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[MOM3692]広島ユースFW棚田遼(3年)_“持っている男”がプレミアWEST優勝へ導くゴール!

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“持っている男”サンフレッチェ広島ユースFW棚田遼がWEST制覇へ導く決勝ゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.5 高円宮杯プレミアリーグWEST第18節 C大阪U-18 0-1 広島ユース 南津守さくら公園]

「今日みたいに勝てば優勝が決まる時に、仕事をするのがやっぱりエース。大舞台で決めたいという気持ちは本当に強かった」と振り返るのは、サンフレッチェ広島ユース(広島)の10番を背負うFW棚田遼(3年)。今季は全試合に出場し、第17節までにチームトップの9得点をマーク。来季からのトップチーム昇格が決まっている男が意気込み通りに大一番で結果を残し、3年ぶり5度目のWEST制覇を引き寄せた。

 見せ場は試合開始早々に訪れた。前半4分に高い位置での守備から攻撃に転じ、左サイドでスローインを獲得。ボールを受けたMF藤野和樹(3年)が前方に流すと、棚田の目の前に転がった。ゴールからの距離は少しあったが、「バウンドして良い状態だった。前半の最初だったので、打った方が良いかなと思い、思い切って打ってみた」一撃がゴール右上に突き刺さり、先制点となった。

「棚田のあんなシュートは見たことない」。ジュニアユース時代からの師弟関係である高田哲也監督だけでない。棚田自身も「自分でも、あんなゴールは記憶にない。自分でもびっくりするというか、やっぱり持っているなと思いました。大舞台に強い」と振り返る。

 タイトルがかかった試合でのゴールは今日が初めてではない。中学3年生の夏にも、日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会の決勝で2ゴールをマークし、日本一に貢献している。タイトルは獲れなかったが、今夏の日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会でも、トーナメントに入ってからの活躍が目立った。点が欲しい場面で、きっちり仕事出来るのが彼の強みと言えるだろう。

 ただ、決めるだけでないのも彼の特徴だ。得点後はC大阪U-18にボールを持たれる時間が増えた。奪ってから素早く繰り出すカウンターの急先鋒になるだけでなく、前線から懸命にプレスをかけ続けた。特に後半は相手に動かされた影響もあり、運動量の面で苦しかったが、それでも守備を頑張り、チームに活力を与えた。「自分たちの特徴は良い守備からの良い攻撃。自分はFWですが、攻撃だけじゃなくて守備でもチームのためにハードワークしないといけないという意識はあった」。

 来季からプロのステージに進む棚田にとって、高校最後の一年は充実した物となった。2種登録選手として、ルヴァンカップの2試合に出場し、いち早くプロの基準を知れた。加えて、ユースではエースとしての責務を負ったことで、心身ともに逞しさを増したのは収穫だ。「自分の代でチームを引っ張っていくというのは凄く良い経験になったし、FWとして得点を獲る所は成長出来たと思う。この経験を今度に活かして行きたい」。

「プロ入ったら、今よりシュートチャンスは減ると思う。少ないチャンスをどう物にしていくかが大事になるので、今までよりもフィニッシュの精度やラストパスを高めていきたい。そういう所をもっと高めてプロでもやれるようにしていきたい」。優勝の喜びに浸ることなく、エースの視線はその先に向いている。次の舞台でも、“持っている男”はチームに数多くの歓喜を呼び込んでくれるはずだ。

(取材・文 森田将義)
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