[12.11 高円宮杯プレミアリーグEAST第18節 FC東京U-18 0-1 青森山田高 FC東京小平グラウンド]

　どこよりも濃密だったと言えるようなシーズンが「悔しい」敗戦とともに終わった。2位・FC東京U-18は逆転優勝へ向けて勝つしか無い最終節で首位・青森山田高とホームで直接対決。前半、ボールを保持し、セカンドボールも回収していたFC東京は攻撃時間を増やした。そして、右サイドでの崩しから27分、44分とFW内田宅哉(3年)がゴールライン際まで切れ込んで決定的なラストパス。カウンターを浴びるシーンもあったが、無失点で終えて後半での先制点を目指した。

　だが、サイドでDFを剥がすことが出来ても青森山田のゴール前の厚い守りを切り崩すことができない。確実に押し込んでいたものの決定機を増やせず、跳ね返されてはCB蓮川壮大主将(3年)やCB岡崎慎(3年、来季トップチーム昇格)が何とかカウンターを阻止するようなシーンが続いた。そして40分、こぼれ球をドリブルでPAへ持ち込まれてPK献上。これを決められて痛恨の1点を奪われると、優勝するために2点が必要となったFC東京は青森山田を飲み込むようなエネルギー、パワーを表現、発揮することができなかった。

　ホーム・小平に1100人が集まった観衆の中で逆転Vを目指したが、日本クラブユース選手権(U-18)大会、Jユースカップの優勝に続く3冠獲得はならなかった。青森山田の選手たちが優勝を喜ぶ姿を目に焼き付けていた選手たち。佐藤一樹監督は「かなりきくと思うんですよ。山田がここでカップ掲げる姿。ましてはホーム小平で」。勝ち続けてきた選手たちが最後の最後に佐藤監督の言う「なかなかできない悔しさ」を味わった。新しいステージでの挑戦をはじめる3年生、そして来年再びプレミアリーグ制覇に挑戦する1、2年生はこの悔しさを「最高のパワーに変えていかないといけない」(佐藤監督)。

　FC東京U-18にとっては怒涛のシーズンだった。今年はU-23チームがJ3に参戦。CB岡崎はU-23チームでの活動を優先することになったほか、MF鈴木喜丈(来季トップチーム昇格)ら主軸の多くが不在の中でプレミアリーグを戦う試合もあった。また今年はFC東京U-18BチームがT1(東京都1部)リーグに参戦し、國學院久我山高や関東一高、駒澤大高、成立学園高など全国レベルの強豪たち相手に奮闘。優勝チームと勝ち点5差の5位に食い込んだ。

　40人ほどのメンバーが誰一人腐らず、努力し、フル回転したシーズンだった。タイトル獲得への評価だけにとどまらない濃密な1年。佐藤監督は「まずは本当に選手たちを労いたいと思います。スタメンも目まぐるしく変わっていく中で、ポジティブなエネルギーに変えて総合力が上がってきたと思いますし、誰が出てきてもという状況になってきたと思います」と語り、スタッフも含めた個々の成長を讃えた。
　
　主将の蓮川は「カズさん(佐藤監督)も『来年こそ3冠』と言っていたので来年達成してほしい」と後輩たちに自分たちを上回るような成長、成績を期待。そして「(試合後)サポーターの方々にも声かけてもらって。FC東京のユースにいないとこういう経験はできないと思う。FC東京に戻って来れるように一から見直してやっていきたい」と大学サッカーを経てFC東京へ帰還することを目標に掲げていた。来季、トップチームに昇格するのは岡崎、鈴木、GK波多野豪の3人。彼らに加えてトップチームに上がることのできなかった3年生や下級生、どこよりも濃密なシーズンを乗り越えたFC東京U-18の選手たちの今後に注目だ。

(取材・文　吉田太郎)

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