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[新人戦]公立の境が躍進!FW小竹涼斗の劇的ゴールで第一学院を破り、23年ぶりの茨城決勝進出!

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境高が23年ぶりとなる茨城新人戦決勝進出

[2.1 茨城県新人大会準決勝 境高 1-0 第一学院高 ト伝ノ郷A]

 境が23年ぶりの決勝進出――。令和4年度茨城県高校サッカー新人大会は1日午前に準決勝を行い、公立の境高が1-0で第一学院高を下し、決勝進出を決めた。もう1試合は鹿島学園高の棄権のため、明秀日立高が不戦勝に。境と明秀日立が1日午後の決勝を戦う。

 先発7人が地元の中体連出身という県立校・境が、勇気ある戦いでファイナルへの切符を勝ち取った。OBの羽石直樹監督から「今年はボールを大事にしようという観点でトレーニングしてきました。2、3回戦は出し切れなかったので『今日はチャレンジしていこう』」と送り出された境は、インテンシティの高い第一学院に対して逃げずに奪ったボールを保持しながら前へ。流動的に選手が動き、10番MF片野雅斗(2年)やFW結束太智(2年)中心にゴール前へ人が湧いてくるような攻撃を見せていた。

 だが、よりゴール前のシーンを増やしていたのは第一学院の方。右サイドのMF廣瀬詩音(2年)や左SB鈴木翔太(2年)が局面を個で破って決定機を作り出して見せる。期待の182cmFW九頭麗央(2年)は万全の状態ではなかったものの、体の強さを活かして起点に。また、コントロールタワーの10番MF辻龍之介(2年)が一際目立つ動きで崩しに係わっていく。

 だが、境GK鈴木啓介(1年)の好守に阻まれたほか、シュートが枠を捉えず、先制することができない。また、高橋秀弥監督は「自分たちはインテンシティ高くサッカーをやっていてボールを取れていたけれど、その後が消極的になってしまっていた」と指摘。より鋭角にゴールを目指し、前半のうちに先制できなかったことを残念がっていた。

 対する境は前半30分、片野の鋭い突破からFW青木隆将(2年)が決定的な右足シュート。アグレッシブな戦いでチャンスも作ると、後半開始からはFW齋藤拓郎(2年)とFW小竹涼斗(2年)を同時投入し、前線に強さとスピードを加える。

 開始直後に攻守の要であるMF花島悠晟主将(2年)が左サイドを抜け出し、一気にゴール前へ。またショートカウンターから齋藤、小竹がチャンスを迎える。だが、後半は第一学院の圧力が増す展開に。境を押し込み、ゴールへ迫り続ける。応援席を沸かせるようなシーンが幾度もあったが、今大会無失点の境は最後の局面で体を投げ出すなどゴールを死守する。

 羽石監督が「優勝を目指して、上位進出じゃなくて、(インターハイ予選や選手権予選で)全国に行くことを目標にやっている。球際のところで抜いたら間違いなく笑い話になってしまうので、とにかくそこにこだわらせてやっています」と説明したように、境はゴール前で意識の高い守備。たとえシュートを打たれても、最後まで体を寄せてコースを限定し続けていた。

 加えて印象的だったのが境の選手たちの声だ。花島をはじめ、各選手が守備面などについて厳しく声を掛け合い、また鼓舞していた。個々の力で勝る第一学院ペースで進むが、境の防波堤は崩れない。逆に境はCKのサインプレーなどで反撃。そして40分、GK鈴木のキックで小竹がDFライン背後を狙う。そして、飛び出してきたGKよりも一瞬速くシュートを放つ。これが決まって1-0。その後、声を掛け合いながら1点を守り抜いた境が、劇的勝利で23年ぶりの決勝進出を果たした。

(取材・文 吉田太郎)

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