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[プレミアリーグWEST]選手権覇者と総体日本一の対決はドローに

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[9.13高円宮杯プレミアリーグWEST第13節 富山一高 2-2 東福岡 富山一高G]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2014 プレミアリーグWESTの第13節が富山一高グラウンドで行われ、昨季の選手権王者である富山一高(富山)と今年の全国高校総体を制した東福岡高(福岡)が対戦。チャンピオン同士の一戦は2-2の引き分けとなり、勝ち点1を分け合った。

「インターハイ王者と選手権王者、どっちが強いか決めよう!」。大塚一朗監督による試合前の掛け声に後押しされ、ピッチに向かった富山一イレブンが序盤からチャンスを作った。4分には左サイドでボールを奪ったMF南田直樹が縦のスペースにパスを入れると、MF西村拓真がフリーで反応。パスが流れ良く繋がり、中央のFW坂本裕樹を経由し、反対サイドのMF久保佳哉に渡る。ゴール前を再び横断したボールを西村が合わせたが、DFに当たってCKとなった。

 幸先の良いスタートを切った富山一だったが、8分には相手陣内のボールロスから素早くサイドに展開され、FW赤木翼の飛び出しを許し、中に折り返したボールをFW木藤舜介にスライディングで押し込まれてしまう。先制点を奪われたものの、選手たちに動揺は見られず。サイドの縦突破を中心に攻める東福岡に対し、放生祥季、藤井陽平の両SBが身体を張って、クロスを入れさせず。ゴール前でもCB村上寛和を中心とした守備陣がしっかりと跳ね返していく。

 焦れずに守備からリズムを掴んだ富山一は「給水直後にフォーメーションを変えるから、そこで点を獲ろうと選手たちに声をかけていた」(大塚監督)というプラン通り、前半の半分を過ぎた辺りからこれまでの基本フォーメーション「4-2-3-1」から変更。先日のEURO 2016予選の対スイス代表戦で見せたイングランド代表の戦いから「スイスの4-3-3に対し、中盤が上手く守れていたし、同じフォーメーションの東福岡相手に使えるのではと思った。何より2トップの動きが参考になった」(大塚監督)とヒントを得た「4-2-2-2」に変えて、攻撃のギアを入れた。激しい守備でボールを奪うと素早くルーニー役の西村、ウェルベック役の坂本裕樹へと預け、二人の仕掛けに2列目が絡む形で相手を押し込み始めた。

 狙い通り32分にはMF久保佳哉のパスを左サイドで受けた西村がドリブルでゴール前に切れ込み打ったシュートを左隅に決めて同点に追いつくと、後半2分にも中盤からMF河崎輝太が素早く縦に蹴り込んだボールに坂本が反応。一人でPAまで持ち込んでゴール左隅に流し込んだ。

 逆転に成功した富山一は6分にも河崎のシュートがポストに当たったこぼれ球を坂本が押し込み、再び歓喜に湧いたが判定はオフサイド。3点目獲得とはならなかったが、以降も狙い通りの堅守速攻スタイルで相手を手玉にとり、試合を進めていく。終盤に入ってからは交代の枠を使い切り、逃げ切りにかかったが40分、途中出場の東福岡MF坂井翔太に右サイドを破られ、シュートを許してしまう。GKがこぼしたボールをMF藤川虎太朗に押し込まれ、同点に追いつかれるとそのまま試合終了となった。

 試合後、大塚監督が「形良く奪って堅守速攻がうちの持ち味。奪ったボールをアタッカーに素早く預けるまでの形が今日は上手く出せたかなと思う」と笑顔を見せたのに対し、東福岡・森重潤也監督は「ゲームとしては勝ち点0で終わるよりは1の方が良い。もう一つ勝ち点3まで持ち込めなかったのは色んな課題が出てしまった結果だと思う」と険しい表情を崩さず。冬の王者と夏の王者による戦いは結果こそ引き分けながらも両者、明暗が分かれる試合となった。

(取材・文 森田将義)

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