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「注目された方がやりやすい」すでにJ2デビューの大津CB野田裕喜が、九州の頂点に

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[2.16 九州新人大会決勝 国見高 0-5 大津高 西原町民陸上競技場]

 注目される中で結果を残した。大津高のU-18日本代表CB野田裕喜主将(2年)は昨年11月、高校2年生ながらロアッソ熊本の特別指定選手として福岡戦でJ2デビュー。それも先発フル出場して勝利に貢献している注目株だ。そして今年1月にはU-18日本代表の一員としてロシア遠征を経験。今月には日本高校選抜にも選出された。すでにJクラブから来季加入への正式オファーが届くなど、逸材獲得へ向けて今後争奪戦になりそうな様相。その中で迎えた九州新人大会で「自分は結構注目された方がやりやすくなる。そういうプレッシャーというのを力に変えて、それ以上のパフォーマンスを発揮できるようにやっていきたい」という“強心臓”の野田は、大津を26年ぶりの優勝へ導いた。

 決勝で対戦した国見高は先発全員が170cm以上で180cm以上の選手も4人。準決勝の東福岡戦ではロングスローのこぼれ球から同点ゴールを奪い、予選リーグの鵬翔高戦でも同様の形から決勝ゴールを奪うなど高さや縦へのスピードを活かした攻撃で勝ち上がって来ていた。だが、181cmのCB野田はパートナーのCB眞鍋旭輝やMF河原創と連係を取りながら、制空権を与えず。相手のセットプレーもゴール前に落とすことなく、しっかりと弾き返していた。国見の小嶺英二監督は「ウチのストロングポイントである高さで圧倒された」と認めていたが、野田をはじめとした大津守備陣は相手の武器を消して勝利を勝ち取った。

 野田は決して、抜きんでたスピードを持つわけではない。だが、身体の強さ、守備能力の高さに加えて鋭い読みであったり、工夫しながら相手に対応したりできるところが彼の良さ。U-18日本代表として臨んだロシア遠征で身体能力高い相手と対峙したが「身体もデカいし、強いし、足も速いんですけど、そういう相手に自分は予測だったり、工夫してボールを奪うとかを意識してやっていたので全然問題なかった」という。また「自分はJデビューした時に『やれるな』と思ったのは、ボールを持った時に落ち着いてビルドアップできるところと対人で簡単に負けないところ」。その注目CBは上で戦える選手になることを目指している。九州制覇した新人大会後は再び特別指定選手として熊本で活動することが濃厚だ。

 J2デビュー戦は大津の平岡和徳監督も「普通にやっていましたね」と微笑むような堂々たるプレーだった。その中で「(J2の試合で課題として感じたことは)高さで空中戦だったり、自分の後ろに入ったボールの対応だったり、そういう部分はまだ成長しなければいけない。高校生相手だとやれるというのが、プロに行ったら工夫だったり、考えが柔軟でなければいけないと思った。チャンスがあれば挑戦したい」と語る野田は再び訪れるであろうプロでの戦いに腕を撫している。それに取り組む姿勢は至って謙虚。「まだまだプロで活躍できるレベルではないので、早くそのレベルに達して謙虚になって成長できればと思います」。今年、大津が掲げている目標は県内3冠、そして日本一。注目CBが今年、大津で、プロの世界で自身を磨く。

(取材・文 吉田太郎)

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