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大津の新主将FW小林俊瑛、“何もできなかった”国立決勝で勝つチーム、決めるストライカーに

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注目の大器、FW小林俊瑛は選手権準優勝校・大津高の新チームで主将を務める。(写真協力=高校サッカー年鑑)

“何もできなかった”国立で勝つチーム、決めるFWになる。大津高(熊本)FW小林俊瑛(2年=藤沢市立鵠沼中出身)は、第100回全国高校サッカー選手権で2ゴール。191cmの大型ストライカーは、3回戦で貴重な先制点を叩き出すと、準々決勝では絶妙なスルーパスで決勝点をアシストした。

 特長である圧倒的な高さとポストプレーを全国舞台でも表現し、攻撃の起点となった。跳躍のタイミングなど競る前の準備や競り方を工夫して相手DFを上回った一方、「大津のサッカーは守備から良い攻撃という形なので、凄く守備のところは意識してやっていました」というように前線でのハードワークを徹底。“公立の雄”大津にとって初となる準決勝、そして決勝進出に攻守両面で大きく貢献した。

 九州のライバル・東福岡高(福岡)や攻守にハイレベルだった前橋育英高(群馬な)などの強敵を破って決勝進出。だが、決勝では青森山田高(青森)にシュートゼロに封じ込まれ、0-4で完敗した。「シュートゼロで終わってしまったので、そこは攻撃陣にとっても悔しいところですし、攻撃する時に全部跳ね返されるという印象があったので、そういうところで何もできなかったという印象でした」。プレミアリーグを含めて全国トップクラスのDFと対峙し、強みを発揮してきた小林だが、青森山田は「やっぱり迫力が凄かったですね」と認める。

 大津の歴史を変えて選手権決勝を経験した喜び、自信と、完敗した悔しさ。「選手権の決勝という舞台を経験できたことは自分の中でも良かったと思いますし、その中で結果が出なかったということは悔しいところでしたね。ゴールを2点決められたことは良かったんですけれども、目標としていた5点取ることはできなかったので、そういう面でいうと、あまり良くなかったかなと思います」。だが、この冬の経験、悔しさが今後の大津、「大器」小林にさらなる進化をもたらすはずだ。

 大津の新チームで主将を務める小林は、「あそこで経験できたことは凄く大きかったと思いますし、あの国立という舞台で何もできなかったという印象が大きいので、次は自分たちの代が、と強く思いました」。大津の歴史を塗り替えた先輩たちは新チーム結成当初から強さを示していた訳ではない。それでも、「3年生はマジメな人たちが多くて、努力をずっとしていた」(小林)。メンタルの強さや様々な戦い方ができる強さを受け継ぎ、それ以上のチームになって1年後の国立決勝で勝つ。

 小林は選手権後、U-17日本高校選抜選考合宿に参加。U-18日本高校選抜候補との練習試合では大津の先輩たちと対峙し、第2戦では先制ゴールを決めて勝利へ導いた。3月まで活動予定のU-17日本高校選抜のエースストライカー候補。そして、4月からはプレミアリーグWESTやインターハイ、選手権で得点量産に挑戦する。

「次は相手が同年代なのでそこは絶対に負けちゃいけないと思っている。もっと磨かないといけないと思っているので、そこは練習していきたいです。22年はプレミアリーグ優勝とインターハイ、選手権どっちも優勝することが目標です。個人としても、その中で得点をいっぱい取ることや、インターハイ選手権で得点王になることも目指しています」。入学当初から注目されていた大型FWは、“育成の大津”で努力を重ねてできることを増やしてきた。悔しさも糧に大津や選抜・代表チームで進化を続け、「(後輩たちが)国立に戻ってやってくれると思います」と語ったGK佐藤瑠星(3年)ら先輩の期待に応える。 

(取材協力=スフィーダ、『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 吉田太郎)
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