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アジア、インハイ予選で悔しさ味わった日章学園FW高岡伶颯「『あの時に苦しい思いしておいて良かったな』と思えるような夏にしたい」

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日章学園高のU-17日本代表FW高岡伶颯(2年=三股町立三股中出身)は7月下旬、堺ユースフェスティバルで鍛錬の日々を送った

「『あの時に苦しい思いしておいて良かったな』と思えるような夏にしたい」

 U17アジアカップ優勝戦士が、必死に夏を過ごしている。日章学園高(宮崎)のFW高岡伶颯(2年=三股町立三股中出身)は、昨年末の全国高校選手権や2月の九州高校新人大会で印象的なプレー。3月にU-17日本代表へ初選出されると、6月のU17アジアカップメンバー入りも果たし、U-17ワールドカップ出場権を懸けた準々決勝(対オーストラリア)で貴重なゴールを決めるなど日本のアジア制覇に貢献した。

 だが、U17アジアカップではその1得点のみ。日章学園でもインターハイ出場を逃した高岡は現在、その悔しさをエネルギーに鍛錬を続けている。U-17日本代表の一員として出場する「HiFA 平和祈念 2023 Balcom BMW CUP 広島国際ユースサッカー」(8日開幕)は、結果を出すことが目標。その高岡がU17アジアカップの感想やU-17ワールドカップ、全国高校選手権への思いについて語った。

―アジアで貴重な経験。どのような大会だった?
「チームでやるよりも代表でやった方が成長できると思って、本当に行けたのは良かったし、嬉しかったけれど、悔しかったです。本当は自分じゃない(選手が選ばれた)方が良かったんじゃないか、というくらい……。このアジアカップで向上心を持って戦って、チームに帰ったら『またやってやるぞ』という気持ちがアジアカップに行った時は強かったので」

―自分としては物足りない。
「『もっとやりたいな』と。正直、行けたのは良い経験になって、オーストラリア戦でも1点決めれて、凄くこれからの人生の糧にもなったと思うので、そこの部分は良かったけれど、チャンスの数が人一倍あって、それを決められなかったというのが自分の一番の課題だと感じました」

―グループステージでは貢献度高いプレーをしていたけれど、最後のフィニッシュやその手前のプレーが課題になっていた。
「日章では冷静にやれているんですけれども、アジアというのもあったので、そこ(国際大会の難しさ)が自分にはまだ身に染みることができていなかったのかなと思いました」

―心の準備はできていたけれど、思っていた以上だった。
「甘いというより通用はできたと思っています。シュートとかも打てて、でも、あと少しのところが出せなかった」

―準々決勝・オーストラリア戦のゴールは日本を救った。
「あのシーンはその前のインド戦があって、チャンスがありまくって、でも1本、2本ポストに当たって自分でもヤバいなと思って……。そこまでの(グループステージ)3戦、色々と思うことがあって、『もっと頑張らないといけないな』と思っていました。でも、『呼ばれた以上は絶対に結果を出してやらないとな』と。自分の役割としては、最後の20分とかでチームを助けるようにすること。スーパーサブみたいな感じで(監督の)森山さんにも言われていたので、その部分に関しては強い気持ちがあった。オーストラリア戦なんてワールドカップの懸かった試合。優勝を狙いつつもその試合の方が大事だった」

―あのゴールシーンは相手DFも寄せて来ていたけれど落ち着いていた。
「そうですね、ゴール前で変に考えっちゃったりすると上手く行かないので。あの時は、ボール来た瞬間、冷静に見えていたので。半身じゃなくて斜め(の体勢)で周りが見えていて、ゴール方向に向かって行けた。自分的にはあの試合は忘れられなくて、嬉しかったんですけれども、あのオーストラリア戦で終わってしまったような感じで。だから、(準決勝も決勝も活躍できるように、)もっとピークを伸ばせるように、これから成長していきたいと思っています」

―アジアでやれるなと思ったことも多いのでは?
「『やれる』と思ったことは自分的にも多くて、フィジカルとか、体つきは相手の方が大きかったと思うんですけれども、それに動じないくらいの軸だったり、スピードだったりが通用できたり、チャンスメークも。休む暇がないくらい考えて、いつボールが来ても反応できるように意識していました。スピードとかは結構通用できたし、チームでは背後へのランニングとかも結構意識していたので、そこも相手には上手くハマったりしていました」

―激しい接触に苦戦する選手もいたけれど、高岡君は負けていなかった印象がある。
「体幹は毎日練習前にやったりしているし、自主トレで重いボール、メディシンでやったりもするので、そこは結構自信がある」

―アジア制覇の反響はあった?
「地元の宮崎や日章学園とかも祝福してくれて、『アジアカップってこんなに背負っているものがあったんだな』って感じました」

―帰国後、プリンスリーグで抜群のプレーを見せていると聞いた。
「帰ってきて、色々と思うところがあったんですけれども、『やってやるしかないと』思って、代表活動よりもチームの方が大事なので。チームで勝たないと、代表とかはそれに付いて来るモノだと思う。『チームでしっかりと気持ち切り替えて、結果残そう』とやった結果、最初(対鹿児島城西高、6-1)がああいう試合で終わらせられて、(U-17日本代表コーチの)廣山さんもちょうど来ていて、ちょっとした代表での悔しいのも晴らせたのかなと思います」

―インターハイ予選で敗退したことは、その後の自分のプレーに影響していなかった?
「インハイ負けてからJのところに行って。チームはオフがあったんですけれども、自分はそのままオフなしで直接代表活動だったので、自分の気持ちは切り替えられたんですけれども、心のどこかで少しは悔しさがあった。でも、自分の目標はA代表なので、『これくらいで挫けていたらいけないな』と思ってアジアカップに臨んだんですけれども、結果が出なくて。でも、ちょっと『成長しがいがあるな』と自分でも思って、(成長できることは)『嬉しいな』と」

―どのような夏を。
「(インターハイに出られず)悔しいのもあるんですけれども、自分は寮生活なので、いつでも(目の前にある)グラウンドに行ける。課題もですけれども、もっと気持ちの部分でも強くなること。(ライバルたちは)インターハイで試合しているけれども、僕たちも練習しているし、練習終わった後にもしっかりと自分でも努力して、選手権で『あの時に苦しい思いしておいて良かったな』と思えるような夏にしたいです」

―今のところはそのようなトレーニングができている。
「できています。学校がない日は9時くらいに練習があって、12時くらいに練習が終わって、それから(自主練を)3時間くらい。中学の練習をやっている時は一回寮に帰って睡眠取って、また夕方グラウンド出たりとかしています」

―MF名和田(我空、神村学園高)君やMF佐藤(龍之介、FC東京U-18)君、FW道脇(豊、熊本)君の活躍が刺激に。
「同年代で名和田とか小学生の頃から知っている仲だったので、(彼が)中学で活躍して高校でもこうやって目の前で活躍されると、『何で自分はこんな…』みたいに思ってしまうんですけれども、自分の成長の糧の一つになると思う。今よりも未来で活躍することが一番の目標なので、そこに行けるか」

―(U17アジアカップMVP、得点王の)名和田君の存在は特に大きい?
「本当に自分の成長する中で、一番タメになるというか。自分が活躍してもあっちもやっていると思うし、ライバル心というより名和田は何というか、自分の成長の糧ですね」

―ワールドカップと選手権へ向けての意気込みを。
「アジアカップで凄く悔しい思いをして、主役になれなかったので、ワールドカップで。ワールドカップってヨーロッパや南米のチーム、スカウトとかも来るので決め切って、自分の最大限の力を出せたら良いと思っています。選手権は『夏、頑張って良かったな』と思えるくらい練習して、チーム一丸で戦って、『その中でも高岡やな』と思ってもらえるように、この夏頑張って絶対に優勝したいと思います」

―U-17では世界一が目標。
「やれると思います」

―アピールしなければいけない大会が続く。
「バルコム(BMWカップ)は、アジアカップでやったウズベキスタンとかとやれる。この夏の成果を一つ出せればと思います」

(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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