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[プリンスリーグ]新生・鹿島ユース、市立船橋との首位決戦制す!

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[7・2 高円宮杯プリンスリーグ関東1部第1節 市立船橋0-3鹿島ユース 東総]

 新生・鹿島ユースが首位奪取! 高円宮杯U-18サッカーリーグ2011 プリンスリーグ関東1部は2日、東日本大震災の影響で延期されていた第1節1日目の3試合を行い、勝ち点10で並ぶ首位・市立船橋高(千葉)と鹿島アントラーズユース(茨城)が激突。SB谷川貴也の先制ゴールなど3-0で勝った鹿島ユースが暫定首位へ浮上した。

 今シーズン、ブラジル人のキッカ新監督を迎えた鹿島ユースが激戦区の主役になりつつある。指揮官が「勝ち点が同じもの同士で実質6ポイント分の価値がある」と振り返った市立船橋戦。相手の鋭いカウンターを警戒した鹿島ユースだったが「相手は強い印象があったが、ポジショニングを理解して守備をやれば怖くない。ディフェンスのときにやるべきことをしっかりやること。相手の強いカウンターのときにいいポジションをとって蓋をすること」とキッカ監督が説明したように、相手にスピードに乗った攻撃をさせなかった鹿島ユースが好守で市立船橋の攻撃力を封殺して勝ち点3をもぎ取った。

 市立船橋は、昨年の全国高校総体得点王のエースFW和泉竜司主将がまだ右足首捻挫からの回復途上の段階ということもあり、ベンチスタート。それでも14分に右MF菅野将輝のサイドチェンジからMF宇都宮勇士がドリブルで仕掛け、15分には力強い突破で右サイドをえぐったFW岩渕諒の折り返しにMF杉山丈一郎が決定的な形で飛び込む。

 ボールを支配して主導権を握ろうとする市立船橋だったが、鹿島ユースは狙い済ましたチェイシングを見せるFW中川義貴やFW宮内龍汰らが最終ラインからつなごうとする市立船橋のパスワークを乱すと、中盤ではMF橋本龍馬らがインターセプトを連発。高校総体千葉県大会決勝(6月28日)から中3日の試合でやや迫力を欠いた市立船橋はそれでも対抗するだけの力を示していたものの、要所で上回った鹿島ユースに試合の流れをつかまれてしまった。

 先制点が生まれたのは前半21分だった。鹿島ユースは敵陣左サイドで中川が相手CBからボールを奪うと、CBを振り切って一気にPAへ侵入。FW鈴木歩のシュートはDFにブロックされたがこぼれ球に反応した谷川がPA外から左足を振りぬくと、強烈な一撃はゴール前の選手たちがGKの死角になったこともあり、そのままゴール中央へと突き刺さった。歓喜に沸く鹿島ユースイレブン。さらに前半43分にはMF梶野勇太の右CKから中川がヘディングシュートを放つ。一度はブロックされながらも中川は跳ね返りを自ら左足でゴールへ叩き込み2-0とした。

 市立船橋は後半9分に流れのいい攻撃から岩渕が決定機を迎えたが、右足シュートは鹿島ユースGK須賀健太がビッグセーブ。24分には和泉主将をピッチへ送り出したものの、相手の好守の前に和泉までボールをつなげることができなかった。逆に鹿島ユースは後半33分、相手ハンドで得たPKを宮内が右足で決めて3-0。ディフェンスラインが労を惜しむことなくラインを押し上げ、中盤、前線も的確に相手の攻撃を寸断する快勝だった。
 
 全国総体へ向けたスタートとなった試合でセットプレーや集中力の面で課題の出た市立船橋。朝岡隆蔵監督は「(全国総体メンバーに入ってくる選手には)運動量、切り替えを求めたい。そして強いハートですね」。

 一方、首位決戦を制した鹿島ユースは、3位に入り全日本ユース選手権へ出場した06年を除くと過去のプリンスリーグで好結果を残すことができていなかった。ただJユースチームとしては異例の外国人指揮官として迎えられたキッカ監督から「責任」「自由」を与えられた選手たちはその変化に上手く対応。6月26日まで行われた関東クラブユース選手権では全国リーグ勢の東京Vユース、F東京U-18を連破して優勝すると、この日もU-17W杯に出場中のFW鈴木隆雅が不在だったが、選手それぞれが役割を理解した上で戦い、気迫、内容で全国トップレベルの強豪校を上回った。

 ブラジルのジーコサッカーセンターで指導者としてのキャリアを始め、U-17サウジアラビア監督歴も持つキッカ監督はチームの日本人スタッフのサポートに感謝。そして「私はチームにひとつのプレゼントを持ってきていると思う。それがいいプレゼントなのか今は分からない。自分がもたらしたものがよかったかどうかは未来に分かる。これがいいものになるようにしたい」。東日本大震災の影響で練習できなかった時期があるにも関わらず就任直後から早くも結果をもたらしているキッカ監督と鹿島ユース。その本当の成果は今後さらなる結果として見えてくるかもしれない。

[写真]前半43分、鹿島ユースはFW中川(右)が2点目のゴール
(取材・文 吉田太郎)

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