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「九州のてっぺん獲る」という目標、復権まであと1勝!国見が東福岡をPK戦で撃破!

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[2.15 九州新人大会準決勝 東福岡高 1-1(PK2-4)国見高 東崎公園サッカー場]

 第36回九州高校U-17サッカー大会(九州新人大会、沖縄)準決勝で、昨夏の全国高校総体で優勝した東福岡高(福岡1)と、最多12回目の九州新人大会優勝を狙う国見高(長崎2)が激突。1-1で突入したPK戦を4-2で制した国見が大津高(熊本1)との決勝へ進出した。

「PKに入る前の気持ちは、最後円陣組んでみんな(自分の)背中叩いて、想いが伝わってきて。1本は止めようと思っていました」。仲間からの想いを背中で感じ取っていた国見GK紫垣亮(2年)が期待に応えてPK戦でビッグセーブを見せる。まずは東福岡の2人目、MF橋本和征(2年)の左足シュートを左へ跳んでわずかに指先で触り、ポストへはじき出すと、止めれば勝利の決まる4人目の左SB福重達也(2年)のシュートも身体全体でストップ。この瞬間、伝統校・国見にとって8年ぶりとなる決勝進出が決まった。

 全国高校選手権優勝6度、高校3冠を達成するなど80年代から00年代前半にかけて高校サッカー界で最強の地位を確立していた国見だが、近年は低迷。10年度の全国高校選手権を最後に夏冬通じて全国大会の出場は一度もない。また九州大会の舞台からも遠ざかっていた国見だが、今大会で躍動している。予選リーグ初戦で東福岡と2-2で引き分けると、続く鵬翔高(宮崎1)戦を1-0、那覇高(沖縄2)戦を3-1で制して無敗で準々決勝進出。この日は午前中の準々決勝で地元・沖縄第1代表の那覇西高に4-1で逆転勝ちすると、午後の東福岡戦でも終盤の劇的な同点弾からPK戦勝利。今大会から監督を務める小嶺栄二監督は「1点ビハインドでもまた同点、逆転していく力強さはここ数年なかった。1点取られると、2点3点取られるチームだったんですけど。(今大会は)まだ行ける、まだ行けるという雰囲気がある」。試合ごとに自信を増して内容も向上している国見が、昨夏の全国王者である東福岡相手に劣勢を跳ね返し、決勝切符をもぎ取った。

 序盤からボールを支配したのは東福岡。ショートパスを多用しながら、サイドチェンジを繰り返して国見守備陣に揺さぶりをかける。対して国見は連続したプレスからボールを奪い、縦に速い攻撃。9分に左サイドを駆け上がったFW平島祐貴(2年)からのパスを受けたMF内藤総也(2年)が右足シュートを放つと、10分には中央突破したエースFW酒井信磨(2年)がドリブルシュートへ持ち込む。16分にもドリブルで持ち上がったMF彦坂亮太(2年)からのラストパスがPAの酒井へ通りかけた。そして25分、平島が中央から右前方へスルーパス。これに反応した酒井が決定的な右足シュートを放った。これは東福岡のU-17日本代表GK脇野敦至(2年)に阻まれたものの、27分にも中央で2人を振り切った酒井のドリブルからチャンスが生まれるなど攻撃に勢いがあった。

 だが、脇野やCB山田英二(2年)を中心に要所を締める東福岡は動じない。18分にはMF鍬先祐弥(1年)のサイドチェンジからMF毎熊晟矢(2年)がつなぎ、MF中村健人(2年)が右足ミドル。21分にも中村のドライブ回転をかけた左足ミドルがクロスバーをかすめる。22分には体調不良からか、動きの重かったエースストライカーFW餅山大輝(2年)が交代。今大会を発熱の影響で欠場している14年U-16日本代表候補MF藤川虎太朗(1年)に続くアクシデントとなったが、それでも35分、東福岡は右CKのこぼれ球から橋本がクロスバーを叩く左足ミドルを放つと、その跳ね返りを山田が頭で押し込んで先制した。
 
 リードした東福岡は後半、両ワイドを起点とした攻撃で追加点を狙う。15分には最終ラインを攻略した中村がGKと1対1となった。だが、国見は距離を詰めたGK紫垣が阻止。また、相手のサイド攻撃に益田勇輝(2年)と大場大生(2年)の両SBが食らいつき、中央ではCB重本修作(2年)とCB菅田真啓(2年)が必死に相手の攻撃を跳ね返す。セカンドボールを回収する回数も増えた。そして攻撃面でもミドルシュートや重本が連続で投じたロングスローなどから高さを活かして反撃した国見が試合終了3分前に同点ゴールを奪う。32分、内藤の左ロングスローのこぼれ球を彦坂が右足シュート。地面すれすれの弾道を描いたミドル弾がゴール右隅へ突き刺さった。

 東福岡が試合終了間際に迎えたチャンスは福重のシュートを菅田が身体を張って阻止。PK戦に持ち込んだ国見は守護神の活躍と、MF清光脩帆主将(2年)、MF藤原綾哉(2年)、重本、内藤と4人連続でコースへきっちりと決めたシュートによって決勝進出を果たした。国見は今回の新人戦県大会準決勝の創成館戦で勝利するまでPK戦で6、7連敗していたというが、この日も練習の成果を発揮するPK戦勝利。同点ゴールの彦坂は「この大会での優勝目指して日々努力してきたのでここまで来れて良かったです」。一方。東福岡の森重潤也監督は「甘いですよ。国見は上手くはなかったかもしれないですけれど、勝負強さがあった。(東福岡の選手たちが)こういう経験を踏みながらどこまで行けるか」と語っていた。

 復権まであと1勝とした国見の小嶺監督は「もっと高いところを目指してやっていきたい。選手からいい経験をもらっています。地元も応援してくれている。勝って長崎に帰りたいと思います」と口にし、PK戦勝利の立役者となった紫垣は「あと1勝。九州のてっぺん獲るということを目標にしてきたので、あとひとつ勝ちたいと思います。(そして)昔ほど(の強さ)ではないですけど、今年全国のピッチで青黄のユニフォームを。全国の人が応援してくれているので見せたい」と語った。挑戦者として今大会に臨んでいる伝統校・国見が、決勝でもすでにJ2デビューを果たしているCB野田裕喜主将(2年)をはじめ、タレント揃う大津戦勝利に挑戦する。

[写真]PK戦で2本をストップし、国見を決勝へ導いたGK紫垣

(取材・文 吉田太郎)

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