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[ミズノカップIN香川]“愛媛らしく”心打つサッカーを、より個の強化を、愛媛U-18が各務原に1-0で勝利

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[3.29 ミズノカップIN香川予選リーグCパート第1節 各務原高 0-1 愛媛FC U-18 瀬戸大橋記念公園球技場コート2]

 全国の強豪16チームが優勝を争う第4回ミズノカップU-18 IN うどん県(香川)2016が29日に開幕し、Cパート第1節で1月の全国高校選手権16強の各務原高(岐阜)と昨年プリンスリーグ四国2位の愛媛FC U-18(愛媛)が対戦。FW木田寿輝斗(新2年)の決勝ゴールによって愛媛U-18が1-0で勝った。

 理想とするのは昨年のトップチームが示した、“愛媛らしく”戦い、見る者を感動させるようなサッカー。愛媛のOBであり、強化育成部ダイレクタ―も務める青野大介監督は「あれが本当に“愛媛らしさ”だと思うんですよ。粘り強く、やる。(トップチームの監督として)木山さんが来て、改めて実感したというか、見ていてとても感動しましたし、子どもたちにもそれを求めています」と説明する。昨年のトップチームは苦しい展開の試合でも粘り、数々の1点差のゲームをものにしたり、勝ち点を積み重ねてクラブ史上最高のJ2で5位。U-18チームは個の向上、またスタイルを貫く部分も持ちあわせながら、どのような環境でもサポーターの心を打つようなサッカーを展開することを常に意識している。

 この日は1点勝負の展開を勝ち切った。愛媛は、最終ラインから丁寧にボールを動かし、左SB増田周大(新2年)、FW田村勇士(新3年)、MF今井寛士(新3年)の連係でシュートを狙ったりするシーンがあった一方、でこぼこなグラウンド状況の中でシンプルにパワフル系FW木田へ預ける部分も交えて攻める。また、FW山口剛(新2年)や注目ルーキーの交代出場MF岩井柊弥(新1年)がチャンスメーク。一方の各務原は局面局面でしっかりボールをキープしながら、タイミングよくスペースを狙った攻撃やコンビネーションでゴールを目指していく。そして、右SH内藤汰貴(新2年)との連係から右SB黒木雄太郎(新3年)が素晴らしいスピードでオーバーラップ。FW山内駿(新3年)やFW小川龍人(新2年)がシュートへ持ち込もうとする。

 愛媛は相手に背後を狙われるシーンが多かったが、「去年、トップは結構1点差の試合が多かった。トップはしっかり守って一発に懸ける戦いをしていた。今年はどちらかというと守備的なチーム。我慢して、セットプレーなどで1点を取って勝ち切る。応援に来てくださる保護者の方やプリンスリーグでも応援に来てくださるサポーターの方がいるので勝つことはもちろん、しっかりいいプレーをして勝つことを意識していきたい。球際では普段から絶対に負けないことはやっていますし、技術、気持ちでも負けない」と語るCB三輪田竜生(2年)やGK林純平(2年)らを中心に完封。そして後半22分に木田が決勝点をもぎ取った。22日から25日まで関西遠征を行って関西学院大や関西大と練習試合を行い、「大学生とやっても攻められても身体張りまくって止めていた」(青野監督)という愛媛は球際で身体を張る部分も徹底。簡単にシュートを打たせずに、1点リードを守り切った。

 愛媛U-18は近年、より個の力を上げることにフォーカスする方針へ舵を切った。これまではしっかりと判断し、攻守両面でサポートを繰り返しながら戦うことにやや重心が傾いていたが、12年にトップ昇格を果たしたMF藤直也(現愛媛)を最後に5シーズン、U-18チームからトップチーム昇格ができていない状況。もちろん、ボールを失わないで全員攻撃・全員守備をすることも大事にしながら、一方で青野監督が「ボクらは5年間上に上げていなくて、その現状を変えないといけない」と説明したように、チームはよりシンプルな攻守をするシーンを増やすなど、局面を個の力に任せるような状況をつくり出して、個の成長を促すことも目指している。

 練習施設の問題もあって一時はU-18チームの1学年の人数を少なくしていた時期もあるが、新2年生以降は再び人数が2ケタとなり競争も増加。チームはトップチーム昇格や日の丸を背負って戦う選手を育成するために、取り組みを変化させている。三輪田は「監督は常に選手に対して厳しいこと言ってくれますし、練習のあとに自主練したり、個人を成長させるのはスタッフ、選手も大切にしているところ」。愛媛のU-18チームは1人でも多くの選手がトップチームに駆け上がるために努力を続けながら、試合では見る者を感動させるようなサッカーを表現する。そして勝つこと。プリンスリーグ四国開幕直前の今大会の目標は、優勝しかない。

(取材・文 吉田太郎)
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