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[新人戦]佐賀の新鋭、龍谷が鹿児島を1-0撃破!「5原則」とともに歴史変えるか

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後半24分、龍谷高MF坂口明日斗(14番)が決勝ゴール

[2.17 九州新人大会予選リーグ 鹿児島高 0-1 龍谷高 宮崎県総合運動公園補助球技場]

 17日、平成29年度第39回九州高校(U-17)サッカー大会(九州高校新人大会)予選リーグ第1節と第2節が行われ、第2ブロック第1節で鹿児島高(鹿児島2)と龍谷高(佐賀1)が激突。龍谷がMF坂口明日斗(2年)の決勝点によって1-0で勝った。龍谷は続く那覇高(沖縄2)戦も6-0で勝ち、2連勝。一方の鹿児島は柳ヶ浦高(大分1)戦を1-0で制し、1勝1敗としている。

 今年、佐賀の新鋭・龍谷が「5原則」とともに全国初出場を目指す。「巧さは無くても、強さは意識している」という太田恵介監督(元福岡FW)の下、選手たちは「声」「球際」「ハードワーク」「切り替え」「競り合い・拾い合い」の部分を徹底。以前からの約束事を改めて「5原則」として掲げたことで選手たちに浸透し、それをよりピッチで発揮できるようになっている。
 
 とは言え、鹿児島戦は九州大会初戦ということもあってか、前半は硬さが見られて苦しい展開となった。球際で戦うことができずに競り合いで劣勢となり、セカンドボールを拾われて攻められる展開に。何とかゴール前で粘って得点を許さなかったものの、スピードのある鹿児島FW原口頼(1年)や中盤からの攻め上がり鋭いMF横道俊輔(2年)にゴールを脅かされるなど、前半はシュート数0-4で折り返した。

 だが、特に守備面で持ち味を発揮するMF横山太一(2年)が「前半で戦えていないところが全体として課題が見えたので、後半は全員で意識変えていこうと」振り返ったように、龍谷が試合の流れを変える。球際の攻防に大声とともに飛び込むようなプレーが見られるなど、気迫やボール・ゴールへの執着心が表に出るような戦いだった。

 左利きの司令塔、10番MF後藤嵩裕(2年)と横山の2人を中心とした長短のパスで相手の守りを広げることに成功。そして、鋭い動きで相手の背後を狙うFW宮崎優生(2年)の果敢な仕掛けもあって鹿児島ゴールに迫る回数を増やした。

 鹿児島県新人戦で初の決勝進出を果たし、九州大会初出場を果たした鹿児島も長身ボランチMF吉川晃平(2年)を軸にボールを動かし、横道がMF田之上晴輝(2年)のパス交換からチャンスを演出するなど先制点を狙い続ける。だが、スコアを動かしたのは龍谷の方だった。30分ハーフゲームの終了6分前となる後半24分、龍谷は右SB長塚樹(2年)がゴールエリアへクロス。これは好守を連発していた鹿児島GK米澤将(2年)が弾いたが、クリアボールを狙っていた坂口が頭でゴールに押し込んだ。

「あんまり自分の思い通りに動けていない中で、(あの場面は)こぼれ球を決めようと瞬間に思って、ヘディングで押し込むことができて嬉しかったです」と坂口。待望の1点を奪った龍谷は「前半よりはできていたと思います」(坂口)という「5原則」が相手を上回る力になって1-0で勝利した。

 龍谷は本格強化4年目の新興勢力。昨年は佐賀県新人戦で初優勝を果たし、全国初出場への期待が高まったが、インターハイ予選は佐賀北高に0-1で敗れ、選手権予選は優勝校の佐賀東高にPK戦の末に屈した。

 選手権佐賀予選決勝、そして激闘となった前橋育英高(群馬)と流通経済大柏高(千葉)との全国決勝を見た選手たちは、自分たちと勝ち上がるチームの違いを感じる部分があったようだ。太田監督は「(全国トップの強豪は)細部のところにこだわっている。選手たちも痛感していました」と語り、横山は「自分たちはここ一番で力を発揮できない。前橋育英も5原則を心がけていて。自分たちも意識している。新チームでは練習一つひとつを大切に、弱さを見せないように頑張っています」と変えてきた部分について説明する。

 勝つための5原則を徹底して選手権初優勝を果たした前橋育英のように、龍谷も5原則を貫いて歴史を変えることができるか。今年のチームは特別な個がいる訳ではない。だからこそこだわり抜くこと。今回の九州大会では坂口が「結果はもちろん残して行きたいですけれども、その先の総体や選手県を見据えて土台となる部分をつくっていきたい」と語ったように、強豪との対戦で夏冬全国切符を勝ち取るための自信と武器を手にする。

(取材・文 吉田太郎)

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