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[ニューバランスカップ]今冬、全国基準を学びながら成長遂げた札幌大谷が矢板中央に撃ち勝つ

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後半5分、札幌大谷高はMF石川敬が直接FKを決めて笑顔

[1.6 NB CUP in時之栖準決勝 矢板中央高 2-4 札幌大谷高 時之栖裾野G]

 全国高校サッカー選手権出場を逃した強豪48校の新チームが17年シーズンへ向けて力を磨く「2017ニューバランスカップin時之栖」(通称:裏選手権)は6日午前、準決勝を行い、札幌大谷高(北海道)が4-2で矢板中央高(栃木)に勝った。

 履正社高(大阪)に5-3、桐生一高(群馬)に3-2で撃ち勝つなど、予選リーグからの5試合で計23得点を叩き出している矢板中央と、日大藤沢高(神奈川)に1-0、武南高(埼玉)に2-1で勝利するなど予選リーグ2日目からの4試合をわずか2失点で準決勝へ進出した札幌大谷。ともに優勝候補の挙げられた選手権予選で敗れたものの、新チームも自力があることを示して勝ち上がってきた両校の戦いは激しい撃ち合いとなった。

 前半、矢板中央は注目の1年生レフティー、FW飯島翼や昨年12月にU-16日本代表チリ遠征を経験してきたMF松井蓮之(2年)を中心に決定機を作り出す。だがGK越中屋光希(2年)のファインセーブなどでピンチを逃れた札幌大谷は非常に良かった中盤でのボール奪取から、テンポの良いパス交換でチャンスを作り返す。

 そして18分、CKの流れから最後は右SB本間柊人(2年)のラストパスをMF石川敬(2年)が決めて先制。さらに28分にも良い形でのボール奪取からFW細川栞太(2年)がDFを剥がすと、MF赤坂渓也(1年)が繋いで最後はFW川俣雄太(2年)が左足シュートを突き刺した。

 札幌大谷は雪の北海道を12月下旬に離れて、約半月の長期遠征最終日。その間、フェスティバルへの出場に加え、全国高校総体準優勝の流通経済大柏高(千葉)や同4強の昌平高(埼玉)と練習試合を行ってきたという。「ニューバランスカップで結果も内容もつながってきたことは実感していますね」と丸谷智明コーチが語るチームは、後半5分にも石川が自ら獲得したFKを右足でゴール右隅へ沈めて3-0と突き放す。

 それでも高橋健二監督が「前半はチャンスがあったけれど取りきれなかったですね。失点は多いですけど、攻撃は面白いですよ」という矢板中央が3点ビハインドから猛反撃する。7分にDFのマークを外した松井のスルーパスから飯島が左足で決めると、18分には左SB江口隼人(2年)の左アーリークロスから再び飯島が左足でゴールを奪った。

 これで1点差。MF板橋幸大(1年)や飯島の突破、サイドからの崩しでチャンスを作る矢板中央は29分にも飯島のスルーパスに反応した板橋が決定的な左足シュート。だが、再三好セーブを見せていたGK越中屋がビッグセーブで弾き出す。

 札幌大谷は越中屋が相手のクロスをタイミングの良い飛び出しからパンチし、CB糸納達哉(2年)やCB小山敦史(2年)がゴール前で高さを発揮。両校身体を張ったシーンが続く中、札幌大谷は奪ったボールを素早く叩いて逆に相手のファウルを誘発するなど巧さが光った。そして途中出場で左足キックを魅せていたMF小野大成(1年)が勝利を決定づける。後半34分、右CKから小野が直接狙った左足シュートがGKの頭上を射抜いて逆サイドのゴールネットへ。相手の反撃に耐え、逆に突き放した札幌大谷が4-2で勝った。

 札幌大谷は全国48の強豪校たちの戦いを勝ち抜いてファイナリストに。今回の関東遠征で強豪校と戦ったほか、選手権を見て選手たちは“全国基準”を学んできた。15年度北海道2冠、昨年度も総体予選を制すなど北海道を代表する存在になってきた札幌大谷が北海道を突き抜け、さらに全国上位に食い込むために必要だった“全国基準”を知ること。丸谷ヘッドコーチは「全国にも何度か出させてもらって我々指導者も目で見て、肌で感じてきている。どれだけ選手に落とし込みながらその基準を持っていってチーム全体で色々な部分において全国基準、全国トップにどう持っていけるか。こういうところが足りないんだなと選手も感じられましたし、僕らも外から見て感じられた。持ち帰ってシーズン始まるまでやっていきたい」。

 そして越中屋は「全国を代表するチームに勝てなかったら、インターハイも、選手権も全国出たとしても勝ち上がれない」。北海道の強豪から全国区の強豪へ。09年の創部から着実に階段を登ってきた札幌大谷はこの冬学んだ“全国基準”に達するように努力し、まず北海道でそれを表現する。

(取材・文 吉田太郎)

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