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GKマテウスから刺激を受け、目指すべき基準が明確に。東京V内定の静岡学園GK中村圭佑「あとは入って自分が伸びるだけ」

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静岡学園高のU-18日本代表GK中村圭佑(3年)が東京ヴェルディ

 目標の守護神を超える。東京ヴェルディは18日、静岡学園高(静岡)のU-18日本代表GK中村圭佑主将(3年)の24年シーズンからの新加入が内定したことを発表した。

 U-18世代を代表するGK中村は今年、J1、J2の3クラブに練習参加。オファーの届いたクラブの中で「行ってみて、雰囲気や練習の良い感触があって、ここなら成長できると思ったのが、一番大きかったと思います。自分に対して練習の中でも凄くサポートしてもらえたり、自分のウィークを練習で少しやってもらったり、アドバイスしてもらったり、とか短い期間の中でやってもらって、それも良いなと感じました」という理由で東京V入りを決断した。

 練習参加した際に刺激を受けた。「みんな意識高くて、プロの練習って凄く短い時間でやると思うんですけれども、凄く詰まっていたなという感じで。GKにマテウス選手がいたりとか世界のレベルを凄く肌で感じれたし、(監督の)城福さんもめっちゃ熱い人でみんなが凄く高いレベルで練習をやれていたので、自分も凄く刺激になりました」と振り返る。

 優しく接してくれたGK陣の中で、目標とする存在ができた。それは、ブラジル人GKマテウスだ。「自分は海外のGKと日本のGKではちょっと文化やキャッチの仕方で違いがあったんですけれども、凄く伸びもあるし、全然決められている感じがないというか、止めるなというがあったりとか、隣に立って凄くデカいなと思ったりとか。同じGKとして、ちょっと違うレベルのものを感じられました」と説明する。

 自分の目標を達成するための基準がはっきりとした。「自分も試合に出るためにはあそこを超えないといけないと思うし。将来代表に行くためには、あのくらいにはならないといけないので、そこは目標っていうか、ライバルというか、意識できる相手ができて、凄く嬉しいです」。高卒GKが出番を得るまで時間を要する可能性が高いが、それは覚悟している。

「まだ今の段階では自分がそのレベルではないことは明白なので、やって上に行くしか無いと思っているので、とにかくやるだけですね。プロに行くと決めた時にやらなきゃという覚悟はできていたので、あとは入って自分が伸びるだけというところだと思います」

 ロス五輪、ワールドカップの目標を実現するためにも、絶対に東京Vで先発の座を勝ち取らなければならない。「とにかく試合に出る、自分が一番手でやっていく、というところを見失わないこと。入ってすぐは無理かもしれないですけれども、本当にいつでもいけるくらいの気持ちで毎日トレーニングして、早い段階で試合に出始めて、A代表とかもどんどん入っていかないといけない。ただチームで出て、というだけでなくて、出た後に上の人からも評価されるような、そういうGKになりたいです」と意気込んだ。

 中村は小学生時代、浦和尾間木SSS(埼玉)に所属し、主にCBでボランチも務めるプレーヤーだった。当時のチームメートで「スーパー」だったというFW大木海世(現柏U-18)を見るために訪れた多くのスカウトの前で好プレー。FC東京U-15むさしの練習会に誘われた際、GK転向を提案されたのだという。

 当時はFC東京U-15むさしのGK小林将天、FC東京U-15深川のGK齋藤朝陽に次ぐ存在で、FC東京U-18への昇格は叶わなかったが、静岡学園で成長を加速。1年時から年代別日本代表候補に選出されると、2年時からは名門の守護神となった。そして、今年は主将。元々ハイボールへの強さやビルドアップ力には定評があったが、今年はチームを救うようなビッグセーブを連発し、チームのプレミアリーグWEST優勝争いに貢献している。

 今年8月のSBSカップでは、U-18日本代表のファーストGKとして2試合で先発出場。U-18チームへの昇格を逃してから努力で這い上がり、勝負強さを身に着けてきた守護神がプロ入りを勝ち取った。

 その中村にとって、ライバルと言える存在が小林だ。FC東京U-18からトップチーム昇格を決めている守護神は、年代別日本代表でも守りの要を担ってきた。SBSカップで中村と小林は会話するシーンが良く見られたが、「改めてオレらめちゃくちゃ仲が良いなと思いました。練習とか試合以外のホテル生活もずっと一緒にいて、飯もずっと2人で食っていますし、プレーの考え方の共有とか、『これ、どうする』みたいな、ビデオ見ながらそういう話とかもできたので、本当に2人でどんどん上にのし上がって行きたいなと思いました」(中村)

 同じ東京で、別の道を歩んでいくライバルであり、親友。「頑張って欲しいです」とエールを送った中村は、小林と切磋琢磨しながらA代表まで駆け上がっていく意気込みだ。まずは目の前の戦いに集中。選手権に必ず出て活躍し、日本一になって東京Vのサポーターも喜ばせたいという思いがある。

「自分が入って、いつ出るのかなと思ってもらえると、入ってからも凄く応援されると思う。今は、自分がどんなプレーヤーなのかとか、どういう人なのかは分からないと思うけれど、選手権はヴェルディのサポーターも見てくれると思う。アピ―ルの場にもなると思うので、チームが一番ですけれども、その中で活躍して、ヴェルディのサポーターの人にも見てもらいたい」。目標とするGKに近づくため、厳しい試合を一つでも多く経験し、勝ち抜いてプロ生活をスタートする。

(取材・文 吉田太郎)
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Text by 吉田太郎

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