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山梨学院が開始10分間の一瀬ヘッド2発で帝京撃破。課題改善して選手権予選へ

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山梨学院高は大型CB一瀬大寿(右端)の2ゴールで勝利

[10.3 プリンスリーグ関東第5節 帝京高 1-2 山梨学院高 帝京北千住G]

 3日、高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ2020 関東第5節で帝京高(東京)と山梨学院高(山梨)が対戦し、山梨学院がCB一瀬大寿(3年)の2ゴールによって2-1で勝った。

 2年前のインターハイ王者・山梨学院にとっては、選手権予選へ向けた弾みの勝利。一方で横森巧総監督や長谷川大監督から試合後に甘さを指摘される試合となった。前半4分、10番FW野田武瑠(3年)が左足で入れた右CKを中央の一瀬が先制ヘッド。その後も、右MF山口丈善(3年)がPAでの奪い返しから決定的なループシュートを放つなど攻めると、10分に追加点を奪う。今度は野田が右足で蹴り込んだ左CKをファーの一瀬が頭で叩きつけて2点目を挙げた。

 1年生5人が先発した帝京は、山梨学院のテンポの速い攻撃を受けてしまう展開に。山梨学院で1、2の強靭なフィジカルを誇るというFW久保壮輝(3年)や左サイドの技巧派MF広澤灯喜(3年)に個で苦戦するなど、サイド攻撃からゴール前のシーンを作られてしまった。

 帝京は22分、1年生MF松本琉雅が右サイドでDF1人をかわしてさらに前進。2人目を抜きにかかったところでDFと交錯したが、PKを奪うことはできない。帝京は球際の強さとスルーパスが特長のMF宮崎海冬主将(3年)やキープ力の高い松本、スピードのあるMF高木翔青(3年)を中心に反撃。加えて、左サイドから積極的に持ち上がり、質の高い左足キックを見せるDF入江羚介(1年)もアクセントに攻めたが、前半は2点ビハインドで折り返した。

 山梨学院は幸先良く2点を奪い、その後も主導権を握っていたが、徐々にスローダウン。決定機を作りながらもシュートの精度を欠くなど、試合の大勢を決することができない。逆に前半30分過ぎに2枚替えした帝京にペースを握られる展開に。そして、後半立ち上がりからプッシュした帝京は4分、右WB山川高輝(3年)がPKを獲得。これを宮崎が右足で決めて1点差とした。

 山梨学院はFW久保が迫力のある動きからロングシュートを打ち込み、11分には左SB中根悠衣(3年)のアーリークロスから決定的なヘッド。帝京もスペースを突いた入江のドリブルシュートなどで攻め返す。

 帝京は怪我でMF市川颯馬(3年)やMF松村敦矢(3年)を欠いていたが、入江やDF 前浜就意(1年)、松本といった1年生たちが堂々のプレー。後半は距離感がよくなり、グループでのパスワークも増えた。日比威監督も「日に日に良くなっている。掴みどころの無いサッカーができていると思う」と頷く。だが、最終ラインに板倉健太(3年)を加えた山梨学院は相手のクロスを一瀬、板倉の両CBが跳ね返したほか、GK熊倉匠(3年)がハイボールでの安定感を示すなど同点ゴールを許さない。

 逆に試合終盤は期待のレフティー・笹沼航紀(3年)らを加えた山梨学院が押し込む。帝京GK岸本悠将(2年)に決定機を阻まれるなど3点目を奪うことはできなかったものの、山梨学院が2-1で勝利した。

 勝った山梨学院だが、長谷川監督は立ち上がりの良い流れを持続できなかった点を指摘。ゴール前のツメの甘さなど反省点も多い試合となった。指揮官は「自分たちのやるべきことを最後まで遂行するというところをこの2、3週間で上げて行きたいなと思っています」と語り、熊倉も「今日勝てたのは良かったんですけれども、突き詰めていかないといけない部分が多かったんじゃないかと思います。相手より走るとか、ヘディング勝つとかそういうところがまだまだ全然甘いし、今日の試合内容ももっと圧倒しなければいけない」と改善することを誓っていた。

 山梨学院は今夏、U-18甲信静 FOOTBALL LEAGUE 2020「From Now On」で清水ユースやJFAアカデミー福島U-18、藤枝東高など強豪と対戦。貴重な実戦の機会を経て力をつけてきている。長谷川監督は選手権予選へ向けて「夏に良い経験をさせてもらって、プリンスでも良い経験をさせてもらって、コロナの中でも色々な人に支えてもらってチームがここまで来ているから何とか恩返しもしたいし、子供らも反骨心で貯めに貯めたものを爆発させてもらいたいから、しっかりと準備したい」とコメント。熊倉は「まずはここ2年全国に出れていないので、全国に出るということを目標にやって、全国に出たら優勝目指して頑張っていきたい」と意気込んだ。決め切る、守り切る部分を徹底して山梨、全国で勝ち抜くチームになる。
 
(取材・文 吉田太郎)
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