beacon

[東京都1部L]2年連続選手権8強の駒澤大高、敗戦以上に表現できなかった“駒大高らしさ”を反省

このエントリーをはてなブックマークに追加

2年連続全国8強の駒澤大高。CB米谷拓海を中心にどの試合でも戦い抜く集団になる

[3.4 T1リーグ第3節 実践学園高 2-0 駒澤大高 実践学園高尾G]

 敗れたことよりも、自分達がやるべきことができなかったことが悔しかった。駒澤大高は15、16年度と2年連続で全国高校選手権ベスト8。2年連続でベスト8入りしているのは青森山田高、前橋育英高、東福岡高、そして駒大高だけであり、10年度の選手権が全国初出場だった東京の新鋭は全国的の強豪という地位に近づいてきている。

 ただし、伝統を繋ぐことは容易ではない。今冬の選手権で駒大高は登録30人中27人が3年生だった。メンバーが大きく入れ替わり、「今年は厳しい」と見られる中でスタートした新チームは、東京都1部(T1)リーグ初戦こそ東京武蔵野シティFC U-18に逆転勝ちしたものの、日本高校選抜候補のMF西田直也(2年)、国体東京都選抜CB齋藤我空(1年)が負傷離脱中。この日は、1本のパスやドリブルで局面を変えたMF江藤惇裕(1年)や高精度の左足を披露した左SB野中康平(2年)ら個性を発揮した選手もいたが、駒大高の伝統となっている部分を表現できなかった。

 この日、所用で不在だった大野祥司監督に代わって指揮を執った亀田雄人ヘッドコーチは、「(離脱者が多い状況)だからこそ、みんなでまとまって行こうと言っていた。でも、駒大高校の“らしさみ”たいなものが出てこないというか。ヘディングで負けちゃうとか、球際で負けちゃうとか、局面局面でやられちゃう。何回も連続して(プレッシングに)行くとか、習慣なんですけれど、まだまだそういうところが甘いですね。トレーニングでまだ習慣化されていないのでここからの課題です」と厳しい指摘を続けた。

 2年連続で全国8強。チームは全国の強豪たちにも負けない厳しさを持ってトレーニングし、試合では出場した選手がチームの代表として覚悟を持って戦い、私生活から人間力を高めてきたことによって出た結果だった。それだけにハーフタイムも、試合後もまず指摘されていたのは、駒大高サッカーのベースの部分について。力が無いことを認めて個々がチームのために全力で身体を張って戦うこと、強い気持ちを持ってプレーすることを求められていた。

 亀田ヘッドコーチは全国8強の壁を破ってさらに上に行くために「守備のところはボールを奪うことやプレスをもっと突き詰めてやっていきたい。攻撃の部分はサイドを起点にして速い攻撃を突き詰めていきたい」と語る。そして2月に開催された日本高校選抜候補合宿で西田は「今の代は“過去最弱”みたいに言われている。(リーグ戦で)結果が出なくても、最後の最後選手権出られるように成長していきたいです」と誓っていた。

 現状は技術面もまだまだ課題が多い状況だが、まずは個々が自分自身にも仲間にも厳しさを求めて、どの試合でも戦う、局面で勝つという“駒大高らしさ”を表現できるチームになること。この日の試合後、CB米谷拓海(2年)中心に変化することを誓っていた選手達は甘さをなくし、努力を重ねて先輩たちに負けないような結果を残す。

(取材・文 吉田太郎)

TOP