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[プリンスリーグ関東]プレミア昇格狙う強豪校対決、桐光学園vs前橋育英は2-2ドローに

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後半37分、桐光学園高FW西川公基が右足で勝ち越しゴール

[11.26 高円宮杯プリンスリーグ関東第16節 桐光学園高 2-2 前橋育英高 かもめパーク]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2016 プリンスリーグ関東は26日、第16節を行った。3位・桐光学園高(神奈川)と勝ち点2差で5位の前橋育英高(群馬)との一戦は2-2で引き分け。桐光学園は2位へ浮上した。プリンスリーグ関東は第16節終了時点(残り2節)ですでに首位・浦和レッズユース(埼玉)の優勝とプレミアリーグ参入戦進出が決定。2位の桐光学園から8位の山梨学院高(山梨)まで勝ち点2差の中にいる7チームが残り2枚のプレミアリーグ参入戦切符を争う。

 13年に高校年代最高峰のリーグ戦であるプレミアリーグを経験し、降格後はわずかな差でプリンスリーグ関東を突破できずにいる桐光学園と、過去3年のプリンスリーグ関東で2位、3位、優勝という好成績を残しながらも3年連続でプレミアリーグ参入戦で敗退している前橋育英。プレミアリーグ昇格への強い意欲を見せる強豪校同士による“生き残り合戦”は2-2で引き分けた。

 前半は山田耕介監督が「前半の動きを持続してやりたかったですね。くさび入れて1タッチでトントントンと(パスが繋がって)。かなり良かったですもんね」と振り返った前橋育英のペースだった。やや中央からに固執した感のあった桐光学園の攻撃を前に強い松田陸角田涼太朗の2年生CBコンビが跳ね返し、セカンドボールの多くをMF大塚諒主将(3年)とMF長澤昂輝(3年)のダブルボランチが制圧。加えて前線でFW人見大地(3年)が良くボールを収め、10番FW飯島陸(2年)が絶妙なファーストタッチで抜け出して決定機を作り出す。13分には右中間での素晴らしいボールコントロールから前を向いた飯島がDFを引きつけてラストパス。これを人見が右足でゴールへ沈めて前橋育英が先制した。

 桐光学園は前半、DFライン背後を突く攻撃で前橋育英を揺さぶった一方、ビルドアップでミスが出るなど苦戦。前橋育英の攻勢を許したが、守備面でCB田中拓実(3年)が飯島のスピードに対応し、CB望月駿介(1年)が競り合いで健闘するなど徐々に立て直すと、サイドからの攻撃を増やした後半に試合をひっくり返す。21分、前線のFW鈴木太我(3年)が頭でそらすと右サイドを駆け上がった交代出場FW倉持快(2年)がクロス。これをボランチの位置から走り込んだMF田中雄大(2年)が1タッチでゴールへ沈めて同点に追いついた。前橋育英も長澤らがシュートシーンをつくったが、勝ち越し点を奪ったのはゴール前のこぼれ球から日本高校選抜MF鳥海芳樹(3年)や右SB淡路昂宏(3年)が決定的なシュートを打ち込んでいた桐光学園の方。37分、日本高校選抜の左SBタビナス・ジェファーソン主将(3年、川崎F内定)が自陣からオープンスペースへ入れた縦パスを鳥海が跳躍しながらの鮮やかなトラップで収める。そして一気にDFを振り切ってエンドラインまで切れ込んだ鳥海がラストパス。DFに当たってコースが変わったものの、ニアサイドへ飛び込んだFW西川公基(3年)が右足ダイレクトでゴールへ押し込んで勝ち越した。

 前橋育英は選手権予選後、例年よりも休養期間を長く取ったという影響からか、後半に運動量が落ちて苦しい展開となった。対して桐光学園は攻守に存在感を見せていた田中やMF桑原遥(3年)が中盤で圧力を増してボールを奪い、そこからのサイド攻撃やカウンターでチャンス。44分にも鳥海のラストパスから西川が抜け出したが、前橋育英GK月田啓(3年)に阻まれて試合を決定づけることができない。逆に前橋育英はアディショナルタイム突入後の47分、交代出場のMF八代廉也(3年)の右クロスをファーサイトの飯島が競り勝って頭で折り返すと、最後は攻撃参加していたCB松田が右足でプッシュ。これがC大阪内定GK茂木秀(3年)の足先を抜けてゴールへ吸い込まれ、2-2で引き分けた。

 劣勢を挽回して流れを引き寄せ、一時勝ち越して見せた桐光学園の鈴木勝大監督は「ウチは展望的にドローOKなんですよ」と前向き。勝ち切ることはできなかったものの、引き分けたことで前橋育英との勝ち点差2を維持し、他会場の試合結果によって2位へと順位を上げた。それでも指揮官は「(終盤追いつかれたことは)ボクらにとって課題ですし、追いつかれたことよりも、あそこで(ダメ押すチャンスをつくりながら)決めきれないことがウチの課題。選手権予選でも(4試合で)50本くらい打っているけれど7点しか取っていない。確実に決めていかないと選手権や参入戦は難しい」。終盤の失点以上に3点目のチャンスをつくりながら決めきれなかったことを指摘し、主将のタビナスも「インハイへ行けなかったのも(準決勝で横浜)創英に逆転されたのがある。夏から追いつくまでは行けるようになったので、勝ち切れるようにしたい」と力を込めた。

 一方、前橋育英は主砲のFW馬場拓哉(3年)がついに復帰間近。加えてMF田部井涼(2年)らが負傷で不在の中、土壇場で勝ち点1をもぎ取ったことは次に繋がる。山田監督は内容面について前向きな試合だったことを認めた上で「残り2つ、また真剣勝負ができる。でも、このくらいのところで勝ちきれないと選手権も厳しい」。安易に背後を突かれて奪われた2失点と勝ち切れなかった点を指摘した。主将の大塚は「後半になっても前半の動きを維持していければ。(追いつかれて)雰囲気悪い中でもう1点取られてしまった。失点した時が自分たちの課題が一番あると思う。修正していかないといけない。ちょっとまだ甘さがあるのかなと。最後の最後で点決めたのは勝ち点ゼロよりは良かった。あと2つ勝つしか無い」。実績ある両校は終盤戦で勝ち点を重ねて悲願を達成するか。プレミアリーグ参入戦を含めると最大4試合。選手権前の負けられない戦いで白星を積み重ねる。
 
(取材・文 吉田太郎)
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