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[関東大会予選]成立学園が後半3発で健闘・石神井をねじ伏せる:東京

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[4.20 関東大会東京予選準々決勝 成立学園高 4-1 石神井高 駒沢第2]

 平成26年度高校サッカー関東大会東京都予選準々決勝が行われ、昨年全国高校総体に出場した成立学園高と都立勢の石神井高との一戦は4-1で成立学園が勝った。成立学園は26日の準決勝で駒澤大高と対戦する。

 試合開始直後に成立学園が左クロスのこぼれ球をエースMF上田悠起(3年)が頭で押し込んで先制。その後、ボールを支配した成立学園はキャプテンマークを巻くFW上村諒斗(3年)がシュートへ持ち込み、再三右サイドを駆け上がったSB吉田将也(3年)のクロスにFW町田ブライト(3年)が飛び込むなど、主導権を握ったように映った。ただ石神井は巧みなステップで相手DFをかわすFW榎戸亮平主将(3年)や身のこなしよく相手のプレッシャーを外すMF小柳優斗(3年)らを軸にPA近くまでボールを運んでくる。そして26分、相手の横パスをインターセプトしてから速攻に転じると、ポストに入ったMF塚本玄(3年)がワンツーで前を向いて左足一閃。ミドルレンジから放たれた一撃はGKの頭上を越えてそのままゴールへと突き刺さるスーパーゴールとなった。

 成立学園の太田昌宏監督が「前向かないで、後ろ後ろになってしまって長い横パスを引っ掛けてしまった。前半の試合を象徴していた。ああいうのが起こりうる雰囲気だったし、みんなのメンタリティだった」と首を振ったシーン。楔のパスが入ったり、サイドチェンジを通したり、ボールを握って攻めていた成立学園だったが、ターンして前を向いたり、個で仕掛ける選手が少なく、やや消極的だった中で横パスを引っ掛けられて追いつかれてしまった。

 一方、これで俄然盛り上がった石神井は内田の正確な左足キックやF町田のドリブル突破などからシュートシーンをつくられながらも、集中した守りで前半を1-1で乗り切った。相手を乗せてしまい、前半のうちに突き放すことができなかった成立学園。上田は「(追いつかれた後に)そこでいかに自分たちの流れにもっていけるかが、今後の試合で勝ち上がっていけるかにかかってくる。しっかりとやっていきたい」と反省していたが、切り替えて臨んだ後半開始わずか40秒で勝ち越しに成功する。コースを突いたシュートは石神井GK加渡主悟(3年)の反応が良く止められたが、こぼれ球を町田が押し込んで2-1。控え部員たちによる、「石神井、ここでかっ飛ばせよ!」の歌声の中、簡単には勢いの衰えない石神井もCB斉藤晃(3年)の無回転FKがゴールを捉え、カウンターから榎戸とMF谷村風(3年)のコンビで一気にゴールへ迫るなど反撃する。

 それでも切り替えの非常に速い守備で再三危険消していたMF守屋怜治(3年)や「まだ集中力を欠くところもあるけれど、ロングボールが多いチームだと跳ね返すところに集中できるのできょうあたりは良かったと思います」と太田監督が評したCB小池拓斗とCB内田悠麿(ともに3年)のコンビなど、成立学園はそれ以上の“対抗”を許さない。そして12分、カウンターから上田が右サイドのオープンスペースへ絶妙なパス。長い距離を走り抜けた上村が中央へ折り返すと、最後はラストパスを信じて中央へ走りこんだMF平園尚臣(3年)が難なくカウンターを完結させた。

 成立学園は19分にも再びカウンターから右オープンスペースへ展開。これを上田が得意の左足でダイレクトで折り返すと、交代出場のMF三角航平(3年)がゴールへ沈めて4-1とした。石神井も交代出場のFW堀江聖徳(3年)がスピードを活かして決定機をつくるなど諦めずに戦い続ける。ただ後半明らかにギアが上がった注目MF内田が自在に好パスを通すなど、緩めることなく5点目を狙って攻め続けた成立学園が4-1で白星を収めた。

 今年成立学園が掲げているスローガンは「One Heart」。上田は「今年の掲げた目標は『One Heart』。みんなで同じ絵を描いたサッカーをして、ひとつの相手にみんなで戦おうとやっている。自分ができることを最大限にやって、できないことは周りのみんなで補い合う。(去年の3年生のように技術の高い選手が揃っている訳ではないが)今年はひとりができないことをみんなで補っていいチームにしていきたい」。昨年は全国高校総体に9年ぶりに出場したが、高校選手権予選決勝は試合終了間際の失点で追いつかれ延長戦の末に敗れた。一丸となることで、個々のレベルが高かった先輩たちを越えてさらに高みへ。練習、そして1試合1試合が最大限の努力をして、全員でチーム力を高める。

[写真]成立学園の町田(左)は決勝点を決めた

(取材・文 吉田太郎)

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