beacon

[プリンスリーグ関東]課題残すも意地見せあった等々力決戦、川崎F U-18対桐光学園は2-2ドロー

このエントリーをはてなブックマークに追加

[8.30 高円宮杯プリンスリーグ関東第12節 川崎F U-18 2-2 桐光学園高 等々力]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2015プリンスリーグ関東は8月30日、第12節2日目を行い、等々力陸上競技場で開催された4位・川崎フロンターレU-18対6位・桐光学園高戦は2-2で引き分けた。

 川崎Fの10番MF三笘薫が「決めきらないと勝てないと痛感した試合でした。悔しすぎますね」と首を振り、桐光学園のMFイサカ・ゼインは「勝ち切れたゲームだった。やっぱりもったいないというのが一番あります」と唇を噛んだ。ともに「勝ち切れなかった」と悔しがった“川崎ダービー”は勝ち点1を分け合う結果となった。

 バリエーションある攻撃からチャンスをつくり出す川崎Fは前半、特に三笘や右サイドのMF渡邉啓太郎のドリブル突破が脅威に。18分、20分と三笘からのパスを受けたエースFW岸晃司がシュートを放つと27分には右サイドを破った渡邉の折り返しを岸が合わせ、36分には中央から仕掛けた三笘が自らのスルーパスのこぼれを右足で狙う。岸が「最初は緊張というよりも興奮の方が、やりたいという気持ちの方が強かった」という川崎Fがホーム・等々力に1000人近い観衆が集まった中で、アグレッシブな攻撃を見せる。

 危ういシーンが多かった桐光学園もカウンターからイサカがフィニッシュまで持ち込むなど、刺し返す力を示す。34分にはGK名良橋拓真の好セーブに阻まれたものの、U-18日本代表FW小川航基の右足FKがゴールを捉える。さらに39分には左サイドを突いたイサカのパスからFW桑原孝太郎が決定的な左足シュート。そして前半アディショナルタイムには中央から右サイドへ展開し、攻撃参加したSB佐藤海徳がクロスを放り込む。ファーサイドでマークを外した小川が頭で正確にゴールへ押し込んで先制した。

 桐光学園は後半開始直後にも加点する。左中間からイサカ、小川、MF鳥海芳樹と繋ぎ、最後はDFを右側から外した鳥海が右足でゴールを破った。堅守・桐光学園が掴んだ2点のリード。だが有力校のひとつとして臨んだ全国高校総体1回戦・久御山高戦で2点リードから追いつかれてPK戦で敗退し、その後の練習試合でも2-0から追いつかれる試合が続いているというチームは、リードを守ることができない。川崎Fは2点目の失点直後に波状攻撃。渡邉の左足シュートがクロスバーを叩き、混戦から左SB川崎晶弘が放ったヘディングシュートも左ポストに直撃してしまう。それでも8分、FW瀬川セーシャの右足シュートのこぼれ球を右SB島崎竜が右足で押し込んで1点差とする。

 桐光学園の小川は「決められた後、決めた後の最初の5分を大事にしていて、決められたあとも大丈夫だということ、ここからギアチェンジしていけば大丈夫だということを伝えているんですけど。ギアは上がっているんですけど決めきれない、守り切れないというのは凄く課題になりましたね」。桐光学園は18分に桑原孝が右中間を抜け出すが、飛び出したGK名良橋が手に当ててセーブ。33分には鳥海のスルーパスで再び桑原孝が決定機を迎えたが右足シュートはゴール左へ外れてしまう。一方の川崎Fは交代出場の注目中学生、U-15日本代表FW宮代大聖が20分、22分と立て続けに決定機を迎えたが、「最後慌てるじゃないけれど、気持ちが入りすぎて」(今野章監督)決めきることができない。

 それでも川崎Fは後半39分、三笘の絶妙なスルーパスから交代出場のFW藤井柾人が右足で同点ゴール。岸は「雨の中、多くのお客さんが来てくれたので力になったと思います」と感謝していたが、その思いをゴールに結びつけた。この後、桐光学園は再び突き放すチャンスを迎える。40分には桑原孝が右サイドを抜け出したが、シュートはゴール右。43分には佐藤のグラウンダーのラストパスがゴール前の小川へ通るが、合わせることができない。アディショナルタイムには小川の右足ミドルがゴールを捉え、直後にも右クロスから胸コントロールした小川が右足シュート。だが、これはゴールライン上の川崎F・DFが凌ぎ、勝ち越しゴールは生まれなかった。

 プリンスリーグ関東からプレミアリーグ参入戦への切符は3枚。2位・前橋育英高と3位・横浜FMユースが引き分ける中、4位・川崎F、6位・桐光学園ともに順位を上げるチャンスを活かせず。ともに課題が見えた試合だったが、同じ川崎市内のライバル相手に意地を見せた試合でもあった。川崎Fの今野監督は「簡単に勝てる訳じゃないよねっていう部分で攻守の最後の決める、やらせないというところにこだわって、チームとしても後半の入らせ方とか一週間立て直していく」と語った一方、「勝たなくてはならない引き分けでしたですけど、頑張ったところは評価しなければならない」。一方の桐光学園はまたも2点差を追いつかれる展開に危機感を感じていた様子。イサカは「こういう勝てそうなゲームを何回も引き分けにしていますし、粘り強さは去年の方が上回っていると思う。課題だと思います。やっぱり一番はメンタルの問題」と語り、小川もこの後控える選手権予選、プリンスリーグ後半戦へ向けて「インターハイの座間戦(0-0からPK戦で勝利)なんて初戦でガチガチになっていたところもあった。練習とかで自信をつけていけば初戦でガチガチになることもなくなると思う。終わった後に(鈴木勝大)監督にも言われたんですけど、練習から意識が低いということを言われたので、突き詰めていかないといけない」とトレーニングからより意識を高めることを求めていた。

[写真]後半1分、桐光学園はMF鳥海が決めて2-0としたが・・・

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
【特設】2015 プリンスリーグ関東

TOP