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[2014 Rookie League]高い「可能性」示した静岡学園が市立船橋との好ゲーム制す!

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[5.18 2014 Rookie League Aグループ第2節 市立船橋高 2-3 静岡学園高 時之栖富士宮G]

 関東、静岡の強豪18校の1年生たちが優勝を争うU-16大会「2014 Rookie League」は18日、第2節を行い、市立船橋高(千葉)と静岡学園高(静岡)との名門校対決は静岡学園が3-2で競り勝った。

 静岡学園の齊藤興龍コーチが「まだ精度が低い部分があるし、決定率も低い。それでもなかなか可能性を感じられたゲームだった。(1選手を除いて)みんなが交代なく90分間やり通すことができたことは大きな経験」と微笑み、京都、鳥栖でプレーした経歴を持つ市立船橋・佐藤陽彦コーチは「選手たちは良く頑張ってくれたと思います。(連動性が少なく)個人個人だけになってしまっていましたけれど、チームとして習慣づけようとしているところをやろうとしている」と納得した表情を見せていた。静岡学園が個々のドリブル技術の高さをベースに、持ちすぎることなくボールを捌いて攻めれば、市立船橋はパススピードの速さと切り替えの速さにチャレンジし、スピード感のあるサイド攻撃からゴールネットを揺らす。互いにミス、課題も多かったものの、1年生らしく個々が思い切ったプレーを連発してチャンスをつくり合う好ゲーム。静岡学園が3-2で勝負を制した。

 序盤、静岡学園がビッグチャンスをつくる。技巧派軍団として名高い静岡学園のスタッフたちが“変態ドリブラー”と評すMF白川大吾廊をはじめ、MF洪永樹らがドリブルとアイディアのあるパス交換でバイタルエリアを切り崩す。ただ、市立船橋DF陣のプレッシャーからか、多くのシュートシーンをつくりながらも、味方の選手が天を仰いでしまうほど連続して決定的なシュートを外してしまう。

 逆にFW太田貴也やMF池村怜がキレのある動きでゴールへ迫る市立船橋は18分、相手の背後を取った太田がGKとの1対1を制して先制点を奪う。また守備面ではCB半田尚之を中心に複数で相手のドリブルコースを消して静岡学園の攻撃を遮断すると、素早い攻撃からFW原輝綺がシュートにまで持ち込んだ。 

 静岡学園は28分にも右サイドを破った白川のラストパスからMF稲葉彰将が決定的なシュートを放つが決めきることができない。ただ30分、中盤でインターセプトしたMF島田周汰がそのまま中央を駆け上がり、スルーパス。これをFW星野涼が右足で決めて同点に追いついた。初戦は控えで出場機会もなかった島田だが、この日はプレッシャーを引き付けてのパスやファーストDFを剥がすドリブルなどで躍動。齊藤コーチが「全然平気でしたね。主力と言っていいくらい」というほど、チャンスを掴むようなプレーだった。

 静岡学園はさらに43分、PAでDFを振り切った洪のゴールで逆転する。後半はボールを奪う回数の増えた市立船橋がMF増田迪那の縦へのドリブルやPA付近でパス交換するなど押し返す。それでも静岡学園は後半19分、この日抜群の突破力を示した白川が右中間からドリブルを開始すると、DFを引き付けて逆サイドでフリーの稲葉へラストパス。これを稲葉が左足で決めて3-1と突き放した。

 終盤は勝利への執念を見せる両チームによるオープンな撃ち合いに。市立船橋は22分に左サイドから素早くボールを動かすと、MF梶塚大哉がクロスバー直撃の右足シュート。そして35分には自らのクロスのこぼれ球を拾った増田が左サイドから出したラストパスを太田が決めて1点差とする。この後もクロスや背後を狙った攻撃で反撃する市立船橋だが、GK山ノ井拓己やCB嶋一駿中心に最後まで声を出して守る静岡学園はそれ以上の追撃を許さず、白星を掴んだ。トップチームの公式戦になれば、より厳しい守備の中でプレーすることになることは間違いない。それでも“静学らしさ”を全面に出して勝った静岡学園のDF福原涼太主将は「先制されても落ち込まずに前を向くことができた。(ドリブルだけでなく)1人1人パスの意識が強くなってゴールへ行くことができた」と語り、「Rookie Leagueは無敗で優勝を目指す。90分間フル出場して、走りぬいて勝利に貢献できる選手になりたい」と意気込んだ。

 1年生たちの目標はトップチームに入り、全国舞台で活躍すること。卒業するまでに訪れるであろうチャンスをいかに掴むことができるか。そのチャンスが訪れたときにいかにいい準備ができているかが重要だ。ほぼ全選手が卒業までに1度はトップチームの練習や練習試合に参加するという市立船橋の佐藤コーチは「コーチたちの話を音として聞いているのか、心で聞けているのか。(上辺だけで)ハイハイというのではなく、心で聞けている選手は取り組もうとしています。(常に高い意識を持ちながら)やり続けることは難しいこと。それができるか」と語った。市立船橋はすでに5人ほどトップチームに合流中。この日戦った両チームの出場メンバーたちは彼らのように上を目指して「Rookie League」や日々のトレーニングに臨んでいく。

[写真]前半43分、静岡学園は洪が勝ち越しゴール

(取材・文 吉田太郎)
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