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静岡学園伝統の10番。「もっともっと」上手くなることを求めてきたMF高田優は、徳島で「もっと成長したい」

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静岡学園伝統の10番を背負うMF高田優徳島ヴォルティス

 伝統の10番が成長を後押し。先輩たちに続くプロ入りだ。徳島ヴォルティスは18日、静岡学園高(静岡)の10番MF高田優(3年)の24年シーズン新加入内定を発表した。

 名門の10番を背負うレフティー・高田は今年はじめ、2年生のうちに徳島へ練習参加。「環境が凄く良くて、サッカー一本で集中できるみたいな感じだった」。練習環境の良さや向上心を持って取り組む選手たちの姿、そしてレベルの高さを実感していた。

「ボール持ってからの判断だったり、ドリブルとか、パスとか、普通にプレーできたのでそこは良かったですけれども、やっぱり頭を使ってサッカーをするとか、強度のところだったりは本当に足りないと実感した」

 また、2年時までAチームでのプレーはわずか。まだまだ公式戦で活躍した実績は少なく、当初は大学進学を考えていたという。それでも、4月に開幕したプレミアリーグWESTで静岡学園は快進撃。首位を快走するチームの中で、高田はドリブル、パス、シュートを駆使して白星をもたらした。自信を得た10番の背中を徳島が押す。

「(強化部長の)谷池さんに評価してくれていることとか、これからのプレーモデルとか色々な話を聞いて、これなら勝負しても良いかなと(自分の先の姿が)見えた。下でボールを触りながらゲームを作るのもそうだし、パッと出て行ってゴールを決めたり、アシストを決めたり、あと左足のシュートとか評価してくれていると言われていました」とプロで挑戦することを決意。静岡学園で2学年先輩のMF玄理吾に「しっかり考えて決めな」と助言されていたという高田は、その先輩も活躍中の徳島からプロ生活をスタートする。

 静岡学園での3年間、そして10番がプロ入りを後押ししてくれたと感じている。「サッカー人生の中で一番成長できた3年でしたね。初め、入った時は10番つけるとか想像もしていなかったし、トップに行けたら良いなくらいでした」と高田。清水エスパルスSS静岡時代は10番だったが、「僕が行かないと、という感じ」のチームでドリブルばかりしていたという。

 静岡学園は静岡県内だけでなく、関東、関西からも有力選手が集う名門校、当初は自信を持てていなかったが、1年生チームから試合に出て活躍し、2年時にセカンドチームの先発としてプリンスリーグ東海を戦った。周りは藤枝東高や浜松開誠館高など強豪校のAチーム。厳しい戦いの中で経験を重ね、成長し、AチームのプレミアリーグWEST出場のチャンスも掴んだ。

 そして、最終学年は10番に。川口修監督は当初から高田の得点を取れる才能を見抜いていた。高田はその期待に応え、プレミアリーグWESTでの5得点5アシストという目標を早い段階でクリアしている。

 静岡学園の象徴である10番は、昨年のMF高橋隆大(現奈良)、一昨年のMF古川陽介(現磐田)、2019年度日本一世代のMF松村優太(現鹿島)ら近年もJリーガーになり続けている。2学年先輩の古川も、昨年一緒に戦った高橋も世代を代表するドリブラー。加えて、チームを救うようなゴールを決めていた。

「最初は重荷。っていうか、気負っちゃうことがあったけれど、もう無いですね。自分のプレーしよう、自分のプレーしようと思っている。彼らの真似はしないで良い、と思ってやってきた」と高田。ただし、10番を背負うことが成長を加速させてくれたと感じている。

「(10番を背負うことで)『もっと、もっと』ってなるんで。そういう部分では成長させてくれた」

 もっと上手くなりたいという欲求はプロ入りを決めてからも変わらない。「徳島で一番は『もっと成長したいな』、というのがあって、一年目から試合に出たいと思っているけれど、そんなことよりはまず環境になれて、もっと課題とか武器とか磨いて、通用する選手になりたいです」。先輩たちから吸収をして、もっともっと、上手くなる。

「試合見ていて上手い選手がいると、ちょっと面白いじゃないですか、見ちゃうじゃないですか。そういう選手になりたいですね。(サポーターも)自分で言うのもなんですけれども、ボール持った時のちょっと独特な感じとか見てくれたら大好きになるんじゃないかなと(微笑)。(具体的な目標を掲げるよりも、)自分の性格的には『まず目の前のことをやる』っていう感じなので、徳島行って成長して、いつになるか分からないですけれども試合に絡んでとか、そこからまたステップアップしていけたらと思っています」

 間もなく初戦を迎える選手権予選、全国大会を勝ち上がれば、全国決勝は24年1月8日。静岡学園で少しでも上手くなって、徳島でも必ず成長を続けて、観衆を魅了する。

(取材・文 吉田太郎)
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