beacon

日本高校選抜候補が選考試合。思うように行かない中で試される柔軟性

このエントリーをはてなブックマークに追加

4本目16分、高校選抜候補は右サイドから切れ込んだFW宮崎純真(山梨学院高→甲府)が右足シュート

[1.26 練習試合 日本高校選抜候補 0-2 東海大]

 日本高校サッカー選抜候補は選考合宿(静岡)3日目の26日午後、東海大と練習試合(25分×4本)を行い、0-2で敗れた。日本高校選抜は4月に欧州遠征を実施し、第57回デュッセルドルフ国際ユース大会(ドイツ)に参加。候補選手たちは幾度か人数を絞られながら、3月までかけて欧州遠征メンバー18名の座を争う。今回の選考合宿は27日まで。最終日の27日には山梨学院大と練習試合を行う。

 25分ハーフの“高速ゲーム”で実施されるデュッセルドルフ国際ユース大会同様に1本25分で行われた大学生との練習試合。短時間勝負のゲームで前線からハイプレッシャーを繰り出して来る東海大に対し、高校選抜候補の選手たちは慣れない3-6-1、4-3-3の可変システムで、守備組織、ボールの運び方などに戸惑いながら試合を進めることになった。

 1本目は右のシャドーに位置するMFバスケス・バイロン(青森山田高3年)とWB松尾勇佑(市立船橋高3年)のところから仕掛けるシーンが幾度か見られた。だが、全体的にスペースへのダイナミックな動きや1タッチのパスが少なかったほか、配球役の3バックが上手く相手との距離を取ることが出来ず、苦しい形でのポゼッションが続いてしまう。

 それでも丁寧にボールを繋ごうとした結果、低い位置でボールロスト。22分には中盤でボールを失い、混戦からPAに仕掛けられた結果、PKを献上してしまう。これを東海大FW砂金大輝(2年=暁星国際高)に自ら決められて失点。2本目はMF武田英寿(青森山田高2年)らが意識的にサイドチェンジを増やし、右WB後藤裕二(矢板中央高3年)がスペースを突くシーンやFW染野唯月(尚志高2年)が抜け出しから左足シュートを放つシーンがあったが、ゴールには結びつかなかった。

 選考ゲームで思うようなプレーができないことはスタッフも想定済み。朝岡隆蔵監督(市立船橋高)は「(選考の一つとして)柔軟性や吸収力、反応を見ている」という。各チームで活躍し、高校選抜候補に選出されたタレントたちだが、個々の強みを発揮するだけでなく、自チームと異なる戦い方に対して頭の中で切り替えて順応、修正しようとチャレンジしているかどうかも重要。高校選抜の活動の中で貪欲に成長しようとし、できることの多さを示した選手が欧州遠征メンバーに食い込んでいきそうだ。

 練習試合3本目は立ち上がりにGK八井田舜(岡山学芸館高3年)が連続でビッグセーブ。接点の勝負でも劣勢を強いられた高校選抜候補はピンチを増やしていたものの、八井田が奮闘して失点を免れる。そして、攻撃面では左DF豊島基矢(青森山田高3年)のサイドチェンジからバイロンが鋭い切り返しでDFを振り切り、チャンスを演出するシーンもあった。

 4本目9分、押し込まれる時間帯の中で東海大MF滝澤諄(2年=東海大相模高)にゴールを破られて0-2。その後、果敢な仕掛けを繰り返す1年生MF須藤直輝(昌平高)がチームにエネルギーをもたらす。14分に放った1ステップでの右足シュートがクロスバーを叩くなどゴールには繋がらなかったものの、鋭い突破を連発して存在感。4本目は3バックの中央に繋ぎ役のDF岡井駿典(市立船橋高/3年)が入り、中央、サイドから攻撃を見せる高校選抜は須藤や松尾、左WB水野雄太(大津高3年)、そしてFW宮崎純真(山梨学院高3年)が次々と仕掛けてシュートシーンを増やす。

 ただし、相手GKの好守に阻まれるなど1点が奪えないまま0-2で敗戦。リーダー格のGK飯田雅浩(青森山田高3年)は「自分のプレーができている選手はそんなにいなかったと思う。プレッシングのスピードも高校サッカーと全然違いました」と振り返る。そして、「(今回の合宿は)本当に高体連のトップ選手が集まって、いい練習もいい試合もできましたし、自分にとっても大きかったと思います。(ただし) 欧州を見据えたときにはまだまだ戦えないと思います」。選考合宿後に絞られたメンバーで本格的なチーム作りが始まる。現状、コンディションが十分ではない選手がいることも確かだが、それぞれが高体連の代表選手として個人、チームとしての成長を求めていかなければならない。

 27日は合宿最終日。朝岡監督は「後悔なくやるしかない」と選手たちへ向けてメッセージを送った。最終日の練習試合ではまた異なるシステム、戦術で戦うことになりそうだ。各選手は後悔のないように考え、柔軟に対応し、自分の力をアピールして計4日間の選考合宿を終える。

(取材・文 吉田太郎)

●【特設】高校選手権2018
2019日本高校選抜欧州遠征特設ページ

TOP