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「我々が必ず受け継がなければいけないマインドが最後まで出せた」。プリンス中国首位の岡山U-18が最後までやり切り、勝点1獲得

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ゴールへの積極性を示し、2試合連続得点を奪ったファジアーノ岡山U-18FW石井秀幸

[9.9 高円宮杯プリンスリーグ中国第13節 瀬戸内高 1-1 岡山U-18 揚倉山健康運動公園(上段)]

 高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ 2023 中国は9日に第13節を行い、瀬戸内高(広島)とファジアーノ岡山U-18(岡山)が対戦。両者譲らず1-1の引き分けとなった。

 岡山のMF藤田成充(2年)が「勝ちたかったけど、苦しい中で良く耐えたなというのが一番の感想です」と胸をなでおろしたのに対し、「勿体ない試合だった」と悔しさを滲ませたのは瀬戸内の田中健二郎監督。得た勝点は同じ1でも、捉え方は両チームで異なるゲームとなった。

 立ち上がりに主導権を握ったのは、クラブユース選手権3位で、リーグ首位に立つ岡山。前半5分には右サイドを抜け出したMF三木ヴィトル(2年)のパスからFW石井秀幸(2年)がゴールを狙ったが、瀬戸内GK田平悠斗(1年)の好セーブに阻まれた。

 10分には高い位置でボールを奪った石井が中に預け、MF楢崎光成(3年)がスルーパス。FW村木輝(3年)がフリーで抜け出したが、オフサイドになるなど好機を活かせない。対する瀬戸内は「セカンドの回収率が全く上がらず何もできなかった」(田中監督)ため、自陣での時間が続いたが、19分にMF長村星波(2年)、國本純成(3年)と繋いだボールを右前方に展開。走り込んだMF美藤慶音(3年)が豪快に決めて先制した。

 ワンチャンスを物にされた岡山もこのままでは終われない。「サイドを起点に、そこからオーバーラップやワンツーで崩すのが自分たちのスタイル。20分を過ぎた辺りから自分たちの攻撃が上手くできました」と振り返るのは藤田だ。中盤からタイミングよく飛び出す楢崎やDF勝部陽太(3年)のインナーラップも効果的で再び瀬戸内を押し込むと、43分に右を抜けた村木のパスから、石井が2試合連続となるゴールを奪って、同点で試合を折り返した。

 後半の立ち上がりも流れは変わらず、岡山。「前半が終わってハーフタイムにどうやってゴールに向かっていくか少し修正をかけた。いくつか良いランニングや受け方をしていて、このまま続けたら(追加点が)獲れると思っていた」。梁圭史監督はそう振り返るが、後半2分には背後をとられそうになったDF服部航大(3年)が決定機阻止の判定を受けて退場となった。

 10人での戦いを強いられてからは、「4-4-1のブロックを作ってスライドが遅れないようにするのと、1対1の球際で負けないよう意識していました」(藤田)。数的優位を活かすために瀬戸内が攻め急いだこともあり、自陣に持ち込まれても失点の気配を漂わせない。反対にカウンターから押し返す場面も見られた。

「相手が10人になって逆に難しくなりました。本来はもっとクサビを打ち込みたかったけど、カウンターが怖かった」。田中監督が振り返った通り、瀬戸内は思い通りの攻撃ができない中でも終盤には再び岡山のゴール前に出ると、後半44分にはFW上岡士恩(2年)が倒され、PKを獲得。勝ち越しのチャンスだったが、キックは岡山のGK近藤陸翔(3年)に止められ、1-1でタイムアップを迎えた。

 苦しい試合展開を凌いだ岡山にとっては価値のある勝点1。梁監督は「自分たちがやろうとするサッカーが何もできなかった」と口にしつつも、こう続けた。「最後まで絶対に勝負を捨てないとか、勝利を目指すのがファジアーノのアイデンティティというかDNA。PKも含めて決定機を作られかけましたが、最後までやり切ろうとしていた。我々が必ず受け継がなければいけないマインドが最後まで出せた」。

 反対に白星を逃す格好となった瀬戸内にとっては反省点が多く見られる試合展開。田中監督は「相手が10人になっても回収していたのに、うちはほとんど拾えなかった。セカンドの回収率をもう1個上げないとサッカーにならない」と手厳しい言葉を残した。

(取材・文 森田将義)
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森田将義
Text by 森田将義

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