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[プレミアリーグイースト]強豪対決はともに課題/苦手克服の兆し見せてドロー

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高円宮杯U-18サッカーリーグ2011 プレミアリーグ イースト
[7・10 高円宮杯プレミアリーグイースト第8節 F東京U-18 0-0三菱養和SCユース 深川]

 高校年代の全国リーグ、高円宮杯U-18サッカーリーグ2011 プレミアリーグイーストは10日、第8節2日目の4試合を行い、暫定8位のFC東京U-18(東京)と同5位の三菱養和SCユース(東京)との一戦は0-0で引き分け。勝ち点1を分け合った。

 両チームにとってターニングポイントになりうる一戦だった。優勝候補の一角と見られていたF東京は今季全国リーグを1勝3分2敗と大苦戦。激戦区プリンスリーグ関東1部で昨年まで3連覇し、06年以降は毎年全国大会決勝の舞台を経験している高校年代を代表する強豪が、勝利から見放されていた。倉又寿雄監督が「勝ちきれないのは決定力の部分。取れないことに尽きる」と課題を指摘したように不振の原因は得点力不足。ここまでの6試合で5得点に終わっていた。
 だがCB小林聖弥が怪我から復帰して安定感の高まったチームはこの日、U-17W杯から帰国したU-17日本代表MF野沢英之がパスワークに絡み、右サイドのMF福森健太やSB吉田一彦の攻撃力を活かして決定機をつくる。ただ12分に野沢のスルーパスからFW岩田拓也が迎えた決定機は三菱養和GK永井堅梧がストップ。31分には吉田の右クロスから決定機を迎えたがゴールへ押し込むことができない。

 一方の三菱養和にとってF東京は昨年の全日本ユース選手権準決勝で1-3で敗れるなど公式戦6連敗中の苦手。今回こそ連敗をストップしたかったが、守備の要・冨田将司を負傷で欠くチームは前半、相手のサイド攻撃と前線からの鋭い守備に苦しみ、なかなかリズムをつかむことができない。それでも生方修司監督が「思い切りハードワークしていたし、ビビらないでできていた」と評したチームは安藤裕麻と川田正人の両CBや左SB佐々木巧ら守備陣中心に健闘。そしてU-18日本代表のエースFW田鍋陵太の右足ミドルがゴールを襲い、右CKから安藤が決定的なヘディングシュートを放つ。6月25日、26日の日本クラブユース選手権9位決定戦を制し、全国切符を獲得したチームはその好調を持続。苦手・F東京にひけを取らない試合を展開する。

 ともに決定打を欠いて0-0で折り返した後半、先に動いたのはF東京だった。後半開始からU-18日本代表MF橋本拳人を投入。今シーズントップチームに合流しているMFは5月1日に負った右大腿内転筋肉離れの負傷によって実戦から離れていたが、ユースチームで復帰を果たす。「(自分が入ることで)変化を与えられるようにと考えていた。トップチームの人たちからも『結果出してこい』と言われていた」と気合十分の橋本をトップ下に配置したF東京U-18は後半、サイド攻撃にエースのキープ力も加えて相手に圧力をかける。

 後半2分には左サイドを駆け上がったSB村松知稀の折り返しからMF山口泰志が決定的なシュート。そして14分には右サイドを切り裂いた吉田の折り返しから橋本が右足を振り抜く。だがいずれも三菱養和GK永井がビッグセーブ。31分にも投入直後の1年生FW岸寛太が決定機を迎えたが、決定力不足に悩むチームはゴールを破ることができない。中盤の厚くなったチームはじわりじわりとゴールへ近づいたが、シュート6本と攻めきることができなかった

 一方、田鍋主将が「F東京にずっと勝っていなかった。アウェーで勝ち点取りたかった」という三菱養和は後半、攻め込む相手の背後を取る場面を増やす。19分には左CKをファーサイドのSB横山道一が折り返し、後方から走りこんだFW横田修平が決定的な右足シュート。だがこの一撃はクロスバーを叩き、45分にはカウンターから左サイドを抜け出したMF川上亮祐が切り返しから決定的な右足シュートを放つも、GK谷俊勳の好セーブに阻まれた。後半はポゼッションを高め、35分に10番MF川崎圭亮ら3選手を同時投入してからは攻勢を強めたが、最後のところで攻撃が雑になり、1点が遠かった。

 勝ちきれなかったものの、対F東京の連敗を止めた三菱養和。川田が「きょうは勝ちたいと思っていた。勝ちきれなかったことが悔しい」と話すなど選手たちは引き分けという結果を悔やんでいたが、それでもチームはアウェーでの勝ち点獲得に納得し、ホーム戦(12月4日)でのF東京撃破を誓っていた。

 一方のF東京は日本クラブユース選手権(7月22日開幕、群馬)にも出場する見込みの橋本合流を活かし、常勝軍団復活を果たすことができるか。野沢は「結果はきょうゼロだったけどチャンスはつくれている。1点取れば変わる」と話し、橋本は「ボクは点取るというタイプではないけれど、ボクがチャンスをつくればつくるほど決定機が増える。チャンスを増やしたい」。この日の試合で手ごたえも得ていたF東京は、これから決定力不足の評価を覆す。両チームともに望んでいた結果を出すことはできなかったが、今後へ向けて前向きな引き分けだった。

(取材・文 吉田太郎)

特設:プレミアリーグイースト

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