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[プレミアリーグイースト]「負けないサッカーを」流経大柏の“秘策”成功しF東京U-18とドロー

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高円宮杯U-18サッカーリーグ2011 プレミアリーグ イースト
[5.8 高円宮杯プレミアリーグイースト第5節 F東京U-18 0-0流通経済大柏高 東京ガス深川G]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2011 プレミアリーグ イーストは8日、第5節2日目を行い、東京・東京ガス深川グラウンドではFC東京U-18(東京)対流通経済大柏高(千葉)が対戦。昨年のプリンスリーグ関東1部優勝チームと準優勝チームとの実力派対決はスコアレスドローで終わった。

 試合開始時に流経大柏が組んだ布陣は対戦相手、F東京を驚かせるに十分なものだった。U-18日本代表の大型ストライカー・宮本拓弥がCBの位置に入り、序盤戦でCBを務めていた田上大地主将が最前線に、またチーム屈指のテクニシャンであるFW中村慶太が右SBとしてF東京のキーマン、MF岩木慎也封じの役割を担ったのだ。

 試合後、「きょうは負けないサッカーをしました」と明かした流経大柏の本田裕一郎監督。昨年からのレギュラー、MF古波津辰希が第5中足骨骨折で不在のチームは過去2戦5失点で2連敗を喫しており、流れを変える必要があった。まずこだわったことは「勝負に負けないこと」。個人、チームの戦い方を含めて、それぞれが負けない方法を理解して戦った。急なポジション変更も強いられたが、高校生離れしたフィジカルの強さを持ち、加えてどのポジションでもハイレベルにこなす宮本がCBに入ったことはチームへのメッセージとなったか、選手一人ひとりの守備意識も高く、チームの安定感は確実に向上していた。

「もっと前からガンガン来ると思っていた」とF東京の倉又寿雄監督の予想に反してリスクを回避した戦いを進めた流経大柏だが、球際での厳しさや縦に鋭い攻撃といった武器は変わらない。16分には左中間からMF三鹿兼由が放った直接FKがゴール左上隅を捉え、32分にも三鹿の突破から田上が決定的なヘディングシュート。右サイドのMF中村優仁の縦への突破やボランチの飛び出しなど、カウンターから少ない人数でゴールを破ろうとした。

 一方、エースのMF橋本拳人を内転筋の怪我で、また司令塔のMF野沢英之をU-17日本代表の欧州遠征で欠くF東京の試合内容は決してよくなかった。13分に右MF福森健太がゴールマウス直撃の左足シュートを放ち、40分にはPAでスルーパスを受けた岩木が左足シュートへ持ち込んだほか、FK、CKの数でも完全に相手を上回った。また、落ち着いてボールを回していた後半はSB村松知稀の攻撃参加などコンビネーションで崩したり、精度の高いラストパスがゴール前へ入る場面も少なからずあったが、相手にリズムを崩され、課題の決定力不足も解消されず。43分には途中出場のFW湯浅寿紀がDFをかわしてドリブルシュートへ持ち込んだがこれもゴールを捉えず、無得点に終わった。

 それでも清水エスパルスユース戦、東京ヴェルディユース戦では攻めながら決めきれずに守備陣が焦れたところを突かれて失点していたが、倉又監督が「2連敗した後3年生を呼んで少し話をした」というチームは流経大柏MF小松剣士にクロスバーを叩く右足シュートを放たれたものの、崩れずに無失点。「育成も大事だけどまず負けないことを教えたい」と本田監督が話したように「負けないこと」にこだわった流経大柏、「(選手たちは)ヴェルディ(との東京ダービー)に負けたショックが大きかった」と倉又監督が説明したように乗り切れていない状態ながらも難しい試合をドローで締めたF東京の両チームにとって、「最低限」の勝ち点1獲得となった。

(取材・文 吉田太郎)

特設:プレミアリーグ

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