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[高校新人戦]山梨学院・吉永ヘッド、「弱点を見つけられる選手が多いチームが勝つ」

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[1.23 山梨県高校新人戦2回戦 山梨学院大付 5-1 巨摩 山梨学院G]

 「自分を客観的に見ることが大事。(練習・試合で)自分が何をしなくちゃいけないか、分かっている選手が上手くなる。逆にいうと自分が何をすべきか分からない選手は本当にいい選手にはなれない」。第88回全国高校サッカー選手権で初出場初優勝した山梨学院大付(山梨)の参謀役、吉永一明ヘッドコーチは高校生選手の成長に必要な条件として上記を挙げた。

 吉永ヘッドコーチは清水エスパルスのヘッドコーチやサガン鳥栖のコーチを務めた経歴を持ち、昨年2月から山梨学院を実質的にチームを指導。現在は同校の体育教師とサッカー部の寮監も務めてチームを誰より近い位置で見守っている。
 経験豊富な名コーチ。選手には「ボールを奪うこと」「ゴールを守ること」「ゴールを取ること」「ボールを守ること」そして「相手よりも早く切り替えること」というサッカーにおけるベーシックな部分から落とし込んでいる。「当たり前のことを当たり前にやる。それが大事です。守ろうとしない選手に『こうすれば上手く守れるよ』、という話をしても通じないですから。FWでいえば、長所を生かすことなどよりもまずは『シュートで終わっていれば成功だよ』と。そこからゴールにどう近づくか、という話をします。ある意味、長所を殺してでもベーシックな部分というのは大事。バルセロナだって常にポゼッションしている訳ではない。ボールを奪ったらどうしているか、を考えてほしい」。山梨学院のサッカースタイルは「個人技」や「サイドアタック」「堅守」のような特筆すべき特徴のないもの。ただ、サッカーにおける本質を理解し、勝つためにどうプレーすべきかを知っている選手が多かった。そしてそこからプラスアルファの部分を引き出せたからこそ頂点に立った。

 選手権決勝では青森山田の弱点だった、相手の攻撃的なダブルボランチの横を突く攻撃で決勝ゴールを奪い取った。指示されるだけでなく、選手たちが自分たちで相手の弱点を発見することができるか。これも強いチームには必要な条件だ。「自分たちで相手の、そして自分たちの弱点を見つけられる選手が多いチームが勝てると思う」。

 山梨学院の新チームは23日、新人戦初戦を5-1で勝利。だが、昨年からのレギュラー組と初めて公式戦に臨む選手たちの意識の差が見られた。「(優勝した)3年生たちは何でミスが起きたのか、誰かがいえば、みんな反応していた。それはみんなが弱点を見つけられていたから。きょうは周りが見えている選手がいっていることに対して、見えていない選手が(自分たち、相手チームの弱点について)感じることができていなかった」。これからは、すでに周囲を見渡してプレーできる選手のレベルにひとりでも多く引き上げることを心がけていく。

 「何をするのか意志をもってグラウンドに立つ選手になってもらいたい」と吉永ヘッドコーチは選手たちに期待。今年は全国王者としてシーズンに臨むが「プレッシャーの中でしか伸びないことがある。プレッシャーと向き合って乗り越えること。それが我々指導者にとっても、選手にとっても大事です」

(取材・文 吉田太郎)

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