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0-2から2発。チャレンジし、力出し切った健大高崎がプリンス関東1部初陣で帝京とドロー!

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後半33分、健大高崎高がFW中澤慶次(9番)の同点ゴールを喜ぶ

[4.1 高円宮杯プリンスリーグ関東1部第1節 帝京高 2-2 健大高崎高 帝京北千住G]

 プリンスリーグ関東1部初挑戦の健大高崎高(群馬)がチャレンジして勝ち点1をもぎ取った。高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2023 関東1部が1日に開幕し、22年1部2位の帝京高(東京)と22年2部2位で昇格組の健大高崎が激突。帝京がMF樋口晴磨(3年)の2ゴールで2点を先取したが、健大高崎がMF萩原咲空(3年)とFW中澤慶次(3年)のゴールで追いつき、2-2で引き分けた。

 ハイラインサッカーの健大高崎が、目標へ向けて弾みをつける勝ち点1獲得だ。前半3分、左サイドからの崩しでファーストチャンス。3バックと両WBが高いラインを設定し、前からボールに奪いに行った。

 だが、GK関沼海亜主将(3年)が「(帝京は)上手かったです。最初、ビックリしましたね」と振り返ったように、帝京は個々のスキルが高く、そのテンポの速いパス交換の前に苦戦。なかなかボールを奪い取ることができない。

 加えて、帝京は今治内定のU-18日本代表候補FW横山夢樹(3年)がPAでもDFを剥がしてゴールへ迫ったほか、空いたDF背後のスペースを左SB竹内大地主将(3年)らが幾度も強襲していた。

 健大高崎は22年U-16日本代表のDF新井夢功(2年)が個の力で相手の攻撃を食い止めていたほか、3バックの中央で構えるDF宮崎大翔(3年)が自信を持ったディフェンス。前へ出てのインターセプトや背後のカバーリングなど好守を連発していた。そして、10番MF渡辺聡馬(3年)を起点にボールを繋ぎ、後方から選手が飛び出す形でライン突破するなど、攻め返して見せた。

 だが、帝京は21分、今治内定CB梅木怜(3年)が自陣左寄りの位置から対角へ素晴らしいフィード。これにハイサイドで追いついた樋口がカットインから左足を振り抜くと、ボールはニアサイドのネットに突き刺さった。

 先制した帝京は止まらない存在になっていた横山をはじめ、各選手が普段よりも縦に速い攻撃でスペースを突いていく。ただし、日比威監督とともに指揮を執った山下高明GKコーチは、「ウチらしくない。イケイケで行ってしまった」と首を振る。幾度もチャンスになっていたことで本来のボールを大事に、多くの選手たちが絡んだ崩しではなく、単調な仕掛けに。また、ハイペースの戦いになってしまった。

 帝京は後半5分、左サイドを抜け出したMF今井大地(3年)がラストパス。ニアへ走り込んだ樋口が左足ダイレクトで決めて2-0とした。無失点で試合を進めたかった健大高崎にとっては痛い2失点。それでも、篠原利彦監督が「ウチは相手もキツくなってくる時間帯からが勝負だと言っている」という健大高崎が、ここから見事な戦いで同点に追いついた。

 帝京は後半半ば以降、運動量が落ち、足を攣らせる選手も。対して、健大高崎は中盤の攻防戦で優位に立った。ボールを素早く繋ぎ、WBの攻め上がりを活用すると、左WB千明竜希(1年)から良い形のクロスが2本、3本と入る。ゴール前のシーンを増やした健大高崎に対し、帝京は抜群のスピードを見せる梅木やGK川瀬隼慎(3年)が好守。だが、攻撃面では落ち着いてボールを繋ぐことができず、相手DF田村陸斗(2年)に幾度もボールを跳ね返され、新井にインターセプトされていた。

 29分、健大高崎が1点を奪い返す。右サイドを起点とした攻撃から交代出場の右WB田中千景(2年)がクロス。これをMF萩原咲空(3年)が跳躍からの右足ボレーで合わせ、1-2とした。

 さらに33分、健大高崎はオフサイドギリギリで右サイドを抜け出したFW中澤慶次(3年)が角度のない位置からシュート。「新チームができてから、1点取るのも苦戦していた。だから1本中の1本と言っていた」(関沼)という健大高崎が、チャンスを確実にモノにし、2-2とした。

 帝京はすぐにギアを上げるが、交代出場MF大貫慶斗(3年)の突破から横山が狙った一撃はGK関沼がビッグセーブ。帝京は終盤、MF土本瑶留(3年)を軸にボールが動くようになったが、健大高崎の運動量、強度は落ちない。アディショナルタイム、帝京は横山のスルーパスに竹内が走り込んだものの、「キック力とキック精度と背後へのタイミングには自信を持っています。自分の目標は無失点だったけれど2失点している。そこは止めようと思っていました」というGK関沼が再び阻止し、2-2で試合終了を迎えた。

 名門校から勝ち点1をもぎ取った健大高崎の篠原監督は「(プリンスリーグ)1部に上がったので、チャレンジしたい。できることをやって、当たって砕けろじゃないですけれども、出さずに負けるんだったら出し切って。そうすれば次に繋がると思うので。今日はチャレンジできましたね」と頷いた。

 昨年のエースFW小野関虎之介が群馬入りし、初のJリーガー誕生。また新井がU-16日本代表に初選出された。群馬の新鋭にとって、この影響は大きい。「今までのウチはビビっちゃっていた」(篠原監督)というチームは先入観がなくなり、伝統校、Jクラブユースと近い目線で戦うことができてきている。昨年のプリンスリーグ関東2部は周囲の評価を覆す戦いで堂々の2位昇格。この日の勝ち点奪取でまた自信をつけたことは間違いない。

 関沼は「まずは上を目指してやって絶対に残留はやっていきたいけれども、残留を狙っても上にはいけないので入れ替え戦まで目指してやっていきたいです。(今年は)群馬タイトル取りたいです」。チャレンジと成長を繰り返し、目標を達成する。

(取材・文 吉田太郎)
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