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荒木「自分は負けていない」。頑張りで実力派揃いのFW争いを逆転、結果も残した“九州2トップ”

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日本高校選抜のFW荒木駿太(長崎総科大附高→駒澤大)は先発を奪取し、優勝に大きく貢献。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[4.2 デュッセルドルフ国際ユース大会決勝 ボルシアMG 1-2 日本高校選抜]

 日本高校選抜のFW争いは熾烈だった。高校選手権得点王でU-19日本代表にも選出されたエースFW飯島陸(前橋育英高→法政大)をはじめ、“大器”FW町野修斗(履正社高→横浜FM)と俊足FW佐藤颯汰(日章学園高→北九州)の2人のJリーガー。そしてプリンスリーグ九州得点王のFW荒木駿太(長崎総科大附高→駒澤大)の4人。中でも、いずれも昨年の日本高校選抜メンバーである飯島と町野が攻撃の軸として考えられていた。

 デュッセルドルフ国際ユース大会の初戦と第2戦はいずれも飯島と町野が先発。特に初戦は町野が前線でのボールキープとアイディアある崩しで存在感を見せ、飯島もサイドからの鋭い仕掛けで相手にプレッシャーをかけ続けていた。

 だが、2人は予選リーグを通してなかなかいい形でシュートを放つことができず、期待されたゴールを奪うこともできない。FW陣としてまず1点を決めるため、4人がシュート数を増やそうと話合い、ピッチに立てなかった選手は外側から声を上げたり、拍手で仲間たちを鼓舞したりしていたが、結局、FW陣は予選リーグでは1得点も奪うことができなかった。

 その中、当初はベンチスタートで「『俺ら2人で2トップを組みたいな』『出たら2人でやってやろうぜ』と言っていた」(荒木)という九州出身の2人、佐藤颯と荒木がピッチで自分たちの持ち味を出してチームを活性化する。推進力ある動きで幾度もファーストブレイクすることに成功していた佐藤颯と、プレースキック、連係で味方のゴールを演出する荒木。2人は抜群の運動量を活かした守備でもチームの信頼を勝ち取り、準決勝、決勝では佐藤颯が1トップ、荒木は右サイドで先発起用された(決勝は前半途中から2トップへ)。

 荒木は他の実力派FWとの競争について「気持ちの面では自分は負けていないというのがあった。プロであろうと代表であろうと、そいつらに負けない気持ちでやれば絶対に勝てると思っていた。それを忘れずにやってきたので最後スタメンで出れて良かったです」。荒木が準決勝で決勝点を決め、佐藤颯も決勝で決勝PKを決めた。決勝ではともに見ている側が感動するほど前線からボールを追い続けるなど守備面で抜群の貢献度。当初サブスタートだった2人が優勝の大きな要因となった。

 荒木は「(佐藤颯と)最後、俺ら2人で終われたな、最高の形で終われたなと話しました。決勝で、2人でプレーできて嬉しかったです」。最後に悔しい思いをした飯島と町野はクラブ、大学での巻き返しを誓い、頑張りを結果に結びつけた2人は所属チームでもそのプレーを続けることを誓った。競争の中で気づきもあった彼らはより特長を発揮し、新しい挑戦の場で、新たな競争相手とゴール、出場機会を競い合う。

(取材・文 吉田太郎)
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