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[プリンスリーグ東海]「もっと自分の特徴を出してほしい」例年以上の選手入れ替えでアピール促す静岡学園が5発快勝

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[7.2 高円宮杯プリンスリーグ東海第7節 東海学園高 0-5 静岡学園高 東海学園大三好キャンパス第1G]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2016 プリンスリーグ東海第7節が2日に行われ、東海学園高(愛知)と静岡学園高(静岡)が対戦。前半39分に奪ったFW福原涼太の先制点を皮切りに5得点をマークした静岡学園が今季2勝目を手にし、8位から6位へ順位を上げた。

 序盤から試合を支配したのは、静岡学園だった。「安全にボールを繋ぎながら、相手を疲れさせ、自分たちの持ち味のドリブルとスルーパスで崩そうと狙っていた」とMF若山修平が振り返ったように、MF渡井理己とのダブルボランチを起点にゆったりパスを動かし、試合を支配。相手を揺さぶりながら、突破力に秀でたMF白川大吾廊塩浜遼の両翼を活かし、見せ場を作った。前半6分には左サイドに開いて受けたFW星野涼が中央にパス。走り込んだ福原がファーストタッチでPAに抜け出し、シュートを狙ったが枠を捕えることができない。対する東海学園もゴールを持たれながらも機を見ては攻撃に転じ、エースFW伊藤祐輝を中心に積極的にシュートをお見舞いする。11分にはDF花下聖弥の左クロスを伊藤が頭で合わせたが枠の外。12分にも相手のミスから高い位置でボールを拾ったMF前原亮輝がミドルシュートを放ったが、ポストに阻まれた。

 一進一退の攻防が続く中、28分には再び静岡学園にビッグチャンスが訪れる。相手ゴール前での細かいパス回しから福原がPA左を抜け出し、ゴールに襲い掛かったが、シュートはGK戸松賢也がブロック。PA中央にこぼれたボールをMF稲葉章将が拾い、落ち着いてDFをかわすと冷静にループシュートを繰り出した。ボールはGKの頭上を抜けたものの、DF森悠太がヘディングで跳ね返し、またしてもゴールネットを揺らすことができない。

 試合を優勢に進めながらも「暑さがあって、序盤から緩くなってしまった。特に攻撃はセーフティーなプレーが多くて、単調になりすぎた」(川口修監督)ため、得点が奪えない静岡学園だったが、よくない流れを断ち切ったのは「総体予選で1点も獲れていないし、今年はほとんどゴールを奪えていない」(川口監督)というセットプレーから。39分に若山がゴール前に入れた左CKを福原が頭で合わせて先制すると、前半終了間際の45+5分にも左サイド高い位置で得たFKを若山がゴール前に蹴り込むと、DF岡野悠太が決めてスコアは2-0に。2点をアシストした若山は、「今週はセットプレーの練習を増やしたので、ここで活きて良かった」と口にした。

 後半に入ってすぐに東海学園はPA手前で得たFKのこぼれから伊藤が右ポスト直撃弾を放ったものの、反撃はここまで。気温33度という暑さの中、前半から静岡学園のボール回しに走らされた東海学園のペースが落ちていく。一方の静岡学園は後半頭から投入されたルーキーのMF清水稜馬を皮切りに交代枠5枚をフル活用。フレッシュな選手の働きによって、攻撃の勢いが増していく。後半24分には途中出場のMF戸田大智自らが放ったシュートのこぼれ球を押し込んで3点目。30分には渡井のパスをPA右で受けた福原がゴール左隅に強烈なシュートを叩き込んだ。締めくくりは34分。左サイド戸田からのパスにPA中央付近で渡井が反応すると、トラップした勢いのまま左に流れて、DF坂西望とスイッチ。DFの対応が遅れ、フリーとなった坂西が冷静に決め、5-0でタイムアップを迎えた。

 昨年、プリンスリーグ東海の頂点に立った静岡学園だが、今節を終えるまで勝利を手にしたのは第5節の東邦高(愛知)戦のみで勝点が伸び悩んでいた。低迷の理由は、元々「選手を実戦の中で鍛える。練習ではなく、試合の中で良いか悪いか。ちゃんとトライしているか、していないかをチェックする」(川口監督)というスタンスをより強めたから。今年は例年よりも積極的に選手の入れ替えを実施。前節から半数近くのスタメンが入れ替わることもざらにある状況かつ、不慣れなポジションを務める選手も多い中で、ここまで試合を進めてきたため、取りこぼしが多かった。

 競争を煽るのは、「今年は小粒。積極性がもっと欲しい」と指揮官が評する今年の選手のアピールを促すため。「技術的には低くないんですけど、もっと自分の特徴を出せる選手になって欲しい。大島僚太(川崎F)や福島春樹(鳥取)など大学やプロでやっている選手は高校の頃から『自分がやってやるんだ』という姿勢が強かった。でも、今年の選手はやればできるのにミスを恐れて、積極的にやれない。ミスをしないプレーを選択する今風の選手が多い。『俺はこういうプレーができるんだ!』というのをもっと出してほしい」と川口監督は続ける。

 この日は、戸田と坂西が途中出場で得点をマークし、存在をアピールしたが、全国総体そして選手権で大暴れするためにはまだ足りない。「サッカーセンスはかなり良い」と川口監督が称賛する渡井も中盤で能力の片鱗を垣間見せたものの、「もっとできる。2年生だからと遠慮するんじゃなくて、彼が中心選手として、『全部、自分が得点に繋がるパスを出すよ』という強い気持ちを見せれば、もっと伸びていくし、チームとしてももっと良くなる」と注文を忘れない。激しい競争の中から、全国総体までのプリンス2試合と、全国総体でより個性を発揮できる選手が出てくるか。今年も静岡学園から目が離せない。

[写真]先制点を奪ったFW福原(左、9番)を中心に歓喜の輪が広がった

(取材・文 森田将義)
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