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飛び出しの判断明確になった高校選抜GK薄井が好調維持。無失点へのこだわり以上に心掛ける勝つためのプレー

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GK湯沢拓也(前橋育英高→立正大)とともに欧州遠征無失点を継続。日本高校選抜のGK薄井覇斗(流通経済大柏高→流通経済大)

[3.29 デュッセルドルフ国際ユース大会予選リーグ スタンダール・リエージュ 0-2 日本高校選抜]

 判断を明確にしたことが、好調なパフォーマンスにつながっているようだ。日本高校選抜のGK薄井覇斗(流通経済大柏高→流通経済大)は相手のクロスボール、背後へのボールに対して迷わずに前に出てパンチングを連発。特に前半終了間際には押し込まれ、クロスを放り込まれるシーンが増えていたが、そのパワフルかつアグレッシブな守りがチームを支えていた。

 決定的なシュート4本をストップしたとアヤックスとの練習試合に続く好守で完封勝利。スタンダール・リエージュ戦はナイターで照明の光度も高くなく、ボールの見え辛い状況で落ち着いてプレーした薄井の貢献度も大きい。加えて、薄井は「日本人の強さ」という表現を使い、集中力を切らさず、最後まで身体を寄せてくれるDF陣に感謝していた。

 これで練習試合を含めて欧州遠征の全3試合を無失点で終えており、本人も手応えを感じている。「現時点でまだ失点もしていないですし、今大会は25分と聞かされていました。そこに意識を集中しているので、結果的に準備も早くなったり、味方への指示が強くなったりとか、そういう部分を今までよりもはっきりできているので、自分の調子も上がっているのかなと思います」。特に本人が好調の要因に挙げる部分がある。

「大学(進路である流通経済大)の方から裏のボールにはミスしてもいいからはっきりと出て行こうと、GKとして話していました。その辺から自分も裏の出だしを意識するようになって、ボールに行く時ははっきりと行ってしまおうとチャレンジしていたら、それなりに(結果が)ついて来るなと。トライして行った結果、現状上手く行って、良い結果につながっている」。1年生から先発奪取を目指す流通経済大のトレーニングの中で判断を明確にしてきたことが、持ち味である迫力ある守備をより引き出している。

 チームに求められているコミュニケーション能力という部分でも薄井は明るさを持ってチームメートたちと接し、雰囲気作りに貢献。垣井大治GKコーチ(報徳学園高)も「明るくコミュニケーション能力が高くて、ゴールを守るということに対して凄くパワフルでアグレッシブだというところが彼の特長ですね。物怖じしない。ピンチがある中でも自分が落ち着いてきちんと冷静に守っている」と信頼を寄せていた。

 高校選手権では初戦から準決勝まで4試合連続で完封勝利。決勝戦でも試合終了間際まで無失点だったが、アディショナルタイムの初失点によって準優勝に終わった。それだけにデュッセルドルフ国際ユース大会で無失点のまま勝ち抜くことへのこだわりがあるかと思われたが、本人はそれを否定する。

「失点しないでいれば負けることはないので、そこは重要かなと思うんですけれども、選手権の時は無失点にこだわりすぎてしまって、攻撃の面でチーム全体として人数をかけられずに後手後手に回ってしまって、人数をかけられずにやられたということがあった」。だからこそ、「GKとしては失点しないことにこだわりますけれども、(取り返してくれるアタッカー陣もいるので)チームとしては勝つためのプレーをこだわっていきたい」と力を込めた。

 無失点で行くことができれば最高だが、まずは勝つためにできることを徹底する。特に飛び出しの部分をはじめ、「今回は今までにないくらいいい状態で来れているので、調子いい状態のまま持ち帰っていきたい」という薄井が、後方からチームを支え続けて高校選抜の優勝に貢献する。 

(取材・文 吉田太郎)
●2018日本高校選抜欧州遠征特設ページ

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