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[福島復旧・復興祈念ユース大会]インハイへ弾み。エース伊藤連発の尚志が桐光学園にも勝利

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尚志高は10番FW伊藤綾汰の2試合連続ゴールでインハイ出場校対決2連勝

[7.28 福島復旧・復興祈念大会 尚志高 2-1 桐光学園高 西部サッカー場]

 震災からの復旧・復興を祈念し、また福島県サッカーの発展と全国各地から参加する強豪校の強化を目指す「2018 第7回 福島復旧・復興祈念ユースサッカー大会」初日の28日、地元の尚志高(福島)と桐光学園高(神奈川)が対戦。尚志が2-1で競り勝った。

 インハイ出場校対決で連勝だ。午前中に行われた神村学園高(鹿児島)戦を2-1で制した尚志が、その約4時間後に行われた桐光学園戦も勝利し、日本一を狙うインターハイへ向けて弾みをつけた。

 立ち上がりはこの日1試合目の桐光学園が迫力のある攻撃を見せる。U-16日本代表のエースFW西川潤(2年)が1プレー、2プレーでその能力の高さを印象づけるような突破。ファウル覚悟で止めに来ていたDFを鋭いターンからのドリブルで振り切り、決定機を演出して見せる。

 また、FW鷲塚蓮(3年)が高さを発揮するなど入りの良かった桐光学園だが、尚志は10分過ぎに丁寧なビルドアップをスタート。すると13分、MF菅井泰祥(3年)が左サイドで出した絶妙なループパスを10番FW伊藤綾汰(3年)が素晴らしいファーストタッチで収めてDFと入れ替わる。そして、すかさず放った右足シュートをゴール右隅に沈めた。

 伊藤の2戦連発となるファインショットで先制した尚志は、MF坂下健将(3年)を中心に相手DFの間を取りながら余裕のあるビルドアップ。そして、攻撃から守備への切り替えが速い尚志は、桐光学園に時間を与えない。だが、桐光学園も個の力でその網をかいくぐって見せる。22分、左サイドでのワンツーで前を向いて仕掛けたMF佐々木ムライヨセフ(2年)がDFを強引に振り切ってラストパス。これで西川が抜け出すが、シュートは距離を詰めたGK森本涼太(3年)がストップする。

 西川や佐々木、MF阿部龍聖(3年)がドリブルでボールを運んで攻め返していた桐光学園だが、尚志は距離感の良い守り。前夜遅くに福島へ移動してきた桐光学園の攻撃のテンポが上がらなかったのに対し、尚志は前線のU-17日本代表FW染野唯月(2年)やMF加瀬直輝(3年)が素晴らしいスピードのアプローチで相手の攻撃を狂わせていた。

 尚志は後半、西川との代表対決に意欲を燃やす染野も存在感。そして後半17分、尚志は強烈なプレッシャーで得た右スローインからDFのマークを外した伊藤が中央へ折り返す。これを交代出場のMF吉田泰授(3年)が1タッチで決めて2-0とした。この後、尚志は相手エースの西川にマンマークをつけて試合を押し切ろうとするが、桐光学園は23分に佐々木が獲得した左FKをMF國谷敦史(3年)が右足で左隅にねじ込んで1点を返す。

 さらにマンマークを物ともしない西川のドリブルを起点にチャンス。だが、尚志はゴール前で堅い。29分にPAの西川が決定機を迎えたがGK森本に阻まれ、31分に西川の3人抜きドリブルからCB内田拓寿(3年)が放った決定的な一撃は尚志CB黒澤誓哉(3年)がゴールライン上でクリアした。

 桐光学園の反撃を凌いだ尚志が2-1で勝利。もちろん、この日対戦した2チームのコンディション面を差し引かなければならないだろうが、プリンスリーグ東北で首位(11勝1分1敗)を走る尚志は、主軸の注目左SB沼田皇海(3年)やMF大川健(3年)を欠く中で全国上位の2チームに勝利、自信を深めたようだ。

 黒澤は「自信になると思います。強いチームに勝てるとチーム全体として成長できる」と語り、染野も「チームの自信にもなったと思いますし、自分たちは全国制覇できると再確認できた2試合だったと思います」と胸を張った。昨夏は決定力を欠いて全国ベスト16で敗退。今年のインターハイは力まず、良い意味で自分たちに自信を持って戦い、歴史を塗り替える。
 
(取材・文 吉田太郎)

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