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「これは、ヤバいな」。“高校選抜”経験した2年生左SB田辺幸久は上で通用する武器を身に着けて飛躍へ

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左SB田辺幸久(大津高2年)はU-17日本高校選抜候補の一員として日体大との練習試合に出場。積極的に前へ

 Jクラブも関心を寄せる長身SBだが、公立中学校の出身。これまでは県選抜の経験も、県トレの経験も「ないです。(このような選抜は)初めてです」という。その初めての選抜活動の舞台が年上の日本高校選抜候補。左SB田辺幸久(大津高2年)は「『これは、ヤバいな』と思いました。何もできませんでした。プレスも速いし、本当に通用しないという印象しかないです」と振り返る。

 全国高校選手権で優秀選手に選出され、日本高校選抜選考合宿に2日間帯同。だが、スピード感の違いに加え、同じサイドで組む選手の特長が分からず、自分の得意な動きを伝えることもできていなかった。スプリントしてもボールが出てこない状況。「もっと努力しなきゃな、とU-18で思いました。本当に良い経験をさせてもらいました」。3日目、4日目は不参加者の出ていたU-17日本高校選抜候補に合流。同学年の選手たちの中で、「(U-17では)伸び伸びできました」。

 22日には、U-17日本高校選抜候補対日本体育大の練習試合に先発出場した。年上の“選抜”でできなかった分も、という思いも込めて臨んだ一戦では、高い位置取りから攻撃参加。積極的にプレーしていたが、「守備が全然捕まえきれなくて逃しちゃったり、クロスも合わなくてそれがあったのであんま満足はしていないです」と首を振る。

 翌日の日本高校選抜候補戦でも先発し、迫力のある攻守。終盤は押し込まれる時間帯が続いたものの、0-0で終えた。この日も納得の行くパフォーマンスではなかったかもしれない。だが、この4日間で学んだことは多い。「やっぱり筋力的にも大学生や一個上の先輩たちとやれたので、年上に揉まれても絶対に負けないフィジカルとか作っていかないといけないと思います」。守備面や左足の評価も高いが、それを高いレベルで通用する武器に変えなければならないと考えている。

「まだ上でやれる武器とか持っていないと思っているので、もっと瞬発力とか上げないと通用しないと思う。(対人守備では日本高校選抜選考合宿で大津の先輩である)田原さんにボコボコにされてしまったので。(キックも)味方が動き出しているところに正確にキックを蹴れていない。まだ合わせられていない。完璧に全部合わせるくらいにしたいです」

 準決勝で惜敗した選手権の感想は、「本当に3年生に申し訳ないという気持ちが強かったです。1年間、あの人たちのお陰でとても成長できたので、恩返しみたいなことをしたかった」と悔しがる。今後、選考合宿の経験も活かして守備で負けず、アシストも、得点もできる左SBへ。そして、チームとしてもレベルアップし、1年後、先輩たちに結果で恩返しする。

(取材・文 吉田太郎)
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