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[サニックス杯]ピッチ内外で“本当の日本一”へ。長谷川新監督就任の山梨学院が韓国王者撃破!

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後半35分、決勝ゴールを喜ぶ山梨学院高イレブン

[3.14 サニックス杯予選リーグ 慶煕高 0-1 山梨学院高 グローバルアリーナ]

 新体制の山梨学院が韓国王者撃破! 14日、サニックス杯国際ユースサッカー大会2019が開幕し、予選リーググループC第1節で昨年のインターハイ優勝校・山梨学院高(山梨)と韓国の白鹿旗全国高校選手権優勝校の慶煕高が激突。山梨学院が試合終了間際に決勝点を奪い、1-0で競り勝った。

 山梨学院は長谷川大新監督の指導がスタートしてからまだ2週間ほど。秋田商高や神奈川大の監督、山梨学院大のヘッドコーチを歴任してきた長谷川監督は「まだ一生懸命頑張ることしか言っていないですよ」と微笑んでいたが、山梨学院はその頑張りを表現する戦いを見せて韓国王者を破った。

 先発平均身長が180cmを越える慶煕とのパワー勝負でよく食い下がり、サイドからの攻撃を軸に前半からチャンスを作る。そして0-0のまま迎えた後半終盤、「交代選手は強みがあるから起用するのだから、その時間の中で強みを出して欲しい」と考える長谷川監督に送り出されたMF関口翼(2年)やDF高橋大翔(2年)が自分の強みを出して見せる。

 特に高橋は後半30分の出場から5分間で強みを表現した。彼の投入に伴い、1トップから2トップに変えた山梨学院は35分、高橋が左サイドを強引に突破する。そして左足クロスを「(自分は)運動量が長所だと思っているので、チームに貢献できるように発揮できたらいい。大翔はキックが上手いので、大翔が入って縦に行った時に絶対に来ると思ったんですよ。そうしたら良いボールが来たので合わせるだけでした」というMF丸山友輝(2年)が頭でゴールに押し込んだ。

 高橋は「自分の強みはキックなので、『クロスだったり、シュートだったりを必ず出せ』というのはきょう出る時にも(長谷川監督から)言われて、自分でもそれを出せて一つ結果に繋がったので良かったです」と微笑。先発して交代した選手たちも、強みを出せなくなるまで奮闘し、最後は体調不良からの先発奪還を目指す高橋の突破、クロスが試合を決めた。

 決勝点の丸山は本来、ボランチの選手。長谷川監督は高橋が「途中から出て強みを出したこと」に頷き、そして右サイドで自分の可能性を広げることを期待した丸山が、そのポジションで決勝点を決めたことも「自信になれば」と喜んでいた。

 長谷川監督は山梨学院の選手たちに「取り組みのところから日本一になろう。“本当の”日本一になろう」と声がけしているのだという。「学業、私生活、サッカー、チームワーク」の4本柱を大事にピッチ内、ピッチ外でも日本一のチームへ。主将のMF平松柚佑(2年)は選手権日本一の青森山田高の選手たちのピッチ外の行動を見て、刺激を受けていた。

「自分たちはピッチ外も、ピッチ内も“真の日本一”を掲げている。昨日(開幕前日)、ウェルカムパーティーがあって、後片付けという部分でも青森山田は一番早かったので、『そこよりもやっていこうよ』というのがあります」と平松は説明していたが、まだまだ甘さのあるピッチ外のところから改善して選手権王者を越える意気込みだ。

 そして、ピッチでは頑張り抜くことをベースに、個々の強みを活かしてボールを大事にすることやワイド攻撃などを磨いていく。高橋は「今まで2年間、チームに貢献できていないので、最後1年間で自分の長所を活かしてチームに貢献できるようにしていきたい」と語り、丸山は「プリンス昇格とインターハイ、選手権の全国制覇を目標に、自分の長所活かしてゴールに多く関われたらいいと思っています」と力を込めた。

 昨年はインターハイ優勝後に選手間で奢りが出てしまった部分もあって成績を落とし、選手権予選敗退、またプリンスリーグ関東から山梨県リーグに降格している。もちろん、ピッチ内外で日本一になることは簡単なことではない。それでも、平松やGK熊倉匠(1年)をはじめ、自力のある選手たちは掲げた目標に本気で挑戦し続け、結果で表す。

(取材・文 吉田太郎)

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