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[中国新人]“高速プレス”と仕掛け続けた立正大淞南が後半3発で広島観音撃破

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後半6分、立正大淞南高MF三原弘稀(右)が先制ゴール

[3.13 中国高校新人大会1回戦 広島観音高 1-3 立正大淞南高]

 立正大淞南が後半3発で初戦突破! 13日、第13回中国高校サッカー新人大会1回戦でともに優勝経験を持つ広島観音高(広島)と立正大淞南高(島根)が激突。立正大淞南がMF三原弘稀(2年)の2ゴールの活躍などによって3-1で勝った。

 序盤から立正大淞南が得意の“高速プレス”、ショートカウンターで広島観音を飲み込もうとする。「周りの人が見ていないところへ通したりできるところが自分の特長だと思うので、そこをもっと試合中出してチームを勝たせられるようにしていきたいです」というMF井川真飛(2年)がOBのMF山田真夏斗(現松本)のようなスルーパスを繰り出していたほか、仕掛けるたびにフィニッシュまで持ち込んでいた左MF三原、縦突破鋭い右MF久保達也(2年)が相手の脅威に。加えて、最終ラインからもCB岩本剛気(2年)の質の高いフィードが入ってくる。広島観音は相手の切り替えの速さや攻守のスピード、強度の前になかなか前進することができなかった。

 それでも、GK大黒隼人(2年)の好守やDF大下勝生(2年)を中心とした最終ラインの踏ん張りなどによって0-0を維持。また、徐々に立正大淞南の迫力に慣れた広島観音は、特に見る力と技術力を発揮していたMF小林真生(2年)やMF加川真聞(2年)を中心に狭いスペースをパスで打開する回数を増やしていく。

 立正大淞南は前半からゴールをもぎ取り、さらに追加点という試合運びをすることができなかった。それでも、南健司監督から評価を得ていたMF肥塚秀斗(1年)とMF谷野峻(2年)のダブルボランチが相手ボールを引っ掛けて味方に繋ぐなど主導権を渡さない。そして後半6分、クロスの流れからPAで粘った肥塚がヒールパス。これを三原が右足で左隅へ決めて先制した。

 だが、広島観音は10分、小林がPAへパスを入れると、前線で健闘していたFW中光壮汰(2年)の落としからFW武林瑛大(2年)が右足シュート。これが相手DFのハンドを誘い、PKを獲得する。PKキッカーの加川が右足で決めて同点。だが、再開直後、立正大淞南は左サイドから仕掛けた三原がPKを獲得し、自ら右足で決めて勝ち越した。

 広島観音にとっては痛恨の1点。それでも、相手の状況を見て、ボールを繋ぐ攻撃を続ける広島観音は、18分に右CKからDF安部聖人(2年)が決定的なヘッドを放ち、22分にも小林、中光、FW内藤伸悟(2年)と繋いで最後は左WB大町孝明(2年)の左足シュートがクロスバーをかすめる。終盤へ向けてチャンスの数を増やしたが、立正大淞南もゴールを許さない。

 同時にゴールへ向かう姿勢を終盤も全く崩さない立正大淞南は33分、交代出場のFW坂本心(2年)のスルーパスで右中間を抜け出したFW香西銀二郎(1年)が右足でゴールを破り、勝負を決定づけた。

 難敵を破った立正大淞南の岩本は「自分たちのチームの特長である前半から勢いを増していくということが今日はできていなくて、後半まで試合を決める点が入らなかったのは自分たちの課題ですし、初戦というのもあったんですけれども明日からこだわっていきたいです」と引き締めていた。

 立正大淞南は島根県新人戦で準優勝。今大会で優勝するという思いが強すぎたことで緊張やミスを生んだ部分もあった。また、三原や岩本、肥塚らが個性を発揮して勝った立正大淞南だが、南監督は「攻撃の連動性、連続性が非常に欠ける。それが今のウチ」と厳しい。岩本やGK長野大河(2年)といった昨年からの先発組を中心に一つ一つ成功や失敗の経験をしながらチームを構築していく。そして昨年、苦しい時期に支えてくれた人々へ恩返しするためにも成長を続け、試合で戦い抜き、白星を重ねる。

(取材・文 吉田太郎)

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