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「進化は止まらない」決勝5発の大津が26年ぶりの九州新人戦制覇!

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[2.16 九州新人大会決勝 国見高 0-5 大津高 西原町民陸上競技場]

 第36回九州高校U-17サッカー大会(九州新人大会、沖縄)は16日、決勝を行い、大津高(熊本1)が国見高(長崎2)に5-0で快勝。26年ぶり2回目となる優勝を飾った。

「次に繋がるいい大会でした。26年ぶりの優勝なので感激しています」。大津の平岡和徳監督は沖縄から熊本へ戻る航空機の離陸時間が迫っている関係で試合直後に一言だけ残して会場を後にし、選手たちも表彰式の10分後には移動バスに乗るという慌しさだった。四半世紀ぶりとなる優勝の喜びをスタジアムで味わった時間はわずか。それでも各チームの指導者たちが強さを認めた大津は、決勝で伝統校の国見から5ゴールをもぎ取って堂々の九州制覇を成し遂げた。

 今大会、印象的な戦いを見せた国見はFW酒井信磨(2年)とFW平島祐貴(2年)の2トップのスピードや182cmCB菅田真啓(2年)をはじめ、先発の身長180cm台が4人、170cm台の選手が7人という高さ、失点を挽回する粘り強さも併せて勝ち上がった。相手のスペースを上手く消しながら、ゴール前では菅田やCB重本修作(2年)が確実に危険を消していく。相手に押し込まれても最後のところで決定的なシュートを打たせないしたたかな守り。対する大津はMF河原創(2年)、MF吉武莉央(2年)、MF河田健太郎(2年)を軸にボールを左右に動かして攻めると、左MF原岡翼(2年)の仕掛けや左SB杉山直宏(1年)がPAを縦に割って入ってシュートを放つなどゴールへ迫る。だが、国見の守りは分厚く、簡単には破ることができなかった。

 それでも国見・小嶺英二監督が「9番(一美和成)を警戒していたんですけど、あそこで起点をつくられて動かれてというシーンが続いた」と振り返ったように、日本高校選抜FW一美和成(2年)が個の強さを発揮し、前線でポイントをつくって押し込む大津は17分、河原の左CKのクリアボールに反応した杉山が左足シュート。一瞬足の止まった国見DFの間を鋭く抜けたボールはそのままゴール右隅へ突き刺さった。期待の1年生が決めた一撃でリードを奪った大津はさらに21分、テンポのいいショートパスで相手のDF間を広げると、最後は一美のスルーパスで抜け出した右SB坂田直樹(2年)が右足でゴールへ流し込んで2-0とした。

 大津は30分にもMF田代圭汰(1年)のアシストからPAへ抜け出した河田が3点目のゴール。また守備面についても、国見のパワーある攻撃に対して日本高校選抜CB野田裕喜主将(2年)が「2トップがストロングポイントということで、そこはしっかりとケアしようということは昨日の自分たちのミーティングで話していました。前半1本やらせてしまったし、100点とは言えないですけれども、ある程度抑えられたと思います。ロングスローも昨日話していて、ボランチの(河原)創を前に1人置いてサンドしてやるという対応で、全部が全部上手く行った訳ではないですけど、失点しなかったのは良かったと思います」と振り返ったように、野田やCB眞鍋旭輝(2年)が相手のストロングポイントを封じて得点を許さない。

 後半は国見もよく押し返していた。酒井やMF内藤総也(2年)のボールキープから敵陣でアタックする回数を増やしたが、大津GK前田勇矢(1年)が守るゴールを破ることはできず。逆に大津は13分に連続攻撃から最後はPAのこぼれ球を坂田が右足で打ち抜いて4-0。35分には左サイドをMF鶴崎大詩(1年)と杉山のコンビで崩すと、杉山のラストパスを吉武が身体ごとゴールへ押し込んでゴールラッシュを締めた。

 昨年の全国高校総体準優勝メンバーである野田や一美、河原、DF大塚椋介(2年)を残し、昨年怪我に悩まされた10番MF吉武も復活。大津は今大会開幕前から前評判が高かった。予選リーグこそ、1勝1分1敗と足踏みしたが、準々決勝で長崎総合科学大附高(長崎1)を3-1で破り、準決勝では河田の劇的な決勝点によって鹿児島実高(鹿児島1)に2-1で逆転勝ち。「鹿実戦は後半オウンゴールで失点して厳しい時間帯もあったんですけど、それでも逆転できたのが今の自分たちの強みなのかなと思います」と野田が説明したチームは決勝で5ゴールを奪って国見を圧倒した。野田は「(決勝では)前半幸先よく3点獲れて、後半は相手じゃなくて、自分たちのサッカーの質をもっと高めてやろうという話ができて2点追加点獲ることができたんですけど、まだまだやらないといけないことがあると実感しました。自分たちの目標は県内3冠であったり、日本一なので進化を止めてはいけない。自分たちは全然強くないんで、もっともっと謙虚になってやっていかなければいけない」。26年ぶりの新人戦九州王者となった大津のターゲットは県内3冠、そして初の日本一。満足することなく謙虚に、次の目標へ向けて進化を遂げる。

(取材・文 吉田太郎)

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