャン・ソッチュが右足で決めて1点差とする。さらに16分にはPAでこぼれ球を拾ったハン・ヨンテが右サイドから豪快な右足シュートを決めて同点に追いついた。

 矢板中央は23分、ショートパスをつなぎ、最後はPAへ飛び込んできたSB水書が左足シュート。28分にはカウンターからDFを振り切ったFW関岡亮太が左足シュートを放つ。ただ勝ち越すことができず、東京朝鮮も終盤に迎えたビッグチャンスを活かすことができずに試合はPK戦へもつれ込んだ。東京朝鮮の2人目が左外へ外したのに対し、矢板中央は今泉から関岡まで5人全員が成功。初戦を制した。

 09年度選手権で全国4強、11年度も同大会で8強に進出するなど近年全国大会で上位へ食い込んでいる矢板中央。目標は今年も高い位置にあるが、2月の栃木県新人戦では決勝で佐野日大に0-3で敗れている。それだけに水書は「新人戦決勝で0-3で負けてしまったので、そんなんじゃ日本一なんてまだまだだと思うので、栃木県でも圧倒的に倒していけるチームになっていかないといけない」とまずは県内で絶対的な存在になることを誓っていた。

(取材・文 吉田太郎)

TOP