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シュートブロック連発。選手層厚く、「タフなチームに」なった青森山田が前橋育英に逆転勝ち

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後半32分、青森山田高の選手たちがMF川原良介(右端)の決勝点を喜ぶ

[7.9 高円宮杯プレミアリーグEAST第11節 前橋育英高 1-2 青森山田高 前橋育英高校高崎G]

 高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2023 EASTは9日、第11節2日目を行い、首位・青森山田高(青森)がアウェーで前橋育英高(群馬)に逆転勝ちした。青森山田は前半に先制されたものの、後半にCB小泉佳絃(3年)とMF川原良介(3年)のゴールによって2-1で逆転勝ち。2位・川崎F U-18に勝点4差をつけてリーグ前半戦を折り返した。

 過去6年で優勝3回。今年も「タフなチームに」なった青森山田が、勝負強さと選手層の厚さを見せつけ、勝点3を獲得した。前半は、シンプルにFW佐藤耕太(2年)とFWオノノジュ慶吏(2年)の2トップを活用した前橋育英のペース。佐藤が粘り強いボールキープで起点となり、オノノジュはそのスピードと強さで相手DFラインを強襲した。

 前半14分には、佐藤のキープからこの日攻守に存在感のあったMF石井陽(2年)が左サイドを抜け出してフィニッシュ。これで得た左CKからの決定機は、青森山田CB山本虎主将(3年)とこの日好セーブを連発した青森山田GK鈴木将永(3年)に阻まれた。

 だが、続く右CKの流れからU-17日本高校選抜CB山田佳(2年)が左足でゴール前に蹴り込む。ファーサイドで1バウンドしたボールを左SB立木堯斗(2年)が左足で合わせると、ボールはゆっくりとゴールラインを越え、先制点となった。

 青森山田は10番MF芝田玲(3年)の正確なクロスやリーグ10得点のFW米谷壮史(3年)のDF背後を突く動きなどでチャンス。だが、前橋育英はMF篠崎遥斗(3年)、CB熊谷康正(3年)、右SB青木蓮人(2年)が身体を投げ出し、連続でシュートブロックするなど執念の守りを見せる。

 前橋育英は20分を過ぎると、ボールを保持する時間を増やす。セカンドボールの回収でも利いていた石井、篠崎、そして山田耕介監督が「途中でくっと(プレーを)変えられるので良くなります。起点になっているような感じですかね」と賞賛する1年生MF平林尊琉が精力的にボールに係わり、青森山田相手に正確なパスワークを続けていた。そして、前半終了間際にもオノノジュの抜け出しから追加点のチャンス。だが、青森山田GK鈴木と小泉の好守に阻まれ、同点に追いつくことができない。

 前橋育英は後半も篠崎がタックルを決めるなど攻守でエネルギッシュな動きを見せ、山田も跳ね返しなどで健闘。交代出場MF黒沢佑晟(2年)のドリブル突破やショートカウンター、クロスから追加点のチャンスを作り出す。だが、青森山田も運動量のやや低下した前橋育英のゴールに迫る回数を増加。16分にMF杉本英誉(3年)のチャンスメークから芝田がフィニッシュへ持ち込むと、17分には山本の右クロスから交代出場FW津島巧(3年)が決定的なヘディングシュートを放つ。

 そして、21分には芝田のスルーパスで津島がGKと1対1に。これは、怪我を抱える前橋育英GK雨野颯真主将(3年)が足でシュートを止める。それでも、青森山田は直後の右CKで芝田がストレートのボールを選択。これを小泉が気持ちでヘディングシュートを打ち込み、同点に追いついた。

 前橋育英は24分、右サイドから相手の守りを崩し、3連続シュート。だが、青森山田は右SB小林拓斗(3年)らがゴールライン手前で3連続のシュートブロックをしてのける。逆に32分、青森山田は連続攻撃から杉本が右足でクロス。これをファーサイドの川原が頭で押し込み、逆転した。

 反撃する前橋育英は40分、石井のループパスから交代出場MF鈴木蓮大(2年)が決定機を迎えたものの、青森山田CB小泉がゴールカバー。こぼれ球を右SB青木蓮人(2年)が狙ったが、GK鈴木に阻まれた。

 前半、青森山田は決定機で前橋育英のシュートブロックに阻まれ、逆に止めるべきシーンで決められていた。ハーフタイムに正木昌宣監督からその点を指摘されたチームは改善。「(前・青森山田監督の黒田剛監督の率いる町田)ゼルビアみたいなシュートブロックの感じでしたね」(小泉)というゴール前の強さで2点目を許さなかった。

 2-1で青森山田が逆転勝ち。好勝負を演じながら敗れた前橋育英の山田監督は、「やっぱりあれを勝ちきれないと全然ダメなので。良いゲームだったね、で終わっちゃう」と首を振る。一方、青森山田の正木監督は「元々伝統である勝負に対してというところはまだまだ継続してやれている。簡単には負けない、タフなチームになってきて嬉しいですよ」と微笑んだ。

 青森山田は競った展開で津島やMF後藤礼智(3年)、MF別府育真(2年)とベンチメンバーを積極起用。最後はDF関口豪(3年)とDF小沼蒼珠(2年)を送り出し、試合を通して身体を張っていたDF菅澤凱(3年)、小林、小泉との5バックへ移行してリードを守り抜いた。正木監督は「今回いる18人はスタメンでも、サブでも変わらないくらい勝負できる印象がある。一芸持っている子たちが多いので。その一芸が良い意味でアクセントになるので今は信頼して出せていますね」。気温31.8度の暑さの中、勝負強さと選手層の厚さも実証した。

 目標の3冠へ向け、ここからはインターハイに集中。山本は「個人もそうですけれども、チームも成長してインターハイで優勝できればと思います」と語り、芝田は「このチームで掲げている3冠を絶対に達成したいですし、インターハイ落とせば3冠はできないので、気持ちの入った最高の大会にしたいと思います」と力を込めた。2人はこの日、シュートブロックしなければならないようなピンチを作られていたことを猛省。青森山田らしく細部まで徹底して準備し、最高の大会にする。

(取材・文 吉田太郎)
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