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上手く行かなくても「しっかり守備を」。正智深谷が2-0で武蔵越生下し、関東大会へ!

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後半20分、正智深谷高がCB岩崎佑槻の先制点を喜ぶ

[4.27 関東大会埼玉県予選準決勝 正智深谷高 2-0 武蔵越生高]

 正智深谷が関東切符獲得! 2022年度関東高校サッカー大会埼玉県予選は27日、準決勝を行い、第1試合では正智深谷高武蔵越生高が激突。正智深谷が2-0で勝ち、2017年度以来となる関東大会進出を決めた。

 昨年のインターハイ出場校・正智深谷は、4-2-3-1システム。GKが望月奎杜(2年)で、4バックは右SB宮崎建吾(3年)、CB岩崎佑槻(3年)、主将のCB小屋結世(3年)、左SB冨岡佑太(3年)。中盤は初雁龍(3年)、山崎凌央(3年)のダブルボランチで、右SH春山朔也(3年)、左SH佐藤瞭丞(3年)、トップ下が大石桔平(2年)、1トップに菅野智稀(2年)が入った。

 一方、武蔵越生は一昨年度の選手権予選準優勝校で、昨年の選手権予選ではV候補筆頭の昌平高を破っているチームだ。4-3-3システムのGKは1年時からゴールを守る関根拓郎(3年)で、4バックは須田櫂舟(3年)、キャプテンマークを巻いたCB沼田大知(3年)、CB鈴木彪真(2年)、左SB大島暖(3年)、中盤は佐藤祥太(2年)を中央に右が清水謙次(3年)、左が安西歩夢(3年)の3ボランチ。2シャドーが植田空(3年)と黒沢佑樹(2年)、そして最前線に荒関龍(3年)が入った。

 前半、正智深谷がボールを握り、丁寧なビルドアップ。初雁の配球や、大石、菅野の動きをスイッチに、攻撃をスピードアップしようとする。だが、小島時和監督が「(相手の)3トップを怖がってコンパクトにできなかった」と振り返ったように、全体的に距離が空いてしまい、思うように前進することができない。右サイドを崩して春山がクロスを上げるシーンもあったが、なかなかゴール前の局面を増やせなかった。

 一方の武蔵越生は19分、植田への縦パスを起点とした攻撃から、荒関の1タッチミドルが左ポストをヒット。機動力のある植田ら前線の3人にボールを入れてセカンドボールを狙う武蔵越生は球際で粘り、セットプレーの本数を増やすことに成功していた。

 正智深谷も22分に佐藤の柔らかいクロスから菅野がヘディングシュートを放ち、40分には菅野を起点とした攻撃から春山が抜け出す。だが、武蔵越生の名手、GK関根の牙城を崩すことはできない。

 正智深谷は0-0の後半開始から山崎に代えてトップ下へMF古橋颯(3年)を投入。それに伴い、大石をボランチへ下げた。5分には宮崎のロングクロスから菅野がヘディングシュート。前線で健闘していた菅野を活用したシンプルな攻撃をシュートへ結びつける。対する武蔵越生は2シャドーを笛木亮成(3年)と{今野達也}}(3年)へチェンジ。この後、試合の流れは武蔵越生へと傾いた。

 武蔵越生は、笛木のドリブルや今野の左足をアクセントに押し込む時間を増加。正智深谷はビルドアップにチャレンジしているものの、なかなかチャンスを創出することができなかった。それでも小島監督は、「ダメな時はしっかり守備をして、来たチャンスをものにすれば勝てるから、最悪取れなくても切れるなと話をした」という。

 苦しい時間帯が続いたものの、1年時から先発で経験値豊富な小屋と、中学時代からFC多摩ジュニアユースでチームメートの岩崎を中心に相手の攻撃を一本一本弾き返す。そして佐藤をMF大澤弘基(3年)へスイッチした直後の20分、正智深谷が先制点を奪った。

 交代出場の古橋がFKを獲得。これを冨岡が左足で蹴り込むと小屋が競り合う。こぼれ球を岩崎が右足ハーフボレーでゴールへ突き刺す。幾度も吼える岩崎中心に喜び爆発の正智深谷イレブン。まず守備から安定させてチャンスを待った正智深谷が先行した。

 正智深谷は33分に両SBを左の正木翠羽(3年)と右の右田凱士(3年)へチェンジ。だが、武蔵越生は34分、カウンターから安西が右サイドを突破してラストパスを送る。これに走り込んだ今野が左足で合わせるが、シュートはゴール右外へ。武蔵越生がMF石本徕喜(2年)、正智深谷がFW伊比瞳弥(3年)を投入して迎えた38分には、武蔵越生MF今野の左足FKが右ポストを叩いた。

 武蔵越生の井上精二監督は「多少は相手を後ろ向きにすることはできましたけれども、シュートまで行くのが今後の課題」。逆に正智深谷は40分、前線で伊比が競り、PAで切り返した古橋がPKを獲得する。小島監督が「(前回出番がなく、)来たら仕事するぞという気持ちであったと思います」と評した古橋が大仕事。このPKを岩崎が右足でゴール左へ決めて2-0とした。その後、正智深谷は、MF八木咲成(3年)を投入。2点差を維持して逃げ切り、関東切符を獲得した。

 正智深谷の小島監督は「快勝したという感じはしないですね」と苦笑い。思うような展開ではなかったものの、昨年のインターハイ予選で5試合連続1-0勝利を果たし、埼玉制覇を成し遂げているチームは、この日も守備の安定を支えに勝ち切った。

 小屋は「去年から結構ゼロ失点とかあって、なんでか分からないけれど、自分たちは結構粘り強いので、そういうところを強みにして、苦しくても後ろは失点しないというのをこだわってやっていきたい」。小島監督も「感謝しています」と語った県決勝、関東大会の舞台を成長の糧にし、インターハイ予選連覇、選手権出場を目指す。

(取材・文 吉田太郎)

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