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[ミズノカップIN香川]目標は優勝、厚い選手層の中で切磋琢磨する仙台育英がPK戦で近大和歌山下してまず1勝

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[3.29 ミズノカップIN香川予選リーグBパート第1節 仙台育英高 1-1(PK4-3)近大和歌山高 瀬戸大橋記念公園球技場コート2]

 第4回ミズノカップU-18 IN うどん県(香川)2016Bパート第1節で仙台育英高(宮城)と近大和歌山高(和歌山)が激突。ともに全国経験豊富な伝統校対決は、仙台育英が1-1で突入したPK戦を4-3で制した。

 仙台育英は札幌の強化部長や川崎Fのスカウト部長などを務めた経歴を持つ城福敬監督が「優勝狙うつもりでこの大会を戦うと言ってある。優勝できるための勝負を意識してやろう」とハッパをかけて臨んでいる大会だ。今年はCB中川宗一郎(新3年)が「(城福監督たちからは)ちゃんとやれば今年は全国優勝狙えるチームだと言われている。全国優勝狙えるチームになりたいと思います」という期待の世代。実際に指揮官も選手層の厚さなど、今年のチームのポテンシャルの高さを認めているが、この日は長距離移動やオフ明けの影響があったか、動きが重く苦しい試合になった。これについては城福監督も「平均値的には昨年よりできる“はず”。でも“はず”じゃアカン。安定しないといけない」と指摘していた。

 前半、仙台育英はなかなかシュートまで持ち込むことができず。それでも前半終了間際にCKから右SB石川巧実(新2年)がヘディングシュートを決めてリードを奪う。だが、近大和歌山は後半開始直後、中央から左サイドへ展開すると、最後はSB小畑甚(新3年)の折り返しをFW森下敬介(3年)が右足で合わせて同点に追いつく。仙台育英は7分、FW辻賢邑(新2年)が強引に放った右足シュートがポストを叩くが、主導権を握っていたのはMF藤原渓(新3年)や森下を起点にFW村雲秋斗(新3年)や交代出場のFW橋爪凌(新3年)が前線で鋭い動きを見せる近大和歌山だった。

 後方からボールを繋ぎながらタイミングの良い配球からスペースを突く近大和歌山は24分にショートコンビネーションから藤原がシュートへ持ち込む。一方の仙台育英は交代出場のFW千葉奨(新2年)が右サイドで圧倒的なスピードを披露。10分にDF2人を簡単に置き去りにするなど、武器を活かして突破口の役割を果たしていた。その千葉やMF大竹凌(新3年)を起点に攻め返した仙台育英だが、安定感高いGK谷口智洋(新3年)を中心とした近大和歌山のゴールをこじ開けることができなかった。

 試合は1-1のままPK戦へ突入。仙台育英の交代出場GK佐藤良(新2年)が相手の2人目を止めたのに対し、近大和歌山も決められれば敗戦の決まる相手5人目のシュートをGK谷口がストップ。だが、直後に近大和歌山5人目のシュートが枠を外れ、仙台育英の勝利が決まった。

 今回、仙台育英は城福監督が「24人、25人くらいは力が似ている。競争させようと思った」と説明した理由で40人ものメンバーがミズノカップに帯同。試合後にはユニフォームのままの選手たちを含めてすぐにピッチサイドで1時間ほどのトレーニングを行っていた。中川は「(現在)ケガで離脱している選手とかいるんですけど、去年だったらケガしても復帰したらそのままスタメンに戻っていたんですけど、今年はすぐ入れ替わるし、紅白戦でAとBがやってもAとCがやっても差がつかないし、メンバーがすぐに入れ替わる」。それほど層が厚い中で選手たちは切磋琢磨している。

 昨年はFW櫻井敬正という絶対的なエースがいて彼ら主軸に頼りすぎた面があった。彼らがケガや調子を落としたり、厳しいマークにあったりすると、それが影響してしまって敗戦。総体も、選手権も昨年は全国に手が届かなかった。だが、今年は層の厚さに加えて、日常から雰囲気や意識が向上している実感があるという。中川は「練習が締まっている。オフの場面でもサッカーのことを話すことが増えた。ミーティングも増えている」。全国を逃した昨年から変わった仙台育英。激しいチーム間競争の中で力を磨いて県内ではもちろん、全国でも勝ち続けるチームになる。優勝を狙う今大会はまず予選リーグを1位突破する。

(取材・文 吉田太郎)
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