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[高校新人戦]持ち味のがむしゃらさ欠けた西武台、3発勝利も猛省:埼玉

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[2.20 埼玉県高校新人大会準決勝 西武台 3-1 武蔵越生 西武台G]

 平成21年度埼玉県高校サッカー新人大会準決勝が20日、新座市の西武台高校第2グラウンドで行われ、第1試合では第88回全国高校サッカー選手権出場の西武台と武蔵越生が対戦。西武台がMF大迫翔太(2年)の先制ゴールなど3-1で勝ち、新人大会連覇に王手を懸けた。

 相手に一度もリードを許すことなく3-1で快勝。ただ試合後、西武台・守屋保監督の表情は厳しかった。「みんなで頑張る。ボールを追っかけまわす。戦う気持ちを前面に出す。これが今年のよさ。でもきょうはあまり出来ていなかった。ダイレクトでシュートすれば入る場面をわざわざ止めてコントロールして蹴ったり・・・・・・大事にやろうとし過ぎていましたね」。

 その指揮官が「55分まで良かった」と振り返ったように、後半15分(40分ハーフ)頃までは西武台にとってほぼ思い通りの試合展開だった。中盤中央のMF松本和樹主将(2年)が抜群のポジショニングで相手ボールを奪い取ると、その展開から右サイドのMF中村聡一朗とSB澤本玲(ともに2年)のコンビが個人技を交えて再三チャンスを演出。18分には相手DFの好守に阻まれたがFW永松直輝(2年)がGKの頭上を射抜くループシュートを放つ。21分にはFW清水慎太郎(2年)が右サイドでDFを2人、3人とかわしてラストパスを送り、27分には中村がDF2人を置き去りにして右サイドをえぐった。
 
 ラストパスがやや受け手とずれていた事、そしてCB三羽悠矢(2年)を中心とした武蔵越生DF陣が前への強さを見せていたこともあり、なかなかゴールにつなげることができなかったが、それでも31分、右サイドから中村が出したスルーパスに反応した澤本がクロス。ファーサイドで構えていた大迫が右足ダイレクトでゴールへと叩き込み、先制点を奪う。さらに38分にはゴール前で粘ったMF野上健雄(2年)から最後は松本がゴールへと押し込み2-0で前半を折り返した。

 後半から3人を入れ替えた武蔵越生に対し、10番のMF末松光と9番のFW佐々木雅人(ともに2年)を投入した西武台は、末松のゲームメイクなど前半以上に主導権を握って試合を進める。だが18分、武蔵越生のMF池田弘樹(2年)にCBが剥がされると、そのパスを受けたMF渡部一之(2年)にもDFを外されてあっさりと追撃ゴールを奪われた。

 西武台は直後から負傷明けのMF阿部祐希(2年)をピッチへと送り出したが、この後は攻め込みながらもキレイに崩そうとしすぎる傾向となり、ゴール前でのがむしゃらさを欠いた。加えて粘り強く守る相手の前にチームは追加点を奪えず。逆にカウンターから武蔵越生のFW黒坂裕太(2年)に右サイドを突破されるなど、冷や汗をかかされる場面もあった。32分に左サイドから切れ込んだ清水のゴールで決着をつけたが、試合後は指揮官同様選手たちの表情も冴えなかった。

 全国選手権1回戦(対立正大淞南)で決勝ゴールを決めている清水に阿部、佐々木、CB町山阿記(2年)と全国の経験者を残す今年の西武台。MF三浦大輝やFW佐瀬達也(ともに3年)ら好選手を擁した昨年に比べると技術面では劣るものの、松本主将が「能力的には先輩たちよりも低いし、2倍くらい練習しないと追いつけないと思う。でも最後まであきらめない姿勢だったり、チームワークは昨年に負けていない」と話すように、チーム一丸となって闘う姿勢とその組織力には自信を持っている。
 先輩たちの最後の試合は、後半の追撃も作陽に1点及ばず敗れたもの。そこで追いつき、追い越すことのできる精神面の逞しいチームを経験者中心に目指している。

 この日は流れのいい試合展開に、武器であるがむしゃらさを失っていた。だが試合直後に守屋監督からゲキを受けて緩みのあった姿勢を猛省。初心に戻って1週間後の決勝を戦うつもりだ。

<写真>西武台の攻撃を引っ張った清水(左)。後半32分にはダメ押しゴール
(取材・文 吉田太郎)

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