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[福島復旧・復興祈念ユース大会]「次」の才能たちが躍動!夏の覇者・桐光学園が尚志に3-0快勝

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前半13分、桐光学園高はMF滝澤健斗(24番)がゴール

[8.4 福島復旧・復興ユース大会 桐光学園高 3-0 尚志高 西部サッカー場]

  夏の全国王者は「次」の選手たちが躍動した。4日、震災からの復旧・復興を祈念し、また福島県サッカーの発展と全国各地から参加する強豪校の強化を目指す「第8回 福島復旧・復興祈念ユースサッカー大会」第2日が行われ、インターハイ4強の地元・尚志高(福島)とインターハイ優勝校の桐光学園高(神奈川)が激突。桐光学園が前半の3得点によって3-0で快勝した。

 桐光学園はこの日の第1試合で大阪桐蔭高(大阪)に0-1で敗戦。会場を移動するバスの中で鈴木勝大監督から厳しい檄があったという。今回の遠征メンバーは、インターハイで登録された17人中7人と怪我明けでスタメン奪取を狙う左SB國島康介(2年)ら、今後のリーグ戦や選手権での活躍が期待される選手たち。だが、第1試合ではインターハイ決勝からまだ3日ということもあってかスイッチが入らず、不甲斐ない内容で敗れてしまった。

 それでも、尚志戦では別の姿を見せる。10分にインターハイメンバーのMF所新太郎(3年)が、中盤での股抜きドリブルから一気に前進。寄せの甘い尚志DFの間を抜けてPA近くまで一人で持ち上がり、そのまま豪快な左足シュートをゴールに叩き込んだ。

 さらに13分には、FWアマダスンマイケル健(3年)のスルーパスに所が反応。ここは尚志DFが戻って対応したが、この日中盤で存在感ある動きを見せていたMF滝澤健斗(2年)が相手の意表を突く右足ミドルをGK頭上に突き刺して2-0とした。

 加えて、この試合の桐光学園は鈴木監督が「守備のところからしっかりとやってくれた」と評価する内容。前半25分にも複数の選手によるプレッシングによってハーフウェーライン付近でボールを奪い取る。そこから一気に攻撃へ移ると、縦へ持ち出したMFラナイメアー祈安(3年)が左足で3点目を奪った。

 尚志は鹿島内定FW染野唯月(3年)やインターハイ得点王のFW山内大空主将(3年)を除く主力メンバーで夏の王者と対戦。だが、インターハイ後、休み無く「福島復旧・復興祈念ユースサッカー大会」を戦っているチームは疲労の色も感じられた。仲村浩二監督は「こういう時だから見えるものがある」と期待もしていたが、前半は球際、切り替えの勝負で明らかに劣勢だった。

 ハーフタイムには特別コーチとしてベンチ入りしている遊佐克美氏から「魂ないならピッチから出ろ!」など非常に厳しい声。発奮した尚志は後半、CB中川路功多(3年)やMF福田隼也(3年)が気迫あるプレーを見せ、期待のMF今井聖士(3年)やFW菅野稜斗(2年)が繰り返し仕掛けて相手のDF網を破る。

 だが、桐光学園は後半も落ちない。インターハイ決勝で交代出場した大型FW庄司朗(2年)が「インターハイで自分たちはまだまだ足りなかったということで、ここで監督にしっかりとアピールしていきたい。この大会でブレイクするくらいの気持ちで1試合1試合に臨んでいきたい」と語ったように、各選手が気持ちの込もったプレー。GK桃井玲(2年)の身体を張った好守やDF池上遼太(3年)、DF粟野光(3年)らの奮闘もあり、無失点で強豪を破った。

 桐光学園は奮起したサブ組が見事な勝利。鈴木監督はこの1試合だけでなく、「繰り返して行くことが成長に繋がる」。インターハイでは6日間で5試合をという連戦だったが、どの試合でもゴール前で「一歩でも速く、一歩でも多く」を体現し続けた主力組が日本一を勝ち取った。彼らに加わる選手には、連戦でも同じレベルの戦いをすることが求められる。

 インターハイ王者は福島を元気づけるプレーも見せる意気込みだ。庄司は「自分として特別できることはないので、がむしゃらにピッチの中でプレーしてそういう部分を見てもらえれば良い」。夏の日本一・桐光学園は福島でも自分たちの戦いを貫き、トップレベルで戦える選手を増やして大会を終える。

(取材・文 吉田太郎)

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