beacon

「ミラクル」「まるで選手権」。後半残り1分から大逆転の桐光学園が市立船橋破り、U-16全国王手!

このエントリーをはてなブックマークに追加

後半アディショナルタイム、桐光学園高MF栗原祥太が劇的な決勝ゴールを喜ぶ

[9.2 U-16全国交流大会関東プレーオフ1回戦 市立船橋高 1-2 桐光学園高 時之栖うさぎ島G]

 12月に静岡県内で開催されるU-16全国交流大会への出場権を懸けた関東プレーオフ1回戦が2日に行われた。「2018 Rookie League」A Group3位の市立船橋高(千葉)と同B Group1位の桐光学園高(神奈川)が激突。後半終了1分前からの2ゴールによって逆転した桐光学園が2-1で勝ち、A Group2位・帝京三高(山梨)とのプレーオフ決勝へ進出した。

「ミラクル」「まるで選手権のようなゲーム」という声も挙がるほどの激闘、大逆転劇だった。雷雨の影響で試合開始が予定よりも15分間遅れ、45分ハーフから40分ハーフに短縮された試合は前半38分、MF伊藤空斗の右CKからファーサイドのCB木村哲大が豪快なヘディングシュートを決めて市立船橋が先制。雨の止んだ後半も1-0のまま試合を進めた。大会規定により、引き分けた場合は上位リーグのA Groupに所属する市立船橋が決勝進出。桐光学園は2点以上を奪い、勝利なければ敗退となるところだった。

 雨が止んだ後もピッチには水が溜まり、普段通りにパスを繋いだり、ドリブルすることができない悪コンディション。桐光学園は奪ったボールを浮き球で前線に入れようとするが、市立船橋は守備への切り替えの速さが素晴らしく、一瞬で桐光学園の出し手との距離を詰め、懸命に足を伸ばしてボールを身体に当ててしまう。

 桐光学園は後半、セットプレーから決定的なシーンを迎えるも、市立船橋のゴール前での集中力は高く、PAでシュートを打つことができない。逆に市立船橋は最前線のFW塚田祐悟を活用した攻撃や空いたスペースを的確に突く攻撃でチャンスを連発。だが、33分に抜け出したFW加藤想音が桐光学園GK北村公平に1対1を止められてしまうなど2点目を奪うことができない。

 存在感のあったGK北村やフィジカル面と競り合いに強いアメリカ系CB荒井ジュリアン海都、CB國島康介中心に1点差のまま我慢強く戦った桐光学園が、劇的な2発で試合をひっくり返す。後半39分、桐光学園は左スローインからDF友永光駿のクロスがニアの左SB前川壮太の足元に入る。前川が縦へ持ち込んでから上げたクロスをGKとDFの間に入り込んだMF新井大智がヘディングシュート。「前半のセットプレーの時に自分がマーク外して失点してしまったので取り戻したかった。自分は入学前に怪我して出遅れていて、みんながここまでルーキーリーグで頑張ってくれた。みんなの気持ちも背負ってやらなきゃという気持ちがあった」という新井大のゴールで同点に追いついた。

 勝ち上がるためにはあと1点が必要。気迫の攻守を見せる桐光学園がスーパーゴールでその1点を奪い取った。後半アディショナルタイム1分、桐光学園は新井大が相手DFの背後へボールを落とすと、左中間でクリアを拾ったMF栗原祥太がカットインから右足を振り抜く。ドライブ回転のかかったボールはGKの頭上を越えてゴールネットへ。これが決勝点となった。

 大逆転劇を成し遂げた桐光学園の選手たちが涙顔でピッチ内を走り回る間に試合終了の笛が鳴る。市立船橋の選手はピッチに崩れ落ち、試合終了に気づいた桐光学園の選手たちは数人がピッチに倒れ込んで喜び合っていた。

 桐光学園の荒井は「最後までみんなが諦めないでやったので、そうやって勝てたのは嬉しかったです。(我慢強さ)それが桐光の持ち味です」と笑顔。そして決勝ゴールの瞬間、ピッチサイドでガッツポーズを繰り返していた久保昌成コーチは「今年は我慢強く戦って勝ち切ったり、引き分けに持ち込んだりできるところがある。こういうゲームを勝ち取れたのは今後に向けていい経験になると思います」と選手たちが掴み取った劇的な白星に目を細めていた。

 U-16全国大会まであと1勝。荒井は「みんなで目標に掲げていた全国出場があと一歩に近づいてきたのでそれが嬉しい。次の試合は無失点でいって全国に行きたい」と語り、新井大は「全国まであと一歩なのでしっかりこの勢いに乗って、一から練習をしっかりやって全国に行きたいと思っています」。大会規定により、帝京三戦も引き分けでは敗退となってしまうが、この日のように我慢強く戦って白星を勝ち取り、全国切符を掴み取る。

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
2018 Rookie League特集ページ

TOP